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パタゴニア

2009年03月28日 | 経済・政治・国際

六ヶ所再処理工場 - いま、私たちが知るべきこと

青森県六ヶ所村の使用済み核燃料再処理工場(以下、六ヶ所再処理工場)で、本格稼動に向けたアクティブ試験(実際に使用済み核燃料を用いた総合試験)が続いています。この工場は日本全国に現在55基ある原子力発電所で発電のために燃やされた使用済みの核燃料から、燃え残りのウランとプルトニウムを取り出すための工場です。本格稼動時には最大で年間800トンの使用済み燃料を処理することになりますが、取り出したウランとプルトニウムは再び混合してウラン・プルトニウム混合酸化物(MOX)燃料を製造し、将来的に日本各地のプルサーマル発電で使用する計画です。

この再処理工場を稼動することで、毎日さまざまな放射性廃棄物が発生します。実際にはアクティブ試験中の現在、すでに放射性廃棄物が発生し始めています。そして固形の低レベル放射性廃棄物は施設内の専用貯蔵施設で保管され、高レベル放射性廃棄物についてはガラス固形化されて一時的に施設内で保管されるものの、最終処分地は受け入れる自治体がまだ決まっていません。一方、放射性の気体廃棄物や液体廃棄物からは、放射能がそれぞれ気体は高さ150mの排気塔から大気中に、液体は太平洋の沖合3km、水深44mにひかれた放水管から海中に放出されます。どちらも放射能を低減処理したうえではありますが、運営主体である日本原燃の事業許可申請書に記載された数値から市民団体が積算したところによると、こうして大気中に放出されるクリプトン85や海中に放出されるトリチウム、ヨウ素129などの放射能は、通常の原子力発電所1基分の年間排出量に匹敵する量を1日で排出することになります。これについて事業者側はその安全性を、「海水は直接人間が飲まないから大丈夫」、「大量の海水で希釈されるから影響はない」、「人間が宇宙や自然界から日常的に浴びている放射能より少ない」といった説明を六ヶ所村にある見学施設の原燃PRセンターやサイト上でおこなっています。これに対して、豊かな漁場や農場を抱え、海洋汚染や農水産物への汚染を懸念している周辺の漁業協同組合や農家、またいつまでも安全な食べ物を消費者に提供することを望む生活協同組合や有機食材の宅配会社、さらに季節を問わず海に入って活動しているサーファーなどからは放射能汚染を懸念する声が高まっています。

日本は、エネルギー資源が限られている国として、また本年度から約束期間が開始した京都議定書に定められた温室効果ガス削減に有効な方法であるとして、原子力発電とそれに伴う核燃料サイクルを国策として推進しています。けれどもその代償として、寿命40年と言われる再処理工場よりもはるかに長いあいだ放射能を放出しつづける高レベル固形廃棄物、あるいは放射能を帯びた気体や液体といったものが毎日のように大量に発生することも事実です。

私たちパタゴニアは長年、陸海域を問わず豊かな自然環境や貴重な生態系を開発や有害化学物質から保護する活動を支援してきました。そして六ヶ所再処理工場に関しても、現地への訪問やさまざまな団体との情報交換、社内での議論等を重ねました。その結果、多くの生き物の住まいであり、そして私たちに健全な食糧を供給し、レクリエーション活動のフィールドでもある海洋や土壌が放射能物質の大気/海洋放出によって汚染されるのを見過ごさないために、また、核燃料サイクルへの莫大な資金投入は長期的視野に立ったときエネルギー問題の真の解決策とはならないという考えを支持し、再処理工場の稼動に反対する活動を支援することに疑問の余地はありませんでした。

再処理工場に関しては、推進派、反対派の双方から多くの情報が提供されています。私たちはエネルギーによる便利さを享受する側として、こうした情報をしっかりと収集/熟読し、事実を見据え、そしてそれぞれの主張を理解したうえでこの問題に対する態度を決める義務があると考えています。

私たちひとりひとりの問題としてこの六ヶ所再処理工場の問題に関心を持ち、声を届けましょう。

パタゴニア:環境保護への行動:六ヶ所再処理工場 - いま、私たちが知るべきこと


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