カイロじじいのまゃみゅむゅめも

カイロプラクティック施療で出くわす患者さんとのやり取りのあれこれ。

復帰目指して、たっちゃん

2010-03-31 19:48:59 | 本日の患者さん
うつ病で3年間、勤めていた会社を休職していた、たっちゃん。
今年5月の連休明けから職場復帰が決まった。

今は自費で通勤の練習をしたり、職場内でのミニ引越しのため私物を整理したりと張り切っている。

もともとは会社の理不尽な移動命令がきっかけで発病したたっちゃん。
今回は会社側も慎重に、手厚く対応してくれてるようだ。
最初の数ヶ月は半日勤務から始めるとの事。
5月連休明けから、というのも、過去にこの時期に復職して順調に経過していたものの、連休によって心身のリズムが狂い、緊張感が持続できなくなり、病気を再発して退職してしまった人が少なからずいたからとの事。

この3年間には、誰の目から見ても、たっちゃんにはつら過ぎる、たっちゃんの病気にとって火に油を注ぐような出来事なんかも起きたりした。
それらに耐えてよくここまで回復したものだと思う。

これからの要注意は張り切り過ぎだ。

スローなブギで行こうぜ、たっちゃん。


大人の雰囲気、モニカ・セッテルンド

2010-03-30 17:31:40 | 本日の楽曲
ブイカやチャベーラばかりを聴いている日々だ。
患者さんはいい迷惑なんだろうな、、、。

この二人。ブイカは野生動物に例えられるだろうし、チャベーラは山岳地方の肝っ玉母さんの雰囲気である。二人とも料理で言えば肉料理。肉汁がとてつもなく旨い。

しかし、さすがのブイカ狂いの徳さんも、たまにはあっさりした食事がしたい。

そう思って、この欄にも登場したコニー・エビンソンという洒落た歌い方をする歌手の唄を流していた。

その時、施療台に横たわっていたAさん。
「あれ!今日の音楽は雰囲気が違いますね」

「うん、たまにはあっさり系が聴きたくなってね。この、突き放したような、けだるい唄い方もなかなかいいでしょう?」

「僕の知らない歌手だな。もっと気だるい雰囲気の歌手がいますよ。ブロッサム・デアリーとモニカ・セッテルンド」

施療が終わって、二人してyou tubeで検索。(カイロ施療士が何をしとるんじゃあ)

ブロッサム・デアリーは子猫のような甘えた発声法が基調になっていて、徳さんの好みには今ひとつ、、、。

モニカ・セッテルンドは完全に大人の気だるさ。理知的で軽く人生をいなしてる感じ。
歌唱法が独特で、肺などこれっぱかしも使ってない感じがする。気負いがなく、淡々と。

煙草片手に、ビル・エバンズと共演しているやつがいちばん出来が良い、とはモニカにぞっこんと言うAさんの評。

自分より10歳は若いAさんに、大人の雰囲気というものを教えてもらった徳さんでした。

年度末違え、やーさん

2010-03-29 20:32:54 | 本日の患者さん
寝違えというのがあるが、やーさんの場合は年度末の忙しさが創り出した年度末違えだ。

坐骨神経痛を訴えていらしてから8年。初めての上半身の訴えだ。

公務員であるやーさん。
年度末の忙しさは毎年やって来るだろうに、上部胸椎の痛みを訴えるのはかつて無かったことである。
しどろもどろの政権交代の余波でもあるのだろうか、、、。

うつ伏せになってもらい触診すると、徳さんの指が軽く触れるだけで、「痛い!」と言って身をよじる。
上部胸椎のことごとくが右に回転してて、おまけに頚椎の関節間にゆとりが無く、首の左右の動きに従って一本の棒状になってしまった上部胸椎が首の動きに従ってしまう。

すぐの矯正は危険なので、上部胸椎の痛みによって引き起こされる、関連した筋肉を緩めることから始める。

こんな時、徳さんは非情だ。
やーさんの訴える場所とは違うので、文句は無かろうと、ぐいぐいほぐす。
「これが治療でなかったら徳さんを殴り飛ばしてやる」とは、似たような症状の患者さんが吐き捨てたお言葉。
それ程に痛いのだ。

不思議なもので、それだけで頑固なやーさんの上部胸椎の歪みの50%以上が改善される。

やーさんもホッと一息。その時点で矯正可能な状態になる。


心療内科

2010-03-28 18:42:09 | 本日の抜粋

      ************************

 *一般に自律神経系の繊維は動物神経系のそれにくらべて、相互によく絶縁されていない状態にあるので、この神経系、特に交感神経に加えられた刺激の影響は、身体のひろい範囲に及びやすい。したがって、この神経系を介して現れるノイローゼや心身症の症状は、全身に複雑で多彩な形をとりやすいことになる。たとえば、感情が強く興奮すると、目のかすみ、口のかわき、流涙、発汗、喉にかたまりのあるような感じ、動悸、息苦しさ、嚥下困難、胃酸過多、体のあちこちの痙攣、腹の張りとガス症状などがおこる。

*しかし一面では、老人たちが、かつての日本の家族制度の中で培われてきた一心同体的で過度に相互依存的な愛情関係から抜けきらないために、嫁姑の問題など、家庭を暗くする存在になりかねない。人間は老いては子どもたちからの「精神的な離乳」が必要だと思っている。しかし同時に、若い世代が、幼時から習慣づけられてきた親にたいする反抗の型、すなわち、一方的で受身的な愛情欲求のあり方を越えて、客観的な立場から「老いたる一個の人間」としての親たちの姿を温く見守り、「奪う愛」ではなく「与える愛」によって、心からその労をねぎらいうるまでに人間的な成長をとげるとき、はじめてこの問題についてのより高次な解決がえられるのではなかろうか。
  子供の離乳にたいするような慎重さで「老人の精神的な離乳」を手伝うだけの温い思いやりが、周囲の人たちにあって欲しいものである。

 *要するに、精神分析的な治療の目ざすところは、「煙突掃除」とか「精神洗滌」とかいわれるように、われわれが出生の当時にもっていたみずみずしい生命力が、スムースに流出できるように、心のパイプのあちこちについている錆をおとしたり、歪みを直したりすることを目的とするものということができよう。

池見 酉治郎 『心療内科』より 中公新書

       **************************

最初の抜粋は、徳さんの勉強のため、、、。
自律神経の神経線維の絶縁が不完全ということを知らなかった。
患者さんの訴える症状の複雑さを理解する上での強力な武器だ。
50年以上前の生理学の常識を素通りして来たことに冷や汗をかいておりまする。

中ほどの抜粋は、50年前に池見先生が切望した老人の精神的自立と尊厳が、今や、無残というしかない状況になっていることを噛み締めるため、、、。

最後の抜粋は、徳さんも、そんな風に救われたいな、と将来の精神的な目標のため、、、。

徳さんにとって、この本が衝撃的だったのは、数枚のレントゲン写真だ。
精神的に落ち付いてる時と感情の高ぶりを引き起こした時の胃や腸の比較写真だ。
怒りや悲嘆のもとでは、胃も腸も原形を留めぬまでに引きつれ、悶絶している。
これほどまでとは思わなかった。
50年前の印刷技術のため、画像が鮮明でないのが残念、、、。

相変わらずおばあさま治療のナ(2)っちん

2010-03-27 18:12:07 | 本日の患者さん
ナ(2)っちんが1週間に一度の割合でカイロの施療を受けるようになって1ヶ月になる。

しかし、徳さんの必死の施療もなかなか効果を挙げてくれない。

とにかく痛がりさんで、通常の3割程度の力で施療することになる。
それでも施療を受けるナ(2)っちんにとっては、とんでもない力でカイロを受けてると思っているに違いない。

弱い力で施療するから効果が出ない、とは考えにくい。
力の方向と、要点が的を得てれば効果は充分期待できるはずだ。

体の動きが固く、赤ちゃん相手にかがみ姿勢が多くなってしまうナ(2)っちんには、いくつかの体操をしてもらうように言ってある。
一人でやる体操と、ご主人と組んでやる体操を。
いずれも、安全で基本的な奴だ。

どうやら、それがほとんど出来てないようなのだ。

ナ(2)っちんにその気はあっても、そばには常に絶対君主の赤ちゃん様がおられる。
この方がなかなかのツワモノのようで、ナ(2)っちんの行動計画の裏をかきまくる。
ちゃんと寝入ったかのようでいて、実はそれはフェイントだったりして、ナ(2)っちんのかすかな行動の変化で目を覚ます。などなど。

ナ(2)っちんが、ようやく自分の事に取り掛かろうという時は、もうナ(2)っちんはクタクタのクタ。
体操をしようという気持ちなんか、どこかへ行っちゃって霧散霧消。

ここ当分はこんな感じなんだろうな。
赤ちゃん様に張りあおうなんて、出来ない話だもんね。

驚異の動物七不思議

2010-03-26 19:17:16 | 本日の抜粋

       ***********************

その日、孵卵日数が四十日をこえたので、あるいはヒナがみられるかも知れないという期待をもって孵卵室をのぞいた。
「キョキョキョ‥‥」
 突然、孵卵器の中から聞きなれない鳴き声がもれてくる。ヒナだ!と思い、早速孵卵器の扉を開ける。しかし、どんなに中を見渡してもヒナはいない。並んでいるのは、クリーム色の卵だけである。キツネにつまれたような感じで見ていると、再びあの鳴き声が身近に起こった。
 何と、その鳴き声は、卵の中から聞こえてくるのである。耳を近づけてみると、その不思議な鳴き声と共に、カサカサというヒナの身じろぎの音まではっきり聞こえる。
「キョキョキョ‥‥‥」
 隣の卵も鳴いた。まるで厚い卵の殻を介してヒナ同士が会話しているようにみえる。
 私はしばし茫然とした。卵が鳴いている、というその現象がいかにも現世のものとは思えぬような不思議な感覚があったからである。(中略)
 この現象が〝卵内ピッキング〟と呼ばれるものであることをあとで知った。
 しかも、親による抱卵の場合には、もう一つの現象が加わる。卵内ピッキングが起こると、これに呼応するように、親鳥が卵にむかってその種特有の鳴き声を上げるのである。
 どうやら、親と卵の中のヒナは、殻を介して鳴き交わしているらしい。
 この現象は、孵化前二十~三十時間もつづく。
 この鳴き交わしが、親子の関係を構築する上で極めて重要な意味を持つことが、その後の経験で徐々に明らかになってきた。

『驚異の動物七不思議』所収 中川 志郎 「ダチョウの卵はなぜ鳴くのか?」より 文春文庫ビジュアル版

        ***********************

テレビなどで時々取材しているが、ペンギンなどの群れの子育てを見ると、感動的なものがある。餌を捕りに海に出かけた親鳥たちが多くのヒナの中から自分の子どもを間違えることなしに識別する。その能力に唖然とするが、その仕組みは、このピッキングにあったようだ。

このようなことは自然の中で放置されてこそ、本来の姿を保ちうる。

この当たり前の事実を、人間は無視する。動物園という奴だ。

よく子育てを放棄された子どもの動物が話題となり、我々にはその親を非難する気持ちがどうしても湧いてしまうが、そもそもの成り立ちが反動物なのだ。

≪動物園≫、、、。

動物愛護協会のような団体から、動物園そのものの存在を巡って議論されたなどという話を聞いた事がない。

そして、人間はその自然を加速度的に破壊し尽さんとしているのだから話にならない。

子煩悩腰痛、バっちん(2)

2010-03-24 18:18:19 | 本日の患者さん
3年前、ぎっくり腰になり、施療に見えたバっちん(2)、以来腰に不安を覚えるごとにいらっしゃる。

腰椎左側湾と腰椎後湾という毎度同じ原因の腰痛だ。
注意はしているとおっしゃるが、仕事などに夢中になって、ふと気付くといけない姿勢になっているのだそうだ。
日頃の姿勢習慣を正すというのは、誰にとっても難しい事のようだ。

ところが今日のバっちん(2)の腰椎はいつもと様子が少し違う。腰椎の下のほうの椎間板の詰まりがあり、腰椎5番が右に回転している。
「いつもの腰痛と痛みが違うんですよね」ご本人もそうおっしゃる。

「お腹を突き出すような作業をしませんでしたか?」
「いや、そんな事はしてませんよ」
「お腹の上に物を載せたりとか」
「あ!子供をお腹に乗せて抱っこしたんだった。腰が弱いんでなるだけ抱っこしないようにしてるんですがね。18キロあるんですよ」

連休に有り勝ちな話だ。

原因が判れば、半分以上治ったようなものだが、腰痛持ちの子煩悩というのも辛い存在ですな、、、。

days japan

2010-03-23 19:48:47 | 本日の贈答品
「それは歳を取った証拠よ」

高校時代の友人に久し振りに会った時のことだ。

「以前は自分を責めるのに忙しくて、受け入れられる世界がとんでもなく狭かったのに、このところ急にいろんなものが新鮮に感じられ、素直な気持ちでいろんな世界に興味を持つようになったよ」

という徳さんの発言に対してのあっさりしたご回答。

最近、好奇心やら、学習欲みたいなものを発信しているのだろう、向こうから世界がやって来る。

今日も患者さんのHさんが、『days japan』28冊、重たいのに施療室まで持って来て貸してくれた。
これからしばらく、知らない世界を突きつけられることになる、、、。

マスメディアが報道しない世界、報道することに抵抗している世界。
マスメディアに大きな力が加わって自己規制している世界。
問題が大きすぎるか小さすぎる、残酷すぎる、報道の平等性を損なうと判断される、などの理由でもって闇に葬り去られようという世界だ。

『days japan』はつい先だって、数百万円の資金不足で廃刊の危機にさらされた報道写真月刊誌だ。今回は、何とかその危機を乗り切れたようだが、その存続が常に危うい状況なのは変わりない。

微力ながらそれぞれに出来ることは、継続的に購読することだ。




ブイカへの道は遠し

2010-03-20 17:18:19 | 本日のコンチャ・ブイカ
何事も挑戦することは良いことだ。

そんな事は判っておる。
しかし、ゼロからの出発が、こんなにも遠回りしなければならないものかと、唖然とする。

コンチャ・ブイカのCDを買ったのは良いが、洋版でスペイン語だらけ。当然チンプンカンプン。題名の意味すら判らない。
辞書を買ってみたが、活用変化が多くて辞書の即効性はほとんどない。ある程度のスペイン語学習が辞書を引くためには必要なそうで、NHKのスペイン語ラジオ講座を聞く羽目に。
現在、ようやく簡単なものに限って辞書が引けるようになった。
まだまだ道は延々と続く。

コンチャ・ブイカの曲を、一曲、もたつきながらでもギター伴奏できないものか?
そう思って、ギターの初心者向けの教則本を辿りだした。
一日に数分しか触れない日も多く、徳さんの満願成就はいつの日か、、、。

そんな折、出張先に出入りするオノコが援軍の名乗りを挙げて来た。
「教えてあげるよ」
そして先日、顔合わせをした。

楽譜、ギターについての初歩的講義を受ける。

彼は独学で音楽を分解、再構築したという独特の方法論を持っているようだ。
目から鱗の解説だった。
しかし、その時は納得したものの、家に帰ればモヤモヤと雪が融けるように徳さんの頭の中の理解が霧散する。
情けない己の理解力、記憶力を、歳といっては許されないだろうか?
おまけに、彼の出してくるお題は『G線上のアリア』だってさ。

徳さんがバッハをやるの~!

恋愛幻論

2010-03-19 20:27:25 | 本日の抜粋

      ***********************

林  それで、非常に適正価格かという場合、着る側の立場で見たときに、あたしいろんな女の人の話を聞いて、まあ、あたしもちょっと売り場をのぞいたりすると信じられない高さですよね、コム・デ・ギャルソンというのは。たとえば、ペラペラのブラウスでも二,三万しますし、はっきりいって素材が悪いというのはスタイリストとかファッションの編集者も指摘している。まあ、それは主観の問題かもしれないけど、適正価格じゃない。何かあたしは、高いイメージ代があの中に入っていると思ってしまうんですね。
栗本 高いからいけないとか、イメージ代が入っているからいけないということは言えないし、そういうことを言いたいんじゃないんでしょ?
林  うん、じゃないんですよ。一見すごく孤高を守るような厳しさを見せながら、実は非常にマスコミと手を取り合っている。
栗本 (指を一本立て、力をこめて)こびている。
林  マスコミの扱い方も知っているという。このごろ出てくる人がみんなそうなんじゃないかと。それから例えば、それに必ず知識人が‥‥‥。
栗本 最後に使われるんだよね。(中略)やっぱりモノがよければいいんじゃないかという論理もあるけれども、その売られ方とか、イメージのつくりだし方というのは、きわめて現代的であると同時に、現代の権力的なやり方をコム・デ・ギャルソンもしているということなんです。

林 真理子 * 吉本 隆明 * 栗本 慎一郎 『恋愛幻論』より 角川書店

       ***********************

およそ四半世紀前の古い本である。
ブックオフで105円にて購入。
105円で質の良い本が並べられていると、痛ましくてつい買ってしまう事がある。

ブックオフの成功の秘訣は、少し美装して当分の期間を半額に、それで売れない本は105円にと単純化し、賃金の安いアルバイト雇用で利益を図るというものだ。

本の世界と言い、音楽の世界と言い、創作者には辛いご時世といえる。

さて、この本。
25年後の林真理子はすっかりおばさんになっているのだろうが、この時は若い。
日本思想界の御大に、己の心情、本音を最初は遠慮がちに、後半は大胆にぶつけている。
ちょっと、すがすがしい。

これは、作家の人格と彼から生み出された作品の関係論でもある。

徳さんも時々想像する。
身近に、ドストエフスキーや太宰治や三島由紀夫や大江健三郎がいたら、さぞかしうんざりするだろうな、って。