牛コラム

肥育牛と美味しい牛肉のはなし

繁殖用雌牛の育成(2)

2009-03-29 13:09:22 | 雌牛



栄養度3~4程度で育てる。
以前ホル黒F1牛の雌牛で、栄養レベルと繁殖性についての試験に関わったことがあるが、この試験は粗飼料主体で、生後190日令から600日令までの間に高栄養区(A)、中栄養区(B)、低栄養区(C)を設けて、それぞれ7頭の計21頭を供した。

○育成期の発育成績
--開始日令--同体重-600日体重-期間DG
A--192.4----176.3----523.6----0.85
B--193.4----175.6----414.1----0.59
C--196.9----179.0----408.1----0.57


○初回妊娠月齢と体重
---平均月齢----平均体重
A--12.4(0.99)---331.0(36.7)
B--13.2(0.86)---332.0( 6.9)
C--16.1(2.30)---327.6(31.7)
  ( )は標準偏差

○4産までの繁殖成績
------初産--------------2産目---------3産目------------4産目
---頭数---平均月齢---頭数--平均----頭数---平均-----頭数---平均
A---7----21.7(1.00)----7--10.9(0.5)----3---18.4(1.1)----3---14.4(0.6)
B---7----22.6(0.85)----7--11.6(1.1)----7---12.3(1.6)----7---14.1(2.3)
C---7----25.4(2.45)----7--12.8(1.0)----7---15.2(2.2)----6---15.6(1.2)
*頭数は生産頭数、2~4産目の平均は分娩間隔、( )は標準偏差

栄養レベルは、A区は配合飼料を0.7kg/日、アルファルファーヘイキューブ飽食
B区は配合飼料0.7kg/日、同ヘイキューブ4kg/日
C区はイタリアンライグラスの生草飽食であり、飼養標準に準じてはいないが、A区とC区は、月齢とともに粗飼料の摂取量が増える形となっている。
発育結果は、摂取した栄養量に比例してA区が高い値を示した。
初種付けは、妊娠月齢より早く、体重が300kgに至った時点に人工授精を行ったが、栄養レベルの高いA区が順調な成績を示したが、C区はその平均がA区より約4ヶ月遅れた。
妊娠当初の体重は、栄養レベルの中程度のB区が332+-6.9kgの範囲内で妊娠したことになり良好な成績を示した。
4産までの繁殖成績は、栄養レベル中程度のB区が全頭分娩を果たす結果となった。
当初、繁殖成績が良好であったA区は4産を果たしたのは3頭だけであった。
また、4産終了時の生後月齢は、A区65.4、B区60.6、C区69ヶ月令となり、B区が産子数の合計でも28頭で結果的に優れた成績となった。

この試験は、F1牛での試験結果であるが、当然和牛についても、参考となると考えている。
この結果では、栄養レベルを高くするよりも、飼養標準に準じた飼料設定をすることが、順調に産次を増やす定番となることが参考となる。
育成時は、A区のようにかなり高くするのではなく、飼養標準通りか、若干高めに設定することの方が、初期の妊娠の結果を良好にするテクニックではないかと考えている。
故に、栄養度は3~4なのである。





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