カイロじじいのまゃみゅむゅめも

カイロプラクティック施療で出くわす患者さんとのやり取りのあれこれ。

心療内科

2010-03-28 18:42:09 | 本日の抜粋

      ************************

 *一般に自律神経系の繊維は動物神経系のそれにくらべて、相互によく絶縁されていない状態にあるので、この神経系、特に交感神経に加えられた刺激の影響は、身体のひろい範囲に及びやすい。したがって、この神経系を介して現れるノイローゼや心身症の症状は、全身に複雑で多彩な形をとりやすいことになる。たとえば、感情が強く興奮すると、目のかすみ、口のかわき、流涙、発汗、喉にかたまりのあるような感じ、動悸、息苦しさ、嚥下困難、胃酸過多、体のあちこちの痙攣、腹の張りとガス症状などがおこる。

*しかし一面では、老人たちが、かつての日本の家族制度の中で培われてきた一心同体的で過度に相互依存的な愛情関係から抜けきらないために、嫁姑の問題など、家庭を暗くする存在になりかねない。人間は老いては子どもたちからの「精神的な離乳」が必要だと思っている。しかし同時に、若い世代が、幼時から習慣づけられてきた親にたいする反抗の型、すなわち、一方的で受身的な愛情欲求のあり方を越えて、客観的な立場から「老いたる一個の人間」としての親たちの姿を温く見守り、「奪う愛」ではなく「与える愛」によって、心からその労をねぎらいうるまでに人間的な成長をとげるとき、はじめてこの問題についてのより高次な解決がえられるのではなかろうか。
  子供の離乳にたいするような慎重さで「老人の精神的な離乳」を手伝うだけの温い思いやりが、周囲の人たちにあって欲しいものである。

 *要するに、精神分析的な治療の目ざすところは、「煙突掃除」とか「精神洗滌」とかいわれるように、われわれが出生の当時にもっていたみずみずしい生命力が、スムースに流出できるように、心のパイプのあちこちについている錆をおとしたり、歪みを直したりすることを目的とするものということができよう。

池見 酉治郎 『心療内科』より 中公新書

       **************************

最初の抜粋は、徳さんの勉強のため、、、。
自律神経の神経線維の絶縁が不完全ということを知らなかった。
患者さんの訴える症状の複雑さを理解する上での強力な武器だ。
50年以上前の生理学の常識を素通りして来たことに冷や汗をかいておりまする。

中ほどの抜粋は、50年前に池見先生が切望した老人の精神的自立と尊厳が、今や、無残というしかない状況になっていることを噛み締めるため、、、。

最後の抜粋は、徳さんも、そんな風に救われたいな、と将来の精神的な目標のため、、、。

徳さんにとって、この本が衝撃的だったのは、数枚のレントゲン写真だ。
精神的に落ち付いてる時と感情の高ぶりを引き起こした時の胃や腸の比較写真だ。
怒りや悲嘆のもとでは、胃も腸も原形を留めぬまでに引きつれ、悶絶している。
これほどまでとは思わなかった。
50年前の印刷技術のため、画像が鮮明でないのが残念、、、。