牛の白血病と離乳
近年、牛の白血病がかなりの割合で増加の傾向が見られるとし、最も多い患牛は乳用雌牛とのことであったが、黒毛和種の繁殖雌牛も全国的に感染被害があるようである。
この疾患はその大部分が牛白血病ウイルスが血液を介して感染するため、予防注射など注射器の回し打ち、血液が接触する器具等の連続使用、アブやハエなど吸血昆虫、母乳による親子感染などにより伝播する。
同ウイルス感染で同キャリアになるが急に発症することは希で、和牛の場合は数年かかって眼球突出や痩せるなど年齢の割には老化現象を呈することで発症を気付くことが一般的である。
また同症では体内に腫瘍が出来ることが知られており、歯間など口腔内、各臓器や気管などにガン症状が出るなど様々な症状が診られる。
人の白血病とは異質であるために、人への感染は無く、感染牛の食肉や牛乳が人に与える影響は無いとされている。
同症で気がかりなことがある。
同症を感染した牛が分娩し、折角の子牛が母乳を飲むことにより同ウイルス感染すると言うことである。
繁殖雌牛の場合、母牛の感染の有無を検査することが不可欠である。
万が一感染していても妊娠の持続など繁殖にはさほどの影響はないが、この疾患に対する認識と対策が離乳時期の決定に深く関わってくる。
従来認識では、子牛の離乳時期について、母乳が豊富であれば可能な限り長期に子牛を付けることが、生産効率上は得策である。
しかし、かかる感染が確認された繁殖雌牛については、子牛の健康維持のために躊躇することなく、生時離乳する必要があり、初乳であっても与えるべきではない。
最近は初乳に匹敵する免疫力(ガンマーグロブリンなど)の高いミルクが市販されている。
ご指摘のように牛白血病は近年増加傾向で、注意すべき疾病です。
感染の経路については、アブなどの吸血昆虫によるものが主で、母→子の感染はあまり高率ではないようです(初乳プールは危険ですが)。
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http://nichiju.lin.gr.jp/mag/06207/a3.pdf
やや専門的ですが、3の感染伝播様式が参考になるかと思います。