かぶとん 江戸・東京の歴史散歩&池上本門寺

池上本門寺をベースに江戸の歴史・文化の学びと都内散策をしています。

日経新聞・連載 『韃靼の馬』 振り返り

2011-01-22 | 韃靼の馬
去年のちょうど今の時期、江戸検定(江戸検)の学習と、ホームページ作成の手習い(独習)
を兼ねて、現在の当ブログの前身、「かぶとん 江戸検に再挑戦 !?」をやっていた。
(手間ひま労力がかかり、そのうち面倒になって更新しなくなってしまったが。)
その頃から気になって読んでいたのが 『韃靼の馬』。そして感想も何回か書いた。
当時も今も、引用が長いことを気にはしたが、ええいままよ、と、レイアウトは変えたが同じ
内容を載せます。
当時の感想と、連載が終った今とで、どう変ったか、それとも変らなかったのか。

『韃靼の馬』 追っかけ

1. 「博覧強記」 - 朝鮮通信使 - から、『韃靼の馬』へ
それにしても
日経・朝刊 最終面に連載中の 『韃靼の馬』 (辻原 登(さん)・作 宇野亜喜良・画)
最高に、かつ、めちゃくちゃに面白い !!

「博覧強記」の - 朝鮮通信使 - 2つ・3つの言葉を覚えると、ここはもうおしまい、だったが
一変した。(物語のほうが、百倍、理解が深まるかも)

- 小説家 見てきたような ウソを言い -
主人公 倭館(わかん)の対馬藩士 阿比留克人(あびるかつんど)と、李氏朝鮮・監察御使
柳成一(リュソンイル)の馬上での戦い!!
このあと、どう展開するんだ。
傷ついた克人を助けた、命の恩人、踊り子・リョンハンとの再会は?
対馬にのこる婚約者 小百合は。
そして可愛い可愛い妹の利根は。

世は6代将軍徳川家宣の時代。幕府側用人・新井白石の - 将軍の称号を「日本国王」復号
とする - が、物語の軸だ。
舞台は対馬、朝鮮・・・そして・・・

白石の師、恭靖木(きょうせいぼく)先生こと木下順庵。
白石とは「木門(ぼくもん)」の後輩にして、対馬藩お抱え儒官となった雨森芳洲。

腕利きの倭館の陶工、李順之(イスンジ) 実は朝鮮国王直属の隠密、暗行御使。

虚実ないまぜで、頭の中は、ぱーぷりん。
神代文字のひとつ、日文(ひふみ)。阿比留文字とは。


『韃靼の馬』 連載の第1回で、悲しい話になりそうなことを暗示している。

 プロローグ 利根 1
 回想
 『わたしの名は利根、阿比留利根です。対馬に生まれ、育ちました。まだ一度も対馬を出た
 ことがありません。
 対馬と書いてツシマと読む。あるいはツシマと発音して対馬と書く。ふしぎでなりません
 が・・・』
 『わたしと兄は阿比留文字で手紙のやりとりをしていました。母は阿比留文字を知りません。
 いま、この島で阿比留文字が判読できるのはわたしひとりになりました。』
                                      ( 2009.11.1掲載の引用 )

 対馬時代の、兄・克人と妹・利根は、阿比留文字で詩の競作をしていた。
 阿比留叙事詩、あるいは抒情詩。第6回では、利根が兄の詩を紹介している。

 プロローグ 利根 6
  『閏四月
   しだれ柳は老いぼれていて
   井戸のそこには くっきりと
   碧空のかけらが落ちていて

   いもうとよ
   ことしも郭公が鳴いていますね

   つつましいあなたは 答えないで
   夕顔のようにほほえみながら
   つるべにあふれる 碧空をくみあげる

   径は麦畑のなかを折れて
   庭さきに杏の花も咲いている
   あれはわれらの家
   まどろみながら 牛が雲を反芻している

   ほら 水甕にも いもうとよ
   碧空があふれている』
           ( 2009.11.6掲載 引用)

 プロローグ 利根 11
  『あの事件が起きたのは、いまからちょうど十五年前のことです。元号も正徳とあらたまっ
 たその年、立春の頃のうららかなある日、わたしがつるべで水を汲んでいると、ふらりと芳洲
 先生がお庭に入ってこられ、「利根、通信使が来るよ」 』
                                      (2009.11.12掲載 引用)
  西暦 1711年、宝永から正徳へ改元。
  利根の回想は、1726年 享保11年。

 プロローグ 利根 17
 『大変なんだなあ、と小百合さまとわたしは顔を見合すことしきり。
 翌日午前、阿須に使者が立って、兄と小百合さまは結納を交わしました。
 通信使一行が江戸で任務を果たされて帰国の途次、兄と小百合さまは対馬で祝言を
 挙げる。一行を無事本国まで送り届けたあと、兄はいったん対馬に帰任し、江戸藩邸か
 京都藩邸で貿易方佐役を約束されていましたから、そのどちらかで幸せな新婚生活を
 はじめる予定でした。でも、それはとうとうかなわぬ夢となったのでございます。』
                           (プロローグの最終 2009.11.18掲載 引用)

おい、おい、おい、続きはどうなるの・・・

でも、この小説の狂言まわし 利根は兄 克人の幼馴染み、馬廻り組の椎名と一緒になる
かな(なっているかな)、という予感・・・
                                         (2010.01.20 感想)

倭館 釜山の草梁(チョリャン)倭館 1678~  いまでいえば、対馬藩の在韓国領事館か。
こちらは実在の人物
徳川家宣 1662~1712(寛文2~正徳2) 在職 1709~1712(宝永6~正徳2)
新井白石 1657~1725(明暦3~享保10) 
木下順庵 1621~1698(元和7~元禄11)
雨森芳洲 1668~1755(寛文8~宝暦5)


ま、江戸検定(江戸検)の学習も兼ねて読んでいた、ということです。
上に載せた1年前の感想を、いま読みかえしてみると、そうとうに違った展開でしたね。



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