いわゆる大都市部以外に暮したことのない私は、どこからどう見ても地方都市でしかない「田舎」に暮すようになって数年が過ぎますが、いまだに私のなかでは未経験な生活環境に苦闘しています。
地方都市、しかもそのなかでも決して大きい方ではないコテコテの地方都市あるいは地域社会ってのはそうなんでしょうか、とても「狭い」んです。町の規模はいうまでもなく、人間関係も狭い。
子供の同級生の親たちの多くは、自分の子供たちと同じ小学校、中学校の卒業生で、先輩後輩の関係。下手をすればクラブ活動も一緒で、高校まで一緒なんてケースも。そして同じ地域の同じ学区で育った者たちが結婚して、というパターンも。
そんな「狭い」コミュニティーに期せずして舞い込んだ我が家は、これまたコテコテの他所者。
普段「他所者」という疎外感を感じることはまったくありません、普段は。子供たちは今の暮らしがすっかり気に入り、友達も少なくありません。
ですが、ふとしたことで、自分たち一家が、「狭い」コミュニティーの更に「狭い」人間関係のなかに溶け込めていないことを感じずにはいられないことが、あります。子供のころから近所づきあいがあり、しかも男女の別関係なしに先輩後輩、あるいは夫婦なんていう人たちの長年にわたって築き上げられた濃密な人間関係のなかに入っていくには、どうしようもな限界を感じてしまいます。彼らがお互いに叩ける軽口も、私にはできません。思い出話なんかで話が盛り上がれば(集まれば、多分にそういうことになるのですが)、もう頷いているしかない。
まあ仕方ないか、そういうものだよな、と思ってはいましたが、やはり月日の経つのに伴い周りがよく見えるようになってくると、大人同士の関係が子供同士の関係にも少なからぬ影響を及ぼしている(いた)ことに気づかざるをえません。理屈でいえば、「そんなこと当たり前じゃないか」と言われてしまいそうで、確かにそうなんですが、うちの子供たちの場合、学校でも、近所でもあっという間に溶け込み、しかもあまり簡単に馴染み過ぎて逆に
一部の嫉み・妬みを買うというおまけまでついてしまったくらいなので、油断というか、子供たちの場合は「よそ者」にならずに済むかなあと思っていたら、そうではなかったことに最近・・・。
先日も子供の学校外活動の関係で親同士が集まる機会があったのですが、子供のことで扱ったのですから、当然話題の中心は子供のことになります。そこで気付いたのは、親同士の昔からの緊密な関係は、子供たち同士の付き合いにも影響を及ぼし、学校の外での付き合いも濃密になります。それはそうだろうと以前から分っていたことなのですが、実は私が想像していた以上らしい。それに、約3時間飲み食いする間、うちの子供たちのことは、一切話題にも上らない。厳密にいえば、うちの子たちだけ、話題にすらのぼらない。
近所では、うちは子供たちのたまり場。特に上の子の場合、同級生から上は中学生まで、いろいろな子たちがひっきりなしに出入りしています。これは今の場所に引っ越してくる前から変わりません。学校でも、先生方の話では、親の嫉み・妬みが原因でトラブったケース以外は、人間関係は極めて良好だとか。良い意味であまり自己主張せず、人によるわけ隔てがないところが、彼のまわりに人が集まる理由ではないかというのが、現在の担任の先生の分析。
ところが、「うちの子の話が一度も話題に上らなかった」のです。妻も当然のことながら気付いていたようで、帰宅後即それが夫婦の話題になりました。何が原因なのだと?子供に原因があるとは思えない。とすると、私たち夫婦に? 私たちはともによそ者ですし、経歴や職業も他の保護者とはかなり違う。もっと、保護者との接触をこちらから積極的に取らなければいけない? とはいっても、共稼ぎ家庭は我が家だけではなく、むしろ共稼ぎが多数派。しかも、私は、週末勤務も不定期にありなかなか接触の機会を増やすなんてできません。下の子供の用事もあります。実家がすぐ近くとか親と同居という家庭が多いようなので、そういう人たちは、用があればおじいちゃん、おばあちゃんに預けてということが簡単にできますが、うちはそうはいきません。
「あの子もこの疎外感みたいなのを感じているのかなあ」と妻。私はむしろその方が気になります。ですが、上の子は、辛抱強いのか何なのか、昔から「嫌なこと」は口にだしません。今の課外活動も、本人としては意に沿わないところが子供同士の人間関係ではないところであるようなのですが(見ていてわかります)、それも決して口に出しません。そういう性格なので、もし心ひそかに「疎外感」を感じてさみしい思いをしていたとすれば、親としては申し訳ないとしか言いようがないのですが、ではどうしたらよいのか、なかなか思いつきません。
妻「都会だったら、こういうこともないんだろうけど・・」
私「都会は都会で、違った意味で疎外感感じちゃうかもしれないよ。近所に子供がいないとか、近所づきあいすらないとか・・・。」
妻「私たちがいけないんだろうか?」
私「毛色が違うってか? そりゃ、今更どうしようもできないだろう?」
妻「普段の様子みていても、あの子が他の子供たちから仲間はずれにされている様子はまったくないよ。だって、一昨日遊びに来た○○君も、△△君も、みんな一緒だし・・」
他にも話題に上らない子がいたというなら別に気にはしなかったと思うのですが、「うちの子供だけ」というのは、気になります。
話題に上らなかったからといって、子供の活動に今後重大な影響が出るということにはならないかもしれません。神経質になり過ぎることもないのかもしれません。でも、保護者の参画とサポートがあって初めてなりたつ課外活動です。その保護者たちから「うちの子だけ」が他の子と同じような扱いを受けられない(受けていない)としたら・・・、と考えてしまいます。
地方都市、しかもそのなかでも決して大きい方ではないコテコテの地方都市あるいは地域社会ってのはそうなんでしょうか、とても「狭い」んです。町の規模はいうまでもなく、人間関係も狭い。
子供の同級生の親たちの多くは、自分の子供たちと同じ小学校、中学校の卒業生で、先輩後輩の関係。下手をすればクラブ活動も一緒で、高校まで一緒なんてケースも。そして同じ地域の同じ学区で育った者たちが結婚して、というパターンも。
そんな「狭い」コミュニティーに期せずして舞い込んだ我が家は、これまたコテコテの他所者。
普段「他所者」という疎外感を感じることはまったくありません、普段は。子供たちは今の暮らしがすっかり気に入り、友達も少なくありません。
ですが、ふとしたことで、自分たち一家が、「狭い」コミュニティーの更に「狭い」人間関係のなかに溶け込めていないことを感じずにはいられないことが、あります。子供のころから近所づきあいがあり、しかも男女の別関係なしに先輩後輩、あるいは夫婦なんていう人たちの長年にわたって築き上げられた濃密な人間関係のなかに入っていくには、どうしようもな限界を感じてしまいます。彼らがお互いに叩ける軽口も、私にはできません。思い出話なんかで話が盛り上がれば(集まれば、多分にそういうことになるのですが)、もう頷いているしかない。
まあ仕方ないか、そういうものだよな、と思ってはいましたが、やはり月日の経つのに伴い周りがよく見えるようになってくると、大人同士の関係が子供同士の関係にも少なからぬ影響を及ぼしている(いた)ことに気づかざるをえません。理屈でいえば、「そんなこと当たり前じゃないか」と言われてしまいそうで、確かにそうなんですが、うちの子供たちの場合、学校でも、近所でもあっという間に溶け込み、しかもあまり簡単に馴染み過ぎて逆に
一部の嫉み・妬みを買うというおまけまでついてしまったくらいなので、油断というか、子供たちの場合は「よそ者」にならずに済むかなあと思っていたら、そうではなかったことに最近・・・。
先日も子供の学校外活動の関係で親同士が集まる機会があったのですが、子供のことで扱ったのですから、当然話題の中心は子供のことになります。そこで気付いたのは、親同士の昔からの緊密な関係は、子供たち同士の付き合いにも影響を及ぼし、学校の外での付き合いも濃密になります。それはそうだろうと以前から分っていたことなのですが、実は私が想像していた以上らしい。それに、約3時間飲み食いする間、うちの子供たちのことは、一切話題にも上らない。厳密にいえば、うちの子たちだけ、話題にすらのぼらない。
近所では、うちは子供たちのたまり場。特に上の子の場合、同級生から上は中学生まで、いろいろな子たちがひっきりなしに出入りしています。これは今の場所に引っ越してくる前から変わりません。学校でも、先生方の話では、親の嫉み・妬みが原因でトラブったケース以外は、人間関係は極めて良好だとか。良い意味であまり自己主張せず、人によるわけ隔てがないところが、彼のまわりに人が集まる理由ではないかというのが、現在の担任の先生の分析。
ところが、「うちの子の話が一度も話題に上らなかった」のです。妻も当然のことながら気付いていたようで、帰宅後即それが夫婦の話題になりました。何が原因なのだと?子供に原因があるとは思えない。とすると、私たち夫婦に? 私たちはともによそ者ですし、経歴や職業も他の保護者とはかなり違う。もっと、保護者との接触をこちらから積極的に取らなければいけない? とはいっても、共稼ぎ家庭は我が家だけではなく、むしろ共稼ぎが多数派。しかも、私は、週末勤務も不定期にありなかなか接触の機会を増やすなんてできません。下の子供の用事もあります。実家がすぐ近くとか親と同居という家庭が多いようなので、そういう人たちは、用があればおじいちゃん、おばあちゃんに預けてということが簡単にできますが、うちはそうはいきません。
「あの子もこの疎外感みたいなのを感じているのかなあ」と妻。私はむしろその方が気になります。ですが、上の子は、辛抱強いのか何なのか、昔から「嫌なこと」は口にだしません。今の課外活動も、本人としては意に沿わないところが子供同士の人間関係ではないところであるようなのですが(見ていてわかります)、それも決して口に出しません。そういう性格なので、もし心ひそかに「疎外感」を感じてさみしい思いをしていたとすれば、親としては申し訳ないとしか言いようがないのですが、ではどうしたらよいのか、なかなか思いつきません。
妻「都会だったら、こういうこともないんだろうけど・・」
私「都会は都会で、違った意味で疎外感感じちゃうかもしれないよ。近所に子供がいないとか、近所づきあいすらないとか・・・。」
妻「私たちがいけないんだろうか?」
私「毛色が違うってか? そりゃ、今更どうしようもできないだろう?」
妻「普段の様子みていても、あの子が他の子供たちから仲間はずれにされている様子はまったくないよ。だって、一昨日遊びに来た○○君も、△△君も、みんな一緒だし・・」
他にも話題に上らない子がいたというなら別に気にはしなかったと思うのですが、「うちの子供だけ」というのは、気になります。
話題に上らなかったからといって、子供の活動に今後重大な影響が出るということにはならないかもしれません。神経質になり過ぎることもないのかもしれません。でも、保護者の参画とサポートがあって初めてなりたつ課外活動です。その保護者たちから「うちの子だけ」が他の子と同じような扱いを受けられない(受けていない)としたら・・・、と考えてしまいます。