最近、多頭化している和牛繁殖農家では、この様な風景を見かけなくなった。
それは、諸々の理由から早期離乳しているからである。
撮らせて貰った箇所の繁殖牛の管理は、今でも約6ヶ月間は親に付けて母乳を飲ませて管理している。
その理由は定かではないが、母牛の飼料設定と牛本来の能力を自然体のまま活かそうという狙いがあるようである。
粗飼料主体で、しかも自給飼料100%の給餌でヘイレージを飽食させているために、母体の健康状態はすこぶる良好で、50~60頭の受胎率はほぼ90%程度の成績で、年1産を実現させている。
このような飼養管理状態のために、母乳も豊富にあって早期離乳することの方が、むしろ不自然な状況である。
前述したが、子牛のルーメンを順調に発達させるために、生後まもなく離乳して哺乳後、人工乳だけで3~4ヵ月育ててから、良質粗飼料を与える保育法が新技術だと紹介した。
その新技術は既に国内でも実践されて成果を上げている牧場がある。
しかし、そのことを改めて再考してみると、子牛のルーメンをより発達させることになるが、それでは、これまでの母乳での育成は、成畜に成長した暁に、繁殖や肥育を行う上で問題があったのかと言うことになるが、現実にはその様なことは、先ず考えられない。
確かに、多頭化が進めば、効率的な子牛管理が必要となるため、哺乳の自動化にはメリットがあるかも知れない。
言われているところの、母体の産後の回復効果と早期受胎の実現、子牛の事故や生後発育などに於いて、早期離乳が優れているとは断言できないのが現実である。
生後月齢約8ヵ月でDGが1kg、産後35日目の発情時に種付けして受胎させ、その大部分が10産をものにしていることを考慮に入れれば、低コストに繋がる母乳生産の方が、理にかなっている。
この早期離乳は、生産者自らの発想なのか、生産者以外からの発想なのか定かではないが、生産費高と子牛相場の低迷で採算が合わないという論議だけで良いのだろうか。
低コスト生産を視野に、もう一度個々の経営の中で、再検討する価値があるように思えてならない。
(・ω・)/
牧場の規模によるのでしょうが、
2ダース弱のうちの場合は
100日前後まで母牛につけておくやり方で概ね上手くいっているので、
早期離乳へ切り替えた場合のコスト計算もした事がないです。
放牧主体の、
出来るだけ本来の生態に合わせた飼い方をする事により、
年一産と子牛のDG1以上を達成出来るので問題はないと思っています。
その際に、
牛の観察と触れ合いが重要だと考えていますが、
牛を知らない人からすると、
仕事をしているのではなくさぼっている様に思われるのは悲しい事ですが…。
ヾ( ´ー`)