デジブック 『ベルン散策』

デジブック 『ベルン散策』

デジブック 『モンサンミッシェル』

デジブック 『モンサンミッシェル』

デジブック 『スイスアルプス』

デジブック 『スイスアルプス』


スイスアルプスへ行ってきました。
私も家内も海外旅行をしたことがなかったのです。
２月に亡くなった母からの介護に対するご褒美だと思っています。
もちろん母の写真も一緒に連れて行きましたが、元気なうちに一緒に行きたかったとあらためて思いました。

犬の遠吠え

先日、車内で女性に絡んでいる人に注意をしたら、反対に殴られて重傷を負ったというニュースが報じられていた。
この注意した人は勇気のある人だと思った。
私だったら黙って見過ごし、注意ができなかったと思う。

先日津軽三味線のコンサートを聴きに行った時のことである。
最後部のすぐ前の列で舞台から遠いため、演奏は聴こえるが、言葉は聞き取りにくかった。はっきり顔が見られないほど離れている。口の動きも読み取れない。皆が笑っても、なにがおかしいのかわからない状態。早速購入したばかりの補聴器を装着した。しかし、相変わらず聞きづらく、補聴器のボリュームを上げてみたが変わらなかった。もう少し舞台マイクのボリュームを上げてくださいと大声を出して言おうと本気で思った。ところが、隣の家内に尋ねるとちゃんと聞こえるという。私の耳には聞こえないが、皆には聴こえていたのである。大きな声を出さなくてよかった。

ところが今度は私のすぐ後ろ、最後列の二人連れのしゃべる声が気になった。
補聴器のすぐ後ろでしゃべるので、よく聞こえる。内容がはっきり聞こえるわけではないが、声を発していることは明らかにわかる。その音が気になって舞台からの声は余計に聞き取れなかった。聞こうと思う声は聞こえず、聞きたくない声が聴こえる。次第にいらいらし始めた。
後ろを振り向いて静かにしてくださいと何度も言おうと思った。しかし、ここで注意すると、あとが気まずくなるだろうと思い、言うことができなかった。
最後部の席で、話し易いのか、一向に二人のおしゃべりは終わらない。それどころかますます楽しそうに話がはずんでいた。
公演が終わって席を立った時、どんな人だろうと後席に目をやると、かなり高齢の男女の二人連れであった。
明らかに夫婦には見えない。この歳の夫婦ならこんなにしゃべりあうことはない。津軽三味線を肴に逢瀬を楽しんでいるように見えた。自分たちは楽しいかもしれない。聴く気がないのならさっさと帰ってくれたらいいのにと思った。本当に傍迷惑な二人であった。
家内も腹を立てていた。私と同じように注意しようと何度も思ったという。
隣を歩くご夫婦連れの奥さんが、こんなコンサートは初めてだと息巻いてご主人に話されていた。私たちと同じように怒っていたのだ。そのご夫婦は問題の二人連れの隣に座っておられた人であった。
お宅らはすぐ前だったので、余計にうるさかったことでしょう、本当に困った人たちだったねと私たちに同情してくれた。
その奥さんは自分のご主人がその人たちに文句を言いだすのではないかとはらはらしていたという。それが気になって演奏を聴くどころでなかったそうだ。
それにしても、その二人連れに注意できなかった自分が恥ずかしい。おそらくそのご主人も迷いながらも私と同じように結局注意をすることができなかったのだろう。
怒っていることに気がつかれないように、わざわざ知らぬ顔をしていたのだが、むしろ、怒っていることを知らしめるべきだった。注意しないまでも少しは気の付くように、じっと二人の顔を睨んでやるくらいの意地悪をしてもよかったのではないかと思っている。
迷惑をかけた当事者のいないところで、どれだけ言ったところで、その人たちを反省させることはできない。犬の遠吠えであるが公演中のおしゃべりが人に迷惑をかけるとわからない者に、コンサート会場に来る資格はないと言いたい。

注意して重傷を負った人の勇気ある行動を思うと、非常に恥ずかしい。
やはり、あの時はひと言注意するべきだったと反省している。