牛コラム

肥育牛と美味しい牛肉のはなし

下等級でもペイするには

2011-09-17 11:09:30 | 雑感


和牛の肥育経営で一番のネックは枝肉格付けで2~3等級にランク付けられることである。
これらのランクでは、枝肉単価が1,000~1,400円となり、枝肉量が仮に460kgであれば1頭当たりの販売価格は46~64万円となる。
素牛価格が46万円であったら、飼料代やその他の管理費分が赤字となる計算である。
これでは、40数万円の欠損となり、経営破綻を来す数字とと言えよう。
5等級にランクされれば、何とか100万円となり、10万円そこそこの黒字となる。
素牛46万円で4等級では4~5万円の欠損を覚悟しなければならない。
このようなに相場が低迷している現状では、下等級ランクでは、欠損分を穴埋めするには至難の業となる。
ベテランの肥育家であれば、出荷牛の格付け結果が思惑通りになるような素牛選定や肥育管理を行っているに違いない。
しかしながら、大方の肥育家たちの現状は、出荷時の競り価格の結果に不安な面持ちで挑んでおられよう。
この現状を打開するには、5等級ばかりが利益を上げるのではなく、3等級未満であってもペイする肥育法を確立するしかない。
例えば64万の販売価格であるなら、肥育経費を40万円未満にコストダウンし、素牛は24万円以下を競り落とせばよいことになる。
今時に上場される子牛は、血統上劣悪なものなどいないはずであり、子牛の健康状態や食欲や発育性を重視し、枝肉量460kgが見込める子牛を見定め、しっかりと食い込ませれば、枝肉販売価格を64万円以上に乗せることは可能であろう。
4等級についても、4等級用の素牛を選定すればよいことになる。
問題は子牛の見利きの技術がなければ出来ない相談である。
技術があると思っても、55万円の素牛でも下等級となったり、35万円で5等級の上位にランクされる例を畜主であれば体験されているはずである。
同様に肥育管理しても、アンラッキーであったりラッキーの一語に尽きる結果が出るからには、素牛選定上、策を練る必要がある。
全頭50万円以上の素牛を導入して、5等級率50%であれば、素牛の選定に一定の能力が備わり、経営的には黒字化が安定するであろう。
どこの子牛市場でも10~20数万円クラスの子牛を競り落とす肥育購買者がいる。
このケースでは、疾病や死廃率が低ければ、黒字を計上しているはずである。
要するに、素牛選定時に出荷時の枝肉評価ランクを想定した導入と生産が実現すれば堅実な肥育経営が可能となろう。


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3 コメント

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Unknown (Unknown)
2011-09-20 19:11:25
その通り。

ただ素牛を代えると言う事は牛の餌など育て方も代えなければいけない。

それに下の牛に人気が出て来ればやはり値が上がる…難しい。

しかし、2等級3等級はでる。それを無くす事も大切が同時に2等級3等級でも利益のでる飼い方や売り方を考えなくてわ。
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現実的には~無理? (低コスト肥育生産者)
2011-09-20 23:21:01
言うは易し 行うは難し… 牛の出来は「絵に書いた餅」みたいには出来ず、安く買った素牛は格付けも悪く枝重も取れず散々です。皆さん確率を上げる為にコストを掛けておられると思います。アグラの処分が終わるまで諦めています。相場は誰もコントロール出来ません。
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Unknown (Unknown)
2011-09-24 23:18:57
万が一に24万が素牛相場なら繁殖屋は桁違いに減り、結局困るのは肥育屋なんだよね


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