牛コラム

肥育牛と美味しい牛肉のはなし

導入時の子牛の見方 横から見る

2008-04-11 20:52:54 | 牛の躯
肥育目的で子牛などを導入する牛のことを素牛という。素牛を家畜市場などで導入する時、その体型の善し悪しを見極めることが、経営の善し悪しに繋がる。
これまで頭頸部について、具体的な説明をした。今回から、胴体について説明する。
牛の肥育とは、牛肉生産のための飼育を行うことである。牛肉を生産するには、安全で美味しい牛肉を可能な限りの低コスト生産により、生産性の高い枝肉を効率よく生産して、収益性の高い経営を行う必要がある。
具体的には、与えた飼料が体内で効率よく吸収され、筋肉や脂肪・骨などを順調に成長させ、増体能力を高めるとともに、良質の精肉を出来るだけ多量に生産することである。肉質に関する内容は後述する。
如何に多くの枝肉を生産するかは、牛の体型と密接な関係がある。
牛を見る場合、
①牛の前方から頭部の良否や肩や背腰などの幅を観察する。
②牛の横から牛の長さ(体長)を見る。長さとは肩から尾の付け根までを言う。背や腰の長さなども観察する。次に深みを見る。深みとは、体上線と体下線間の上下の長さをいい、この長さが大きいほど深みがあり、短ければ深みがないという。さらに体上線、つまり背腰の強さや体下線の平直さなどを見る。
③牛の後方から見る。背腰の幅や尻や腰幅を見る。
④これらを牛の斜め前や後ろからも観察する。胸や肋張り腹容などを点検する。
本編では、②の牛の横から牛の善し悪しを見る。

良い牛とは、深みがあり、体長があり、長方形をしているのがよいとされる。
体上線が平直であることは、その牛の背腰が強いと解釈する。背腰が強くなければ、最大限の増体に耐えられない。背腰は、それにより枝肉の評価が左右されると言っていいロースが位置するので、強く広く長くなくてはならない。
写真の牛は、これらの条件を見事クリアしており、抜群の体型である。


写真の牛は、通称「前がちの牛」と評されているタイプの牛である。前肢を中心とする深みは有るが、後肢に近い部分、腰の部分の深みが浅く、腰の部分がやや垂れて弱い。これでは深みのある長方形とは言い難い。つまり、腹容が少なめのため、餌の摂取量が上の写真の牛より少ないと予測出来る。よって増体能力に欠ける。
このタイプは、食が細いため、体力的に強靱ではないため、気象などの急変について行けず、肺炎や下痢など問題を起こし易いので、細心の観察等が不可欠である。


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