美味しい牛肉は、乾草と稲わらから作られると言っても過言ではない。勿論、穀類など高カロリーの配合飼料の影響が大きいのは言うにおよばない。
乾草などの粗飼料が、牛肉生産に深く関わっている理由は、前述したが、牛は草食動物であることに関わりがあるからである。草食動物でなく、雑食であれば、豚と同様であり、反芻胃の必要性が無くなる。
肉量と肉質を期待する我が国では、粗飼料だけで、肥育することはとうてい考えられない。脂肪交雑の蓄積を差ほど期待しない外国では、広い放牧地に放し、牛が成長するのを待って、間引き的に出荷している。つまり、草食動物の特性を生かした低コスト生産が行われている。
これまで草に加えて配合飼料を多給する肥育方式は、日本のお家芸であったが、美味しい牛肉生産を期待する日本をターゲットにオーストラリア、アメリカで実施され、韓国、中国等でも自国消費用に実施されるようになった。
和牛では、全ての素牛が高級牛肉になることを期待して肥育されているのが現実である。
先ず乾草の拘わりである。この肥育における飼料の給与パターンは前述したが、導入後約5ヵ月間は、良質でカロチン含量の高い乾草を飽食させる。これにより消化管機能を高めるとともに、肝臓内にビタミンAを多量に蓄積させることができる。この結果、生後約15ヵ月目からは仕上げ用配合飼料を給与し始めるが、順調に多量の摂取量が取れることになる。通常この時期は、肉質を高めるために、ビタミンAをコントロールするが、育成期に多量の乾草を接しているために、ビタミンAの欠乏症は回避される。
次に稲わらである。肥育用の粗飼料として最適なのが稲わらである。脂肪交雑を期待することは、体脂肪を蓄積させなければならない。それには、穀類など配合飼料を如何に食い込ませるかにかかっている。肥育前半から体脂肪を可能な限り蓄積させることが、不可欠であることは、前述した。この間、仕上げ配合とコンビで給与する粗飼料が稲ワラである。稲わらは嗜好性もいい。そして稲わらは多量に与える必要がない。精々一日1頭あたり1kg前後でいい。稲わらの繊維はかなり硬い。麦わらは掌の中ですり潰すと粉になるが、稲わらはそうはいかない。その硬さが、体脂肪の生産には好都合である。また、配合飼料を順調に摂取させるための手助けにも稲わらの効果は大である。
摂取した飼料が第1胃内に出来るだけ長く貯留することで、脂肪生成に有効とされ、それに有効な役目を果たすのが稲わらである。また稲わらに含まれている納豆菌が有効との説もある。最近の輸入わらは、加熱処理が義務づけられているが、加熱することで納豆菌は死滅することから、肥育用の稲わらは、国産わらが最も適している。最近、肥育センターでは、国産稲わらの収集に躍起なのである。
乾草などの粗飼料が、牛肉生産に深く関わっている理由は、前述したが、牛は草食動物であることに関わりがあるからである。草食動物でなく、雑食であれば、豚と同様であり、反芻胃の必要性が無くなる。
肉量と肉質を期待する我が国では、粗飼料だけで、肥育することはとうてい考えられない。脂肪交雑の蓄積を差ほど期待しない外国では、広い放牧地に放し、牛が成長するのを待って、間引き的に出荷している。つまり、草食動物の特性を生かした低コスト生産が行われている。
これまで草に加えて配合飼料を多給する肥育方式は、日本のお家芸であったが、美味しい牛肉生産を期待する日本をターゲットにオーストラリア、アメリカで実施され、韓国、中国等でも自国消費用に実施されるようになった。
和牛では、全ての素牛が高級牛肉になることを期待して肥育されているのが現実である。
先ず乾草の拘わりである。この肥育における飼料の給与パターンは前述したが、導入後約5ヵ月間は、良質でカロチン含量の高い乾草を飽食させる。これにより消化管機能を高めるとともに、肝臓内にビタミンAを多量に蓄積させることができる。この結果、生後約15ヵ月目からは仕上げ用配合飼料を給与し始めるが、順調に多量の摂取量が取れることになる。通常この時期は、肉質を高めるために、ビタミンAをコントロールするが、育成期に多量の乾草を接しているために、ビタミンAの欠乏症は回避される。
次に稲わらである。肥育用の粗飼料として最適なのが稲わらである。脂肪交雑を期待することは、体脂肪を蓄積させなければならない。それには、穀類など配合飼料を如何に食い込ませるかにかかっている。肥育前半から体脂肪を可能な限り蓄積させることが、不可欠であることは、前述した。この間、仕上げ配合とコンビで給与する粗飼料が稲ワラである。稲わらは嗜好性もいい。そして稲わらは多量に与える必要がない。精々一日1頭あたり1kg前後でいい。稲わらの繊維はかなり硬い。麦わらは掌の中ですり潰すと粉になるが、稲わらはそうはいかない。その硬さが、体脂肪の生産には好都合である。また、配合飼料を順調に摂取させるための手助けにも稲わらの効果は大である。
摂取した飼料が第1胃内に出来るだけ長く貯留することで、脂肪生成に有効とされ、それに有効な役目を果たすのが稲わらである。また稲わらに含まれている納豆菌が有効との説もある。最近の輸入わらは、加熱処理が義務づけられているが、加熱することで納豆菌は死滅することから、肥育用の稲わらは、国産わらが最も適している。最近、肥育センターでは、国産稲わらの収集に躍起なのである。
牛は草食動物であることは、周知の事実である。アフリカ大陸の草原では、草食動物自ら外敵を攻撃することはない。外敵を恐れながら、集団をつくり草を食み終わると外敵が襲うことのないところで休息を取りながら反芻を繰り返す。これが彼らの行動パターンである。
牛の集団行動は、外敵から解放された現在でも、写真のように放し飼いすると集団行動を取る。
この様に、牛は本来の習性から抜けきれないでいるが、それが関連してか牛は、習慣性が強い。飼育環境を変えたり、餌を変えると数日間はもとに戻らない。その間増体しない。牛を飼うには、習性を熟知しなければならない。
牛の集団行動は、外敵から解放された現在でも、写真のように放し飼いすると集団行動を取る。
この様に、牛は本来の習性から抜けきれないでいるが、それが関連してか牛は、習慣性が強い。飼育環境を変えたり、餌を変えると数日間はもとに戻らない。その間増体しない。牛を飼うには、習性を熟知しなければならない。
平茂勝号が供用される以前までは、可能な限り仕上げ体重を大きくしようと、肥育素牛は導入時から、運動場に放し飼いして、四肢を鍛え頑強に育てようと取り組んできた。
最初の数ヶ月は、良質の乾草など粗飼料を中心に肥育前期用の配合飼料を飽食させ、次第に仕上げ用配合飼料に置き換えて肥育してきた。このケースだと、去勢牛は運動と粗飼料の多給、それに配合飼料を多量摂取により、言うところの平茂勝系統の牛では、大型の体型になり、仕上げ時には体重が900kgを越すのも珍しくなくなった。雌牛は育成時から、本来の早熟性が基で、去勢牛より丸みを帯びて背腰は平らで広く肥育牛らしくなり、700kg前後で仕上がる。この結果、肉量はともかく、肉質では、雌牛の方がランクが高い。
通常、肥育は雌のケースのように、生後15~20ヵ月までに目一杯増体して丸くさせ、その後は半年余り、その摂取量を維持し、その後は次第に食い止む形となり、体脂肪(皮下脂肪や筋間脂肪)を徐々にそぎ落として仕上がる。去勢牛は、常に発育旺盛で過肥でなく均整の取れた肉付きのまま仕上げ期を迎える。そのため食欲が順調なため、体型が大型化すればするほど、肥育末期でも増体するため、俗に言う枯れた状態になり難い。これは雌雄の体脂肪における早晩性の違いである。去勢牛のそれは、摂取量の増大が肥育期間の長期化と飼育経費の増大に繋がる。
そこで、去勢牛については、ことさらに導入後の過度な運動は避けるべきである。
とくに和牛の体型の大型化と、肥育期間が2年間で仕上がることを考慮して、肥育の形を出来るだけ雌牛同様の飼い方に変えて行う。
大型の肥育センターなどでは、導入から出荷まで同一の飼育マスの中で、運動を意識することなく飼育している。去勢牛は、5頭程度を収納できる飼育マスで、運動量を抑え、生後20ヵ月令までに、体重を630kg以上にもっていき、まるまると肥らし、体脂肪の蓄積を促す肥育法が功を奏するようである。これにより飼料効率も高まり、肥育期間の短縮と飼育経費の低減が実現する。
ちなみに、繁殖用の雌牛は、約10歳までの繁殖に支障の無いよう、十分な運動により四肢を鍛えるは常識的なことである。
写真は、導入から1ヵ月目の去勢牛群である。
最初の数ヶ月は、良質の乾草など粗飼料を中心に肥育前期用の配合飼料を飽食させ、次第に仕上げ用配合飼料に置き換えて肥育してきた。このケースだと、去勢牛は運動と粗飼料の多給、それに配合飼料を多量摂取により、言うところの平茂勝系統の牛では、大型の体型になり、仕上げ時には体重が900kgを越すのも珍しくなくなった。雌牛は育成時から、本来の早熟性が基で、去勢牛より丸みを帯びて背腰は平らで広く肥育牛らしくなり、700kg前後で仕上がる。この結果、肉量はともかく、肉質では、雌牛の方がランクが高い。
通常、肥育は雌のケースのように、生後15~20ヵ月までに目一杯増体して丸くさせ、その後は半年余り、その摂取量を維持し、その後は次第に食い止む形となり、体脂肪(皮下脂肪や筋間脂肪)を徐々にそぎ落として仕上がる。去勢牛は、常に発育旺盛で過肥でなく均整の取れた肉付きのまま仕上げ期を迎える。そのため食欲が順調なため、体型が大型化すればするほど、肥育末期でも増体するため、俗に言う枯れた状態になり難い。これは雌雄の体脂肪における早晩性の違いである。去勢牛のそれは、摂取量の増大が肥育期間の長期化と飼育経費の増大に繋がる。
そこで、去勢牛については、ことさらに導入後の過度な運動は避けるべきである。
とくに和牛の体型の大型化と、肥育期間が2年間で仕上がることを考慮して、肥育の形を出来るだけ雌牛同様の飼い方に変えて行う。
大型の肥育センターなどでは、導入から出荷まで同一の飼育マスの中で、運動を意識することなく飼育している。去勢牛は、5頭程度を収納できる飼育マスで、運動量を抑え、生後20ヵ月令までに、体重を630kg以上にもっていき、まるまると肥らし、体脂肪の蓄積を促す肥育法が功を奏するようである。これにより飼料効率も高まり、肥育期間の短縮と飼育経費の低減が実現する。
ちなみに、繁殖用の雌牛は、約10歳までの繁殖に支障の無いよう、十分な運動により四肢を鍛えるは常識的なことである。
写真は、導入から1ヵ月目の去勢牛群である。
和牛子牛の育て方は、生産農家毎にまちまちである。あたかも子供を育てる場合と同様である。それは、これまで和牛生産の飼育規模が小さいことが一因している。
近年では、飼養規模の増大が進みつつある。多頭化することにより、その育成技術を確立させねば、経営が順調に展開されない。
これまで、子牛には母乳を最大限利用させることが、低コストに繋がるとされてきた。しかし、そのことにより、母牛がストレスによるホルモン異常などで受胎率の低下が指摘されるようになり、生後3ヵ月目前後には離乳させ、母体のストレスを軽減させる指導が行われ、大多数の繁殖牛がその方法で飼育されている。
ところが、海外における子牛育成技術では、生後まもなく離乳させ、3~4ヵ月間は哺乳ロボットを用い、専用のミルクと代用乳のみで草を一切与えず、その後良質粗飼料を徐々に与えながら飽食させる方法がとられ、日本でも、繁殖頭数200頭規模の施設で実施されている。この方法により、第一胃内の絨毛の発達を順調に促し、子牛の発育が従来以上に改善したという。
このように子牛の育成技術も、改善されてきている。
この様に育成され、子牛市場に出される子牛たちであるが、肥育センターへ導入された子牛の成育が、生産農家毎に若干異なる結果となるケースがある。導入後の粗飼料の利用性に差が見られるのである。粗飼料を順調に摂取しない子牛は、その後の肥育過程で、ビタミンA欠乏症や早期に配合飼料の食い止みなどや体調異常を来たすことになる。
子牛市場で高価なセリ価格を期待するが余り、成長に効果的な子牛育成用のペレットなどを多給し、成長した肥育牛並みの皮下脂肪などが多量に蓄積され、尾枕(尾根部両側に脂肪の塊で盛り上がる様子)が出来ているケースがある。この様な子牛はそれまでの粗飼料の摂取量も少なく、導入後も同様となる。
優れた血統を有する子牛でも、飼い方がそれに伴わねば、ただの牛である。
子牛生産農家は、折角の牛肉生産のための貴重な資源であることと、牛は草を喰う反芻動物という本来の特徴を正しく理解して育成して貰いたい。最近では、パソコンに導入牛の様々なデータと肥育成績を入力しているケースが大多数である。パソコンは、様々なケースで肥育成績が分析できる。勿論個々の生産者毎のデータも一瞬に一覧できる。つまり生産農家がその子牛によって評価されるケースがあることも理解すべきである。生産農家は高価で子牛を提供する代わりに、それに見合う優れた子牛を育成すべきではないだろうか。
子牛には十分な草を与えることが不可欠なのである。
近年では、飼養規模の増大が進みつつある。多頭化することにより、その育成技術を確立させねば、経営が順調に展開されない。
これまで、子牛には母乳を最大限利用させることが、低コストに繋がるとされてきた。しかし、そのことにより、母牛がストレスによるホルモン異常などで受胎率の低下が指摘されるようになり、生後3ヵ月目前後には離乳させ、母体のストレスを軽減させる指導が行われ、大多数の繁殖牛がその方法で飼育されている。
ところが、海外における子牛育成技術では、生後まもなく離乳させ、3~4ヵ月間は哺乳ロボットを用い、専用のミルクと代用乳のみで草を一切与えず、その後良質粗飼料を徐々に与えながら飽食させる方法がとられ、日本でも、繁殖頭数200頭規模の施設で実施されている。この方法により、第一胃内の絨毛の発達を順調に促し、子牛の発育が従来以上に改善したという。
このように子牛の育成技術も、改善されてきている。
この様に育成され、子牛市場に出される子牛たちであるが、肥育センターへ導入された子牛の成育が、生産農家毎に若干異なる結果となるケースがある。導入後の粗飼料の利用性に差が見られるのである。粗飼料を順調に摂取しない子牛は、その後の肥育過程で、ビタミンA欠乏症や早期に配合飼料の食い止みなどや体調異常を来たすことになる。
子牛市場で高価なセリ価格を期待するが余り、成長に効果的な子牛育成用のペレットなどを多給し、成長した肥育牛並みの皮下脂肪などが多量に蓄積され、尾枕(尾根部両側に脂肪の塊で盛り上がる様子)が出来ているケースがある。この様な子牛はそれまでの粗飼料の摂取量も少なく、導入後も同様となる。
優れた血統を有する子牛でも、飼い方がそれに伴わねば、ただの牛である。
子牛生産農家は、折角の牛肉生産のための貴重な資源であることと、牛は草を喰う反芻動物という本来の特徴を正しく理解して育成して貰いたい。最近では、パソコンに導入牛の様々なデータと肥育成績を入力しているケースが大多数である。パソコンは、様々なケースで肥育成績が分析できる。勿論個々の生産者毎のデータも一瞬に一覧できる。つまり生産農家がその子牛によって評価されるケースがあることも理解すべきである。生産農家は高価で子牛を提供する代わりに、それに見合う優れた子牛を育成すべきではないだろうか。
子牛には十分な草を与えることが不可欠なのである。
とくに、黒毛和種の子牛が生まれれば、畜主はニンマリである。
子牛市場に出せば、その平均セリ価格は50万円前後もするからである。
ここ数年、子牛価格は高値安定である。これまで肥育経営者は、飼料費や枝肉価格が安定的に推移してきたため、多少の黒字であった。が、今にいたり、飼料の超高騰と品薄感、燃料費等の高騰等が、経営を厳しい現実へと押しこもうとしている。
その点、繁殖経営では、肥育のように配合飼料を多給しないため、自給飼料等を上手にやりくりすることにより、経営を安定化できる。しかし、従来のような全てが輸入飼料一辺倒の手法では、その改善は実現しない。酪農経営においても、広い草地を持ちながら荒らし、輸入飼料に頼ってきた付けが、そろそろ廻ってきそうな状況にある。和牛の繁殖経営の場合も、現実は薄利多売的に多頭化して、安定的な子牛の供給と経営改善への努力を期待したい。
子牛価格のことはさておき、子牛が生まれることは、貴重な資源に恵まれたことになる。つまり様々な意味で宝物なのである。子牛市で、価格で子牛を評価するが、その牛の能力を見極めて評価しているわけではなく、市場の名簿から、生後日数、市場での体重、血統、発育に支障のあるような特徴や経歴等を調べて、購買者間の駆け引きを含めての評価である。増体や肉質など潜在的が能力を見極めたわけではなく、これらの情報を素に自らの経験的カンを駆使しての結果である。だが、購買者の飼育環境や肥育技術と取り組みの姿勢によって、子牛は、良くも悪しくも自在にそれなりの結果となる。
最悪の場合は、事故や病気が基で、死亡することも多々ある。逆に血統など差ほどの期待をしなかった子牛が、枝肉単価3,000円を付けることもある。
また子牛には特例的に最新情報を駆使し選別した子牛を種雄牛に育成し、和牛改良に大きく貢献する子牛もいる。
それに、つまりは我々の貴重な蛋白源として有用な食糧になること事態が、牛は宝物なのである。
この様な宝物は大事にしっかり育てたいと思う。
その一方で、和牛に関わる改良や育種学等に貢献している関係者も、5年や10年先の改良ではなく、先達たちがそうであったように、さらに将来的なビジョンを打ち立てて、取り組んで貰いたいものである。
様々な畜産県がある。行政の立場から真剣に取り組んでおられる。しかし、その結果が、例えば農家の和牛経営にマイナスとしての影響を与えているケースもある。
府県独自で、優秀な種雄牛を育成したから、農家は率先して交配するように指導する。結果は、他県産や民間の種雄牛の産子より、かなり劣悪で、子牛価格も10~15万円も安価に引き取られ、その挙げ句、生産意欲が低下して和牛飼養から手を引くケースもある。技術者は井の中での技術や、自らの業績優先でなく、せめてもの税金でサラリーを得ている方々は、納税者の農家の、利益となるための技術を展開して貰いたい。
また、肥育成績において、その取り組み方にもよるが中々上物率が上がらない現実がある。しかし、それが横ばい状態であれば、まずまず及第点である。それは、専門家に経年的に例えばロース芯の一部の脂肪含量を測定して貰うとしたら、おそらく年々その数値は上がっているはずである。例えば、00年度のBMSナンバー12の写真があるが、それを現時点での格付けで比較するなら、BMSナンバー8~9程度であるる。技術は肥育の現場でも進歩しているのである。
この格付けの良否は判断が分かれるところであるが、これらの現実から、雌牛群や種雄牛のかかる能力は確かに改良されていると言えよう。
日々生まれる宝物は貴重な資源として、その存在価値をいぶし銀の如く輝かせているのである。
子牛市場に出せば、その平均セリ価格は50万円前後もするからである。
ここ数年、子牛価格は高値安定である。これまで肥育経営者は、飼料費や枝肉価格が安定的に推移してきたため、多少の黒字であった。が、今にいたり、飼料の超高騰と品薄感、燃料費等の高騰等が、経営を厳しい現実へと押しこもうとしている。
その点、繁殖経営では、肥育のように配合飼料を多給しないため、自給飼料等を上手にやりくりすることにより、経営を安定化できる。しかし、従来のような全てが輸入飼料一辺倒の手法では、その改善は実現しない。酪農経営においても、広い草地を持ちながら荒らし、輸入飼料に頼ってきた付けが、そろそろ廻ってきそうな状況にある。和牛の繁殖経営の場合も、現実は薄利多売的に多頭化して、安定的な子牛の供給と経営改善への努力を期待したい。
子牛価格のことはさておき、子牛が生まれることは、貴重な資源に恵まれたことになる。つまり様々な意味で宝物なのである。子牛市で、価格で子牛を評価するが、その牛の能力を見極めて評価しているわけではなく、市場の名簿から、生後日数、市場での体重、血統、発育に支障のあるような特徴や経歴等を調べて、購買者間の駆け引きを含めての評価である。増体や肉質など潜在的が能力を見極めたわけではなく、これらの情報を素に自らの経験的カンを駆使しての結果である。だが、購買者の飼育環境や肥育技術と取り組みの姿勢によって、子牛は、良くも悪しくも自在にそれなりの結果となる。
最悪の場合は、事故や病気が基で、死亡することも多々ある。逆に血統など差ほどの期待をしなかった子牛が、枝肉単価3,000円を付けることもある。
また子牛には特例的に最新情報を駆使し選別した子牛を種雄牛に育成し、和牛改良に大きく貢献する子牛もいる。
それに、つまりは我々の貴重な蛋白源として有用な食糧になること事態が、牛は宝物なのである。
この様な宝物は大事にしっかり育てたいと思う。
その一方で、和牛に関わる改良や育種学等に貢献している関係者も、5年や10年先の改良ではなく、先達たちがそうであったように、さらに将来的なビジョンを打ち立てて、取り組んで貰いたいものである。
様々な畜産県がある。行政の立場から真剣に取り組んでおられる。しかし、その結果が、例えば農家の和牛経営にマイナスとしての影響を与えているケースもある。
府県独自で、優秀な種雄牛を育成したから、農家は率先して交配するように指導する。結果は、他県産や民間の種雄牛の産子より、かなり劣悪で、子牛価格も10~15万円も安価に引き取られ、その挙げ句、生産意欲が低下して和牛飼養から手を引くケースもある。技術者は井の中での技術や、自らの業績優先でなく、せめてもの税金でサラリーを得ている方々は、納税者の農家の、利益となるための技術を展開して貰いたい。
また、肥育成績において、その取り組み方にもよるが中々上物率が上がらない現実がある。しかし、それが横ばい状態であれば、まずまず及第点である。それは、専門家に経年的に例えばロース芯の一部の脂肪含量を測定して貰うとしたら、おそらく年々その数値は上がっているはずである。例えば、00年度のBMSナンバー12の写真があるが、それを現時点での格付けで比較するなら、BMSナンバー8~9程度であるる。技術は肥育の現場でも進歩しているのである。
この格付けの良否は判断が分かれるところであるが、これらの現実から、雌牛群や種雄牛のかかる能力は確かに改良されていると言えよう。
日々生まれる宝物は貴重な資源として、その存在価値をいぶし銀の如く輝かせているのである。