雪の下

 定年退職した年寄りが日ごろ感じることや、ドライブ、山歩きなどで撮る風景、草花の写真を記録します。
 気の向くままに。

安房山を登る

2006年08月27日 | Weblog
 
飛騨と信州を結ぶ安房トンネルは平成9年12月に開通した。
それまでは安房峠を通っていた。トンネルが完成してから峠の通行量は激減したそうだ。峠の茶屋はもう営業していない。
茶屋のすぐ上に馬鹿でかいコンクリート製の筒が見える。安房トンネルの排気口だ。安房山の登山口はそのすぐ横にある。登り始めるとすぐに急登が待っている。縄梯子とロープが設置されている。急登であっても1歩1歩着実に登って行けば比較的怖さは感じない。はしごやロープがなくなってもかなりの急登が続く。バス1台42人の仲間と一緒に登りはじめた。私の前に10人ほどおられるが、皆さん元気でどんどん登っていかれる。30分ほど登っただけだのにもう息切れ。長く伸びた1列縦隊で私の前だけが空く。スピードについていけないのだ。苦しいが、そう早々とリタイヤするわけにいかない。無理をしてついて行く。辛そうに見えるのかガイドさんが、大丈夫ですかと聞いてくれる。大丈夫ではないが、何とかついていきますと答える。時々前を行く人達が立ち止まってくれるのがうれしい。そうでなければ追いつくことが出来ない。マイペースでいいですよと言ってくれるが、前が空くとあせってしまう。私の前をそんなに空けるわけにいかないのだ。背丈ほどの熊笹が登山道を覆っている。それを両手でかき分けながら進むのだが、ところどころに倒木があって、道を塞いでいる。油断すると、それらに足をとられる。前を行く人が「倒木注意」などと教えてくれるので助かる。この道は山頂にある風力発電施設の建設用に作られたものらしい。しっかりした道だがあまり登山者は入っていないようだ。
 一方的な登りが続く。心臓の休まる暇がない。立ち止まって呼吸を整える回数が多くなる。特に急な段差は足が上がらない。後続の人がお尻を押しましょうかと言ってくださる。私は声がでないほどばてているのに、余裕がうらやましい。このままここで休み、皆の帰りを待とうかと何度も思ったが、思い直して進む。
 
 休憩時、後方で疲労の激しい人がでた。その人が、先頭のガイドさんのすぐ後ろに行かれた。確かにひどく疲れているように見えた。その人が前に行ってから、進むスピードが遅くなった。私には好都合である。おそらく以前のスピードが続けば、途中でリタイヤしていただろう。その人には悪いが、苦しいのは自分だけでないと思うと、楽に歩けるような気がするので不思議だ。
 スピードが遅くなったこともあるが、頂上に近づくにつれ勾配は緩やかになり、苦しさも和らいだ。頂上2,219m地点は、木に覆われていて展望は利かない。少し行き過ぎると風力発電用の鉄塔と立派な建物がある。その周りに小さな広場がある。ここでしばらく休憩し、折り返す。木の間から穂高が見える。残念なことに上のほうは雲に隠れて見えない。
 
 下りは気が楽である。心臓への負担はほとんどない。倒木にさえ注意しておれば問題なさそう。しかし、よくもこんなところを登ってこられたものだと思うような段差、やせ尾根などがある。油断すると、木の根っこに足をとられる。左右の手で熊笹を掴みながらゆっくり下る。途中、展望の開けたところから焼岳と穂高がよく見える。登るときにも見えたはずだが、周りを眺める余裕がなかったのだろう。
 
 気がつかなかったが、途中でリタイヤした方が4名おられた。その人たちは登山道で皆が戻ってくるのを待っていた。気温が低いため、静かにしていると寒い。カッパを着て待っていたとおっしゃる。
登山口近くの急登地点に戻った。縄梯子、ロープを頼りに一人ずつ下る。登ったときより下りのほうが怖さを感じる。ガイドさんが、親切にリードしてくださるので、指示通りに下りればいい。といっても自分の手と足が頼りだ。慎重に下りる。トンネル排気口の横の広場で後続の人の下りてくるのを待つ。
腰を下ろしてゆっくりする。焼岳の噴煙が見える。涼しくて気持ちがいい。全員無事下山。安房峠を通る車は少ない。
山はもう秋である。

 平湯温泉「ひらゆの森」で汗を流す。温泉から出た頃、猛烈な雨が降ってきた。バスの中で問題はなかったが、これが少し前にずれていたらと思うとぞっとする。
山の天気は怖い。
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板取山

2006年08月18日 | Weblog
 静岡県中川根町の「板取山」を歩いてきました。
遠州南赤石林道を中型バスで行ったのですが大変な悪路でどうなることかと思った。
あいにく土砂降りの雨で視界はほとんどなし。
片方は切り立った崖、片方は吸い込まれるような深い谷、そんな中をバスは登って行きます。途中から舗装路が土の道に変わります。各所で道路工事が行われています。すり替わることの出来ないほどの細い道です。
雨でえぐらえた路面が川のようになっていて、川原の中を走っているよう。車体が左右に大きく揺れる。おまけに落石がいっぱい。落石注意の標識の前で、それらを手でどかしながら進むのです。歩くより遅いスピードでの移動です。
バスが傾くたびに谷に落ちるのではないか、上から岩が落ちてくるのではないかとひやひやの連続です。
無事、登山口の「山犬段」に着いた時、皆さんから思わず拍手が沸き起こりました。運転手さんの頑張りに感謝です。
正直なところ、バスの走れるような道路ではありませんでした。

到着しても土砂降りの雨は相変わらず降り続いています。
12時20分、完全防備で出発しました。
1時間ほどで小降りになったのですが、ガスで遠くは見えません。
ブナ、ツガなどの大木のある自然林が続きます。
晴れていれば、南アルプス南部の山々が望めるようですが、今回はまったく見えません。
林道と違って登山道はよく整備されていて歩きやすい道です。
身体は正直で、少し登りが続くと心臓は苦しく、額からぼとぼとと汗が流れ落ちます。雨具の中は汗でびしょびしょ。
幸い雨があがったので、雨具を脱ぎ、Tシャツ1枚になる。涼しくて気持ちがいい。
いったん下ってまた登り返す。やはり登りは苦しい。
ガスがどんどん消えていく。頂上に着いたときの展望に期待して進む。
比較的緩やかな勾配が続き、苦しさはない。

1,612m板取山の頂上に着く。雨はあがっているが、残念なことに展望はまったくなし。晴れていれば、朝日岳、前黒法師岳、聖岳などが見えるという。
南アルプスは山が深く、重厚で広大。展望を楽しみにしていたが仕方がない。もう少し先のピーク「天水」まで行く予定であったが、予定時刻を過ぎておりここで引き返す。
帰路は登りの少ない巻き道で帰る。足元の岩は苔むして滑りやすい。慎重に歩く。
16時スタート地点に帰着。
遅れを取り返そうと急いでバスに乗ったが、帰り道が怖い。雨は止んだが、深くえぐられた路面はそのまま残っている。落石に注意しながら慎重な運転が続く。
途中タイヤの異変を感じた運転手がタイヤを点検する。何とか走れるということで入浴場所の川根温泉まで走る。この温泉は大井川の川岸にあり、露天風呂がいい。ナトリウム塩化物泉でショッパイ味がした。源泉掛け流しということでなかなかいい温泉。
 案の定後輪のダブルタイヤのうち1本がパンクしていた。私たちが汗を流している間に運転手がタイヤ交換してくださる。
22時10分名古屋駅到着と予定を大幅に遅れたが、運転手の苦労を考えると大したことではない。

山歩きより、その前後で冷や汗をかいた1日であった。
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にわか庭師

2006年08月11日 | Weblog
暑い!
今日も朝から快晴。台風一過快晴が続く。
朝方はクーラーをつけず、窓を開け放つ。風さえあればそのほうがさわやかで気持ちがいい。
 
 小さな庭に藤の木がある。もう20年くらい前に区役所からもらったものだが、花をつけたことがない。切ってしまうのが惜しくてそのまま延ばしている。その藤つるが松の木に絡み付いて伸びている。前から気になって仕方がないといって家内がはさみで切り始めた。ちょっとくらい手伝ったらと言われるのかと思ったが何も言わない。いわれても仕方がないのだ。この暑さで家のことは一切やらないのである。居間と冷蔵庫の間を行ったりきたり。寝ているか、テレビを見ているか、何かを食べている。そんなダラダラとした生活を送っている。
 
 やぶ椿の葉が生い茂って庭が暗い。少しくらい手伝おうと私もはさみを持ち出した。始めは下のほうだけ少し切るつもりであったが、やりだしたら次から次と切りたくなった。結局脚立を持ち出して本格的に切った。すっかり邪魔な枝を切り落としさっぱりした。今頃切って来年花をつけるだろうかと思ったが、切ってしまったものは仕方がない。切るのはいいが、落とした枝を拾うのが一苦労。おなかのふくらみが邪魔をして下を向くのがつらい。片つけるのは家内の仕事である。私は切るだけ。庭師の仕事は勤まらないなと改めて思う。

 ほんの1時間ほどであったが、全身汗びっしょり。早速シャワーを浴びる。今日は久しぶりにいいことをした。
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