あとだしなしよ

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ふんどし医者

2005年12月19日 | 日本映画
製作年 : 1960年 昭和35年 東宝

監督:稲垣浩
出演:森繁久彌、原節子、夏木陽介、江利チエミ

江戸時代末期、東海道の難所、静岡の大井川での町医者の奮闘記を描く作品。
この町は川留めで賑わった。当時は江戸の防衛の為、この川では船が禁止され人足が人や荷物を担いでいた。水量が増すと渡れなかった為に、足止めされた旅人が宿を求めて栄えた町だった。そこに長崎で先端医療を学んだ人情のある医者が住みついた。
森繁久彌の演じる医者は文字どうりふんどし姿で町を歩く、人情味あふれたキャラクターである。原節子はふんどし先生の妻で、普段は貞淑な妻だが、実はバクチ打ちの側面がある。ある日、喧嘩で内臓に刀傷を負ったあらくれの若者の当時最先端の腎臓除去手術を成功させ命を救い、これがふんどし先生の自慢となる。助けられた若者は改心し医学を志す。ふんどしの与えた試練に耐えた若者は志を胸に長崎へと旅立つ。
やがて時代は明治、川留めが廃止された大井川には、不況の波が忍び寄り庶民の暮らしにもさびれて行く。そこに上海で英国の最先端医療を学んだ若者がふんどしの元へ帰ってくる。伝染病と見られる患者が担ぎこまれてくるが、ふんどしはただの腹痛だと診断する。しかし若者は伝染病ではないかとの診断を下す。この診断を正確なものにするには高価な顕微鏡が必要になり、やりくりを相談されたふんどしの妻は一世一代のバクチをする。身売りを賭けてはった最後のサイコロバクチに彼女は勝ち、顕微鏡を手に入れる。しかし、伝染病は広がり、病人を隔離するが、死者がでたことをきっかけに村人達の怒りを買い、ふんどしの家は襲撃され壊されててしまう。ふんどしは長年の地域への貢献が受け入れていなかったことで虚無に襲われる。また、医療判断ミスや若者の成長から、医学からも取り残されてしまったと感じ落胆する。
しかし、ふんどしの意志を知った村人達はふんどしに詫びを入れ、いつもの調子を取り戻したふんどしは、近代化が進む明治の街道を、ふんどし一丁で闊歩するのであった。町の人々も国政として起業されたお茶産業に移行して行った。

『赤ひげ』と似ているが、こちらの方が製作年は早い。映画のカットにも赤ひげが似ているところがあり、少なからず影響を与えたようにも思える。映画の後半から話は面白くなってくる。江利チエミは改心した若者の妻の役である。