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「漂い紀行 振り返り版」…私の過去の踏査ノートから… 言い伝えに秘められた歴史を訪ねて

萱津神社と正法寺

2021-09-25 00:00:00 | かみのやしろ
(愛知県海部郡甚目寺町上萱津 2008年5月13日)
 阿波手の社と呼ばれ、草の神とされる鹿屋野比売神(かやのひめのかみ)を祀る萱津神社は、平安時代末期の「尾張国神名帳」には従三位萱津天神とあり、漬物の神社とも言われている。日本武尊(やまとたけるのみこと)が神社に参拝した際、村人が漬物を献上した。武尊は、その漬物に対し「藪に神物(こうのもの)」と言い、以来漬物のことを「香の物」と呼ぶようになったとされる。隣接する正法寺は、天平勝宝年間(749-56)萱津神社の社僧が創建したものという。元和元年(1615)曹洞宗に改められている。正法寺には伝説があって、陸奥国信夫郡(むつのくにしのぶぐん:現福島市)から来た藤姫が、京にいる父を訪ねて、夫と共にこの萱津の宿まで来たところ、病のために十六歳で生涯を閉じたという。後日、京の父がこの地を訪れ、反魂香(焚くと煙の中に死者が現れるとされる香)を焚いたが、逢うことができず、以来この付近を「阿波手森(あわでのもり)」と呼ぶようになったという。阿波手にはもう一説あって、日本武尊が伊吹山で負傷した際、この地で待つ尾張氏の娘で妻の宮簀媛(みやずひめ)に逢わずして伊勢に向かった。故に不遇=逢えない:阿波手となったとも伝わる。
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