牛コラム

肥育牛と美味しい牛肉のはなし

但馬牛のこと(2)

2008-07-18 19:41:21 | 肥育


繁殖用素牛や肥育素牛に但馬牛を導入しても、これまで満足な成果が得られなかった。
鳥取系や島根系に比べて、採食量が少なく、成畜になるまでにかなりの時間差を感じたり、群飼いすれば、食い負けし、栄養状態に問題が生じたものだ。
何とか、お産しても、20kgに満たない子牛のため、その育成に苦心した経験がある。
肥育に至っても同様で、欠損が伴う結果になったことがままあった。
そもそも、但馬牛をその他の牛同様の和牛と思いこんで飼育すること事態間違っていたのかもしれない。
但馬地方では、昔から母家の中で、1~2頭程度育てていて、親にも子牛にも青草や農作物などを煮て与えるなどの至れり尽くせりの管理が成されていたため、但馬牛も順調に育ったそうである。
だから、母乳もある程度確保できたのであろう。
最近では、但馬牛間の交配も複雑化する中で多頭化が進み、乾草と稲わらに配合飼料での管理に変わりつつある。
この様な条件下では、乳房が小さく、前述したように母乳の出の少ない母牛がいるのも事実のようである。
子牛の早期離乳も、それらの対策の一因のようであるが、むしろ問題なのは、繁殖用に育成することと、肥育する技術である。
昔から、牛は草で育てよと言う格言があるほどである。
但馬牛は、他産地の牛よりも、この格言どおりに飼うことが、基本のようである。
つまり、草を飽食させ、腹作りを確実に行い、他より多少タンパク質の高い餌を少しずつ与えるのが、但馬牛の最大の育て方のようである。
本来、但馬牛は、発育は晩塾でも、脂肪蓄積においては早熟性である。
繁殖育成にしろ、肥育にしろ、常に粗飼料を主体と心得て、配合飼料は多量に与えない飼い方を行うべきなのである。
例えば、肥育では、日量の給与量を多量に与えれば、その分増体するのが、常識的な考え方である。
これは、但馬牛には該当せず、その他の系統の牛に該当する基本的な考え方である。
具体的には、但馬牛には最高でも日量6~7kgに抑えた飼い方が、最も適していると言われている。
九州産の素牛を飼い慣れている場合は、胃が痛くなるほど我慢して、抑えて飼うのがベターで、この様な飼い方を行うことにより、但馬牛本来の肉質能力の高い美味しい牛肉生産が実現することになる。
但馬牛は、多量の飼料を必要とせずに、増体と脂肪蓄積をものにする能力がある。
肥育が効率的に行える系統なのかも知れない。




最新の画像もっと見る

2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
初産と貧乳 (Piyo)
2008-07-19 18:22:07
(^o^)v-~~~

隣の牧場では、
初産の母牛が貧乳だった場合、人工哺乳で育てる様です。

Piyoは、
成長途上である初産の母牛は貧乳で当然と割り切って、子牛は母乳で育てる様にしています。

6/18に無事初産を済ませた母牛(福栄)も見事な?貧乳で、生まれた♀子牛もかなり小柄…
7/3生まれの♂子牛にとっくに抜かれてしまいましたが、
この♂を産んだ5産目の母牛(安平)は、
やはり初産時は貧乳で、当時獣医さんに相談した事を思い出しました。

長い目でみたら、
母牛の為にはその方が良い気がしています。

ちなみに、
7/3生の♂は菊平茂で、
生まれ落ちも大きくその後の成長も順調。

来年の3月か4月のセリに上場予定ですが、
どんな相場になっているか怖い様でもあり楽しみでもあります。

昨日離乳した親子の鳴き声で、かなり寝不足気味。
今夜も…

(-.-)zzZ
返信する
piyoさんへ (kuroiusi)
2008-07-20 01:41:26
子牛の生時体重は、父牛、母牛、産次、母の栄養状態、母牛の疾患などの影響を受けることが予想されます。
中でも、母の栄養状態は、与える飼料の種類とその量や群飼では強弱による食い負けなどの影響を受けやすいことが考えられます。
また父親と母親では、ご存じのように兵庫系は小さく、鳥取・島根系では大きな子牛が生まれます。
2代祖、3代祖の影響も無関係ではありません。
産次については、以前は、初産牛の体重は小さいが一般的でしたが、最近では、必ずしも、そうとは限りません。
育成の技術が進歩したためだろうと思います。
むしろ、8産次以降になれば、初産子牛よりもかなり小さくなる傾向があります。

離乳した2~3日は、親子で大合唱ですね。
畜主の性ですから、仕方ありません・・・・。

返信する

コメントを投稿