goo blog サービス終了のお知らせ 

牛コラム

肥育牛と美味しい牛肉のはなし

原発事故に思う

2011-04-14 00:23:35 | 雑感


チェルノブイリの原発事故が発生した後の1990年に、1冊の本を読んだことがある。
若い研究者が原発事故を想定して書き残し、故人となった後、同僚たちが冊子にまとめたものであった。
今では、その記憶が多少欠落しているが、概ね次のような内容であった。

敦賀・高浜・美浜辺りの原発がM7だったかM8の地震を受けて、放射能流出が始まり、北からの風を受けて目に見えない放射能は関西地方を覆い、さらに南下し九州を覆ったところで、北向きの偏西風に乗って、東海、関東、さらには東北地方へと北上して、日本中が壊滅状態に至らしめるというものであった。
視力に入らない放射線は、人々に気づかれることなく、オフィスや一般家庭の窓ガラスを透かして人々に放射線被災をもたらし、その恐ろしさをまざまざと表現した内容であった。

日本に起きる最大級の地震でも原発事故は起こらないという1970年代当時の原発神話を否定した内容で、その危険性を喚起していたが、まさにここに来て、彼らが予測した危険性は福島第一原発事故のレベル7により、現実のものとかしつつある。
原発の安全神話は、脆くも半世紀も経たないうちに打ち消されようとしている。

また、20数年前に調べたことがあった。日本中の自動販売機の稼働数とそれに使用されている所用電力量は、原発1機分であった。
当時と現在を比較していないが、当時の自動販売機の幅は60Cm程度で、加温などは無く、その設置数もかなり少なかったはずであるが、現在では、大きいものでその幅は2m程度のものがあり、ジュースやコーヒーだけでなく、あるとあらゆる製品が自動販売化され、四六時中加温装置付きが大半となっている。
その設置台数に至っては数倍以上を超しているに違いないが、これらに必要な電気は原発数機に上るものと想像がつく。

時代は、様々な分野で電気を必要とし、日本中のあらゆる産業とその経済力は、その電気無しでは成り立たなくなっている。
しかしながら、その付けが原発を必要としながらも、大震災の脅威により事故を誘発した。
今後も日本中の海岸に林立する原発の事故は皆無とは、誰が思考しても考えられない現実性が視野に入りつつある。

国や自治体では、想像を絶するほどの赤字財政であるにも拘わらず、日本国民は贅沢を好み、あくまでも富を得ようとしている。
近年は近隣国なども日本同様に浴する傾向が見られている。

贅沢三昧の至福を選択するか、貧しくとも孫子の時代やそれからの未来永劫に安全で住みよい環境を残すかの二者択一の時の訪れを、遅きに資した感は否めないが実感せずにはいられない。


牛らの緊急避難

2011-04-07 22:52:23 | 雑感


11.4.5付の朝日新聞の朝刊に、和牛が被災地を徘徊している写真が掲載された。
その数は20頭に及んだと撮影された民間人の談話であった。
福島第一原発から周囲30kmの範囲は、畜産業が盛んであるという。
その周囲以外の東北各県では、道路の決壊・電気・水道・飼料の枯渇と畜産関係者は、災害の大きさをつぶさに感じながら手の施し要の無さに、歯ぎしりされている関係者のことが、以来案じられてくる。
例えば、配合飼料を10kg摂取している肥育牛であれば、2日も水を飲まなければ、重度の食滞で急死する可能性がある。
今回の大震災時は、そのようなケースも考えられ、居た堪らない限りである。
朝刊を読みながら、徘徊している牛らのことが、何とも安堵の思いが過ぎった。
避難時に、すべての牛のロープを着るとか、脱柵可能な状態にすることで、牛らは徘徊しながら、いずれ笹や木の葉を求めて山地にでも避難してくれれば、助かる可能性がある。
家畜飼育者以外の部外者は、成牛などは人に危害をもたらすと勘違いしていることも想定できるが、成雄牛以外はそのような懸念は、熊本県阿蘇山地の放牧の例から不要である。
避難や災害復旧に目処が立てば、BSEの置きみやげである個体識別番号が、畜主を教えてくれることになる。
東北と言えば、岩手県八戸市には、壮大な土地を有する家畜改良センター支場などが実在しているが、そのような施設が所有する山地や国有林もある。
被害牛が減少することで、政府の災害支援金の出費も減額に繋がる。
後手後手でなく、有効な手だてが必要な事態である。

風評被害を招かない情報公開

2011-04-01 19:38:33 | 雑感


福島県のある村から出荷された牛のモモ肉から、国が定める基準値以上の放射性物質が検出されたというニュースが流された。
その後、国は再調査を実施すると発表した。
検査値は国の基準値より約2%高いだけであった。
これを受けて、生産地の村長曰く、「再調査するなら、その結果を待ってから発表すべきであった」と怒りの談話である。
情報を正確に国民に知らせることは言うまでもないが、確定的な被害を及ぼす数字であれば、なおさらのことである。
しかしながら、先のほうれん草や牛乳などの例で見るように、市場評価は風評被害を巻き込んで、入荷拒否や競り価格の極端な下落に加えて、心ない消費者の極端な買い控えが生じることで、如何にも生産者に因があるがごとき市場評価となって生産地を壊滅状態に追い込みかねない問題をはらんでいる。
そこらの影響要因を政府など関係省庁は、把握し慎重な対応がとれないのであろうかと、その危機管理の無さをつくづく思い知らされる対応ぶりである。
今回の村長談話は、政府のその対応への怒りであったはずである。
経済価値の高い牛肉などへの対処は、問題悪化に至れば、野菜等の何倍もの補償問題が新たな問題となり兼ねない事象である。

牛らも不安を予知している

2011-03-25 16:12:39 | 雑感
牛らも不安を予知している!


原発神話がもろくも崩れ去った。
大震災がもたらした原発の自動停止と津波に起因して、発電施設である原発での停電が放射性物質の流失を塞ぐことが出来なかった。
その流失の影響は、人体には影響ないとしながらも、局所的には計測値が高くなり、福島県の近隣6都県からは、それらが野菜や水道水、酪農施設からは牛乳にまで及ぶこととなった。
関係地域の住民は、放射性物質とそれに汚染した食生活を強いられて不安な思いであろう。
そもそも、停電は想定内のことであり、自家発電に至っては、燃料が不足して発電できないなどは、関係者の原発神話思想がもたらした軽薄な取り組みであったに違いない。
原発が地震により自動停止した場合、その後の対処法に電気が不可欠であることは専門家なら誰もが周知であったはずである。
そのことは理解していたが、津波で停電することを想定していなかったと言うことであろうが、とんでもない専門家たちである。
同神話を掲げてきたからには、国民に放射能被害を与えないために、1にも2にも、10に至るまで次の手を打っていてしかるべきはずである。
我が国では未曾有のM9の地震が発生した。
何時の日かM10が発生しないとは断言しかねない。
今回の数百倍の強度が予測できるが、最寄りの既設原発であろうと木材家屋並みに倒壊しかねない。
国の原発政策の根本的な見直しが不可欠である。

3月11日は、家畜の粗飼料のうちイタリアンライグラスやオーチャードグラスなどは生育中であり、係る汚染に晒されていなければよいがと気がかりであるが、人の食料や粗飼料源となる稲作の定植までに早いところでは1月半と迫っている。
それまでに汚染が回避されることを切に祈らざるを得ない。




震災に思う

2011-03-21 14:50:57 | 雑感


最近になく今冬は、降雪日が多く、多少長引いている感がある。
写真は17日の昼間に撮ったものであるが、当地でも18日の朝まで降り積もった。
日本では未曾有とされている大震災に遭われた東北各県の被災地では、今後も同様の降雪や氷点下が続くであろうと考えると、いたたまれない思いが胸を突く。
家畜の被災状況は、なかなか伝わってこないが、農業新聞で徐々に報じられる程度である。
東北では大型養鶏場が壊滅的被害を被った、長野県では和牛肥育農家の畜舎が倒壊して肥育牛らにも大きな被害が出たらしい、和牛は内陸部で飼育されているケースが多いので、それほどの被害はないようだなどと、人づてのニュースを聞いている。
これらの正確な情報が最初に得られるのは、地元JA関係者や飼料等の納入業者やそのメーカーであろう。
得られた情報が、第一線の家畜に関係する生産者の早期の復興に役立つようでなければならない。
新聞各紙やテレビなどでは、災害時の被害状況を過大報道したり、その影響が見られない内から、食料関連物資の品薄により高騰しているかのような報道が多々見られる。
災害時は、人災やライフライン等の報道は最優先しなければならないが、平行して先ず消費者向けの食料情報だけではなく、先ず生産活動を再開させるための報道が最優先でなければない。
航空や鉄道関係、高速道路や地方道、電気水道等が日を追うごとに復旧していると報道されている。
中でも、飼料関係では関西方面から船舶による輸送が行われているという報道もあり、メーカー各社の取り組みに大きな期待をせざるを得ない状況である。

今回の災害では、政治家の顔が見えてこないというシビアな報道もあった。
5億円を貰ったとか貰わないという政治家さんらが、思い立ったように作業着姿で大型車を連ねて被災地へ救済活動される光景は、昨夜の夢であったようである。





家畜への緊急対策

2011-03-15 18:35:46 | 雑感
日を増すごとに東日本大震災の被害状況の大きさが、テレビ新聞等でまざまざと知らされる。
東北東湾岸の想像を絶する何10という自治体が、いずれも同様の被災状態であることが明らかにされるにつれて、この悲しさの現実をどのように思うべきであるかなどを脳裏に浮かばせることは出来ずにいる。
そのような中、92時間ぶりとか96時間ぶりに生存者が救助されたとの報道に、目頭を熱くしながら「よかったー」の思いがこみ上げてくる。

東北地方の飼料基地は石巻港と八戸港だそうである。
これらの何れも今回の震災を受けている。
東北地方の畜産は、酪農や和牛の繁殖および肥育、養豚、養鶏、これらの何れも大規模化されている。
震災で停電、主要道の通行止め、断水などの被害が現実となり、飼料の確保や自動化された給餌機などに多大な影響が案じられている。
既に搾乳直後の牛乳の集荷が不可能なために、やむなく圃場に投棄するなどの影響が出たとの報道があった。
停電が回復しなければ、水中ポンプや自家配合機も稼働しない。
家畜は水がなければ、生死に影響する。
飼料については、確実な情報はないが、道路の閉鎖中であったり、飼料配合工場の閉鎖が起きていれば、飼料の現場搬入が不可能であり、畜産生産現場に於いては、大打撃を被ることとなる。
家畜も人同様に早急な救護が不可避である。
政府・農水省は被災地救済として、停電対策や緊急車用の高速道を飼料運搬車にも解放し、東北以南からの飼料等の輸送確保について緊急対策が急務である。

牛徒雑感

2011-02-28 23:34:20 | 雑感


毎年2月は子牛価格が上がることで知られているが、今年も例外ではなく曽於や小林では約3万円高で取引された。
実感はないがマルキン事業では肉専用種が久しぶりに1.4万円の黒字に推移されたとして補填金の発動は行われないこととなった。
しかし素牛価格が3万円以上高騰すれば、再び赤字に転落する。
子牛生産サイドには、その分利益が上積みされる。
利益が見込めるようになり、子牛生産頭数が増加し安定的な出荷頭数が確保されれば、肥育サイドも同様に経営安定に繋がるとして期待している。
また子牛の運送費などの軽減のために、肥育地帯の近在で子牛生産が増加してくれることを期待してやまないが、現状では益々期待から遠のいているのが現状である。
従来どおり代わり映えのしない取り組みでは、係る産業は次第に疲弊する一方である。
高校入試のシーズンになったが、志願数が地元ニュースで流されたが、農業関係学科では、40名の募集に1~数名程度とある。
若者たちの農業離れの原因は、3K離れとも言われているが、日本農業の将来は由々しき現実を迎えようとしている。


安全安心のイメージ作り

2008-09-26 21:46:17 | 雑感

食品の安全安心を消費者や関係者に理解と信頼を得ようと肥育生産者などの中には、懸命に努力されているケースが有ると聞く。
基本的に第三者機関に情報を公開して生産品を安全であると認定する方策であれば、確固たる信頼が得られる。
その様な認定でなくても、澄んで静寂な生産環境をアピールしたり、空気や水をアピールするケースもあるようだ。
その様な飼育環境を消費者にイメージ付けすることは、係る産業をより展開する上では、重要な要素であろう。
筆者も出荷用に、オリジナルな生産履歴を1頭1頭作成して添付している。
手前味噌かも知れないが、かなり好評である。
周囲を山々に囲まれ、安心してのびのびと生きているという牛をイメージ化するために、飼育に携わる人たちが牛を囲んだ写真をカラーで貼り付けている。
制作に当たり、消費者がこれなら安心で美味しい牛肉であろうことをイメージしてくれるであろうと意識しながら作成した。
和牛の肥育センターや子牛生産者総意でその様な意識で、消費者に理解を求める努力を重ねて貰いたいと思っている。
そのことによって、和牛への理解が深まり、安全と美味しさをイメージしながら牛肉を消費して頂けようと確信している。

新聞を読んで

2008-08-27 18:34:16 | 雑感


牛肉等の生産履歴を保証する生産情報公表JAS(トレサJAS)の規格緩和のニュースが今朝の日本農業新聞で報道された。
この問題については、前述して子牛を競り市から導入する場合は、子牛生産者と関係の獣医師の正確な情報など同規格が厳格であるため、認定を受けられないと記述した。
報道では、現在牛で同認定を受けて出荷しているのは、全国で僅か0.4%に過ぎないとあった。
農水省の関係者らは、これでは消費者の要望に応えられていないことと、現状ではその割合を増やす見込みがないと判断したのであろう。
そのため競り市から導入した子牛についても、同規格を緩和して認定が受けられるようにするというものである。
具体的な緩和策の詳細は、報道されていないが、今秋中には告知するとしている。
同認定の緩和を待ち望んでいた肥育関係者や流通関係者らには朗報であろう。
この認定を受けて肥育生産された牛肉については、安全性が保証されることから、2~3年後には生協や大手のスーパーなどでの取扱量がかなり増加することが予想される。
生産現場では、安全管理と不慣れな事務処理を抱えることになるが、枝肉にその付加価値が得られるか、流通過程のみの対価となるかが気がかりである。

JAS認定を考える

2008-08-19 22:29:36 | 雑感


野菜や食肉などの安全性を求めるために、生産段階から流通までの安全管理等を、第三者機関による認定や検査などにより生産履歴に漏れのない記録が要求される所謂JAS認定制度がある。
同認定を受け、安全性が保持されることによる付加価値は、消費者への信頼性を得ることと、かかる手間を代償とした付加価値は存在するが、消費者のニーズにより一定した効果は期待できない可能性がある。
食肉卸売会社の社長によると、牛肉においても販売店や量販店等から同認定を受けている牛肉の引き合いが徐々に増加しつつあり、今後さらに加速しそうだとの話を聞いた。
因みに、国内では、乳用種やF1などは北海道・東北地方で同認定された牛肉が流通し、通常1kg当たり1,700~1,800円程度のものが2,000円程度で流通していると聞いた。
一方和牛の同認定には、大きな壁がある。
それは、生産履歴を事細かに記録する必要性から、肥育素牛を子牛市場から導入することにそのネックがある。
現在子牛市場に出荷する際、子牛登記とともに購買者に手渡している生産履歴では、日常的な飼育法や疾病記録が具体的でなく、その内容がJAS規格では資料不足であり、認定の対象となっていない。
市場単位の全ての子牛出荷者、肥育場、食肉市場や食肉加工場、さらに食肉卸業と販売店の全てが同規格に沿った安全性が保証された飼養法や食肉処理が行われていて、それらの全てが記録に残され、その全ての過程を定期的に第三者機関が検査して合格することにより、同認定牛肉が誕生することになる。
よって、同認定に限ると、現在の子牛市場からの素牛導入法はその対象外となっている。
家畜市場を通さないで、特定の子牛繁殖施設と肥育場および食肉処理関係箇所で同認定に基づく検査や記録が整えば、同認定は可能である。
また、子牛生産から肥育までを行う一環経営であれば、これも認定の対象になる。
ただ、同認定を受けるためには、毎日の詳細で膨大な記録が必要であることと、第三者機関による同認定のための初度経費や現地検査にかかる旅費や滞在費と検査費用が年に1~2回必要となるため、小頭数での認定では、係る経費率を考慮するとペイしないなどの問題点もある。
肥育牛を年間約50頭出荷する一環経営の牧場が、食肉処理までを実施するとして、この春同認定を受けた。
同牧場で認定牛を出荷するまでは、少なくとも2年余りを要するが、同認定の効果のほどが待たれるところである。