★クラシック音楽LPレコードファン倶楽部(LPC)★ クラシック音楽研究者 蔵 志津久

嘗てのクラシック音楽の名演奏家達の貴重な演奏がぎっしりと収録されたLPレコードから私の愛聴盤を紹介します。

◇クラシック音楽LP◇ネヴィル・マリナー指揮アカデミー室内管弦楽団のヘンデル:組曲「王宮の花火の音楽」/「水上の音楽」

2021-09-16 09:43:22 | 管弦楽曲


ヘンデル:組曲「王宮の花火の音楽」/「水上の音楽」

指揮:ネヴィル・マリナー

管弦楽:アカデミー室内管弦楽団(アカデミー・オブ・セント・マーティン・イン・ザ・フィールズ)

LP:キングレコード(ロンドン) K18C-9205 

発売:1972年

 このLPレコードは、ネヴィル・マリナー(1924年―2016年)が、手兵のアカデミー室内管弦楽団(アカデミー・オブ・セント・マーティン・イン・ザ・フィールズ)を指揮した録音である。同楽団は、マリナーにより1961年に正式に発足した。まだマリナーも若々しく、そしてその演奏内容は実に瑞瑞しく、壮麗優美の一言に尽きる。重厚な弦の響きに、管楽器の流麗な響きが交差する演奏内容は、ヘンデルのこの有名な2つの組曲の決定盤といっても過言がないほど。このLPレコードにおいてマリナーは、特に「水上の音楽」の演奏に当たり、ケンブリッジのペンデルバリ図書館のチャールズ・カドワーズの協力を得て、いくつかの古い版を検討した結果、オーボエ、ホルン、トランペット各2本に弦楽合奏という編成を用い、ティンパニーは除外した。また、全体をト長調、ニ長調、ヘ長調の3つの組曲に分けた。一方、組曲「王宮の花火の音楽」は、国王の要望に反して、当初から弦楽を加えることを意図していたと言われるヘンデルの意志を尊重してか、オーケストラ版が用いられている。組曲「王宮の花火の音楽」は、イギリス国王ジョージⅡ世の命によって計画されたもので、8年続いたオーストリア継承戦争の戦勝を祝うための記念行事のために書かれた。1749年4月27日の祝賀会当日は、序曲の演奏の後、花火が打ち上げられ、その火が木造家屋に燃え移るというハプニングがあったが、大きな成功を収めたという。一方、「水上の音楽」は、ジョージⅠ世のテームズ河での舟遊びに際して演奏されたが、ヘンデルの完全な自筆原稿が遺されておらず、その演奏の形には定説はない。ここでは3つの組曲に分けて演奏されているいるが、これらは、別々に作曲されたという説もある。指揮のネヴィル・マリナーは、イングランドのリンカン出身。王立音楽大学に学んだ後、パリ音楽院に留学。1959年にアカデミー室内管弦楽団(アカデミー・オブ・セント・マーティン・イン・ザ・フィールズ)を結成し、長年その指揮者を務めた。さらに1979年から1986年までミネソタ管弦楽団、1983年から1989年までシュトゥットガルト放送交響楽団の音楽監督を務めた。レパートリーは幅広く、バロック音楽から古典派音楽に始まり、チャイコフスキー、レスピーギやバルトークも指揮・録音している。映画「アマデウス」のサウンドトラックには、マリナー指揮のアカデミー室内管弦楽団による演奏が用いられた。1985年にはナイト号を授与された。1972年にアカデミー室内管弦楽団と初来日して以後、単独でしばしば来日していた。(LPC)


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