カイロじじいのまゃみゅむゅめも

カイロプラクティック施療で出くわす患者さんとのやり取りのあれこれ。

『身近な雑草の愉快な行きかた』 稲垣栄洋 三上治画 ちくま文庫

2019-04-14 07:56:50 | 本日の抜粋
普段、その存在にすら気づかない雑草たち。
おっと、これは人間の勝手な言い草で、生き物としての大先輩に対して失礼というものである。
何億年もかけて生き延びる術を身に付けたものたち、、、。
突然のアスファルトによる地上封鎖にはぶったまげた事だろう、、、。
でも、逞しく生き延びようとする生き物たち。
逞しくならざるを得ない生き物たち。
これはハマスゲの説明箇所である。

この本は徳さんにとっての名著である。
なぜなら、長年の徳さんの疑問にいともあっさり答えてくれた本であるから。
徳さんはこのように身勝手な読者でありまする。


  *****
かたいアスファルトで大地を覆われてしまうと、雑草は反骨心をたぎらせて、アスファルトを持ち上げて芽を出すことがある。小さな雑草のどこにそんな力が秘められているのだろう。
 植物の細胞の圧力を測ると、五~十気圧もあるという。車のタイヤが二気圧程度なのに比べるとかなりの圧力だ。これだけの圧力で休むことなく押し続けるから、ついにはアスファルトをも突き破るのである。
 植物の細胞がこれだけの高い圧力を持っているのには理由がある。植物は土の中から水分を吸収しなければならない。しかし、土は水分を吸着してしっかりと抱え込んでいるから、吸収するというのはそれほど簡単なものではない。この水分を土から引き裂かなければならないのだから相当な力が必要となる。この吸収力が浸透圧と呼ばれる圧力である。細胞内が吸収された水で満たされると、膨れた風船のようになる。この圧力が膨圧である。水分の少ない乾燥地帯にすむ植物は特に強い圧力を持つ必要がある。これらの圧力によって、雑草のあるものはついにアスファルトを突き破るまでになったのである。
  *****



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『生き物が見る私たち』 中村佳子・和田誠

2019-03-19 12:25:57 | 本日の抜粋
人類みな兄弟、といったおバカなコマーシャルが流れていた時期があった。
でも、あれは本当だったのだ。
人間は戦争をする動物だ、とふざけたことを言ったのは梅原猛だったけ。
でも、それも本当だった。

蝶々は、幼虫の頃食べる葉っぱがそれぞれ違う。
棲み分けをしている。
長い年月をかけ、自らの生存をかけて、植物の毒性を特異的に克服し、他との競合を避けた。

蝶々の知恵の何分の一の知恵が人間に備わっていればと思う次第である。

  *****
和田 今日は蝶々の話をうかがいます。
中村 あの、蝶々ってご存知ですか。って(笑)
和田 知ってるつもりですけど。
中村 人間ってね、一種類なんですよ。種ってありますでしょ。
和田 ああ、白人だろうと黒人であろうと同じ種類だということですね。
中村 どれもみなホモ・サピエンス。ですから、誰か一人のゲノムを調べればヒトゲノムを調べましたと言えるし、逆に誰のものを混ぜてもかまわない。ヒトゲノム解析は、米、英、日で分担して行ったのですが、それぞれ自国の人のDNAを解析して合わせたわけです。でも蝶々は、まだ正確なところは調べられてないんですが、二万種類くらいあるんです。
和田 つまり、モンシロチョウがいてアゲハチョウがいて、、、、
中村 アゲハチョウでもカラスアゲハがいたりアオスジアゲハがいたりしますよね。あれみんな、種として違うんです。種が違うっていう意味は、子どもが生まれない。
 *****



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『もう虫歯にならない!』 花田信弘 新潮OH!文庫

2019-03-15 09:50:44 | 本日の抜粋
歯医者さん探しには皆さん苦労している。
良い歯医者さんになかなか出会えないのだ。
そして、一度掛かり始めると継続治療となり、しばらくはその歯科医と付き合わざるを得ない。
以前、近所の評判を聞いて行ってみたら、結果何本かの歯を抜かれた。評判のいいのはそのお父さんで代が替わっていた、、、。

この本は、微生物学、遺伝子学、免疫学などを駆使し書かれた口腔医療の話で、目からウロコの話が多かった。
 * 虫歯は感染症で原因菌はミュータンス連鎖球菌。その存在は30年前にしられていた。
 * ミュータンス菌は本来なら唾液によって駆除されるが、砂糖の援助が入ると唾液から自らをガードする膜を創り膜の内部て繁殖し虫歯を作る。
 * 生まれたばかりの乳児にはミュータンス菌はいない。多くの場合、母親から感染する。噛み砕いて口移しで食事を与えるなど。
 * 出産前後の母親は、つわりなどの影響、子育てのストレスなどで不規則な生活になりやすく口腔内の衛生状態が悪くなりがちだ。
 * 出産前後の母親は虫歯を治しておく必要がある。などなど。

抜粋はよく噛むことの重要性を訴えてる部分。
よく噛めば肥った人はやせ、痩せた人は肥り本人の理想の体重になる、というフィッシャーの法則というのを昔ある本に書いてあったのを思い出した、、、。

  *****
 私が尊敬している加藤武彦先生という方のお話をしましょう。
 横浜で歯科医院を開業している先生が、脳梗塞で倒れたのは平成12年の4月、63歳のときでした。一命はとりとめましたが、口腔を含めて、片側にマヒが残りました。
 そこで、先生は「脳血管が詰まっているなら、よく噛むことで脳の血流が良くなるはずだ」と考え、とにかくよく噛むことを心がけたそうです。片側マヒだったので、思うようにしゃべることもできませんでしたし、食べたり飲んだりするのも不自由でした。歩くのも、もちろん片足を引きずるようにしかできませんでした。
 ところが、噛んで噛んで噛みまくったところ少しずづマヒがとれてきました。そしてついにマヒを克服し、以前と変わらず立派な講演ができるまでになりました。まさに、身をもって噛むことが脳の血流をよくすることを証明したのです。加藤先生が口腔機能のリハビリに成功したのは、ご自分の立派な歯が残っていたからです、
 もし、脳梗塞の患者さんが入れ歯をしていたら、看護婦さんに入れ歯をすぐに取り上げられて、先生のように口腔機能のリハビリを行うことができません。
  *****


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『ロシアは今日も荒れ模様』 米原万里 講談社文庫

2019-03-12 10:39:50 | 本日の抜粋
どこの世界にも頼りになる姐御肌のお姉さまというものは居るもので、米原万里さんなぞは日露友好の世界ではさぞかし活躍したんだろうな、と勝手におもっている。
これはその米原万里さんが通訳時代に近視矯正手術のためにロシアに行っていた患者さんに同行した時の話。費用は当時で100万円。
手術前日、その患者さんは風邪で高熱を出してしまった。
発熱は手術の敵である。
その時、かかった女医さんがこれまた姐御肌。
抗生剤の処方箋を書いた後、

 *****
「一晩で治してみせる」
「部屋に戻ったら、蜂蜜をコップに三分の一、それにレモンを一個絞り入れて飲むこと。それから寝る前に、足をお湯で暖めてベッドに直行。熱いミルクにバターを溶かし入れたものを一気にのんでから寝ること」
「あとは、ガーゼと油紙と包帯と、ウォトカを用意すること」
「皿に注いだウォトカにガーゼ二枚を浸して、火を点けてボッと燃え上がったところですかさず火を消してガーゼ二枚をそれぞれ油紙でしっかりと包み、それを喉とその周囲、それから背中の首に付け根のくぼみのあたりに当てて包帯で巻き付けること、せっかく暖まったガーゼが冷えてしまいますからね」(中略)
 そして、驚くべきことに、翌朝、患者さんの熱は平熱に戻り、喉の腫れも赤みも嘘のように消えていた。」完治である。湿布を取り外すときに、もう一度驚いた。油紙の仲のガーゼは、取り付けた時ときとまったく変わらぬ温度を保っていたのだった。」
 *****

日本のお医者さんも優れた民間療法は上手に取り入れてもらいたいものである。


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小川洋子 『妖精が舞い下りる夜』 角川文庫

2019-01-17 12:08:23 | 本日の抜粋
   *****
 背骨というのは、普段それほど意識するものではないが、他人のであれ自分のであれ、改めてよく観察してみると、精巧で不可思議で官能的な器官だ。小さな円柱形の骨の連なりであり、神経やすじや膜に取り囲まれ、複雑にしなる。裸で後ろ姿になった時しか、相手のそれを直接目にすることはできない。触れるチャンスと言ったら、抱き合って背中に手を回した時くらいだろうか。
 [ジェシーの背骨](山田詠美)について より
   *****
抱き合って相手の背中に手を回した時にしか相手の背骨には触れることがないという背骨。
そんな皆様の貴重な背骨をいじくり回し、果ては矯正と称してボキボキと関節運動までやっちゃう、、、、という罪深い仕事に徳さんは従事していた。
現在現役は引退したものの、請われたり押し掛けたりして所々で施療行為を行っている。

稼がねばならぬという強迫観念(私の場合、本人は気にも留めなかったが案外深層心理では働いていただろう)から解き放たれての施療は以前とは違った味わい深いものがある。


小川洋子さんは徳さんのお気に入りの作家の一人である。
日常からほんの少しずれた世界を拡大し不思議な世界に導いていってくれる。
だからこの背骨に関する記述の抜粋部に出くわし、喜んでしまったのだ。
しかし、何度か読み返すうちに、段々疑問の虜になってしまった。

背骨を観察してみるとって?
どうやって観察したんだろう?
まさか生体解剖をした訳ではなかろう。
徳さんは模型を参考にするしかないのだが、それを観察とは言えない。

精巧だというのは判る。
精巧でない生き物の組織など無いのだから。

背骨が官能的な器官。
これがよく判らない。
特殊、背骨だけが官能的な物言いだが、それでは他の組織が可哀想過ぎる。
背骨が官能的なら人体のあらゆる部分が官能的であるはずだ。
徳さんのような年老いた人の背骨も官能的だ、と言って貰えるなら特に反対はしないけど、、、。

施療士として背骨を考える時、直に触診出来るのは、棘突起と横突起と後部の靭帯や筋肉だけである。
後は内部の現場がどうなっているか想像しながらの施療となる。
背骨で大事なのは、その外面だけでなく、背骨と背骨の間にある椎間板の存在。内部に脊髄という神経の親玉の幹。そしてその脊髄を包むように周りを循環している脳脊髄液の存在だ。硬い組織の中に、柔らかい組織が守られている。

ともかく小川洋子さん、背骨を取り上げて呉れて有り難う。


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『熊取六人組 原発事故を斬る』 岩波書店

2019-01-09 18:37:16 | 本日の抜粋
年末年始をぐうたらと過ごしてきた徳さんには”活!!”が必要だ。
修験道で行われる真冬の滝行が必要だ。   

   *****
 原発推進の国策を決定し、推進してきた政府、あるいは政治家たちは、実は原発政策を人々に問うて選ばれたわけでは必ずしもない。むしろ、地域の利益誘導に巧みな人々が選ばれ、官僚の作った国策に従うという、典型的な日本型「民主主義」の枠組みの中で、原発も推進されてきたのではなかったか。ここには、原発についての人々の気持ちが正しく反映される余地はほとんどなかった。いや、もっと悪いことには、世論形成の基盤、つまり正しい判断をするための基礎となるべき情報が、人々に十分に知らされていないという問題がある。知らされていないのは、一般の人々だけではない。政治家もである。
  瀬尾 健 『原発事故・・・・・・その時、あなたは!』より
   *****

熊取六人組とは2011年3月11日の福島第一原発事故以前から、原子力の安全性を唱え続けていた京大原子炉実験所の仲間たちだ。
瀬尾健氏は福島第一原子力発電所の事故が起きる前になくなられた、、、。

   *****
今この瞬間も、福島第一原子力発電所の敷地の中では、五〇〇〇人とも六〇〇〇人とも言われる労働者たちが、なんとか放射能が海に流れたりしないように食い止めようとして働いています。そういう人たちは東京電力の社員ではありません。下請け、孫請け、またその下の孫請けというように、八次、九次、10次もの下請け関係があって、順番にピンハネをしていきますので、労働者のてに渡るときには最低賃金にもみたないような給料いなってしまいます。ほんとうに社会の底辺で苦しんできた労働者が、被爆をしながら放射能と闘っている状態になってしまっている。
 そして、すでに大量の放射性物質が環境に撒き散らされてしまいました。
  小出 裕章  『福島第一原発事故がもたらした社会状況と私たちの生き方』より  
   *****


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『ホセ・ムヒカの生き方と言葉』 メディアソフト

2018-09-22 10:48:40 | 本日の抜粋
久しぶりのブログ投稿だ。
何かあったのかだって?
そう、五月半ばより病気が再発したのだ。
発作的に全身の痙攣が起きるのだが、これが原因不明。
徳さんは薬害だと思っているが、、、、。
これについては機会があったら考えを述べてみたいと思っている。
現在は小康状態で、ブログでも弄ってみたいと思い出している。

先日、自民党の総裁選があって、国民は馬鹿な政治劇を見せられている訳だが、本物の政治家ってこんなんだぞ!

  ***
現代に至っては、人類の作ったこの大きな勢力をコントロールしきれていません。逆に、人類がこの消費社会にコントロールされているのです。私たちは発展するために生まれてきたのではありません。幸せになるためにこの地球にやってきたのです。人生は短いし、すぐ目の前を過ぎてしまいます。命より高価なものは存在しません。(中略)
 私の同士である労働者たちは、八時間労働を成立させるために戦いました。そして、今では、六時間労働を獲得した人もいます。しかしながら、六時間労働になった人たちは別の仕事もしており、結局は以前よりも長時間働いております。なぜか?バイク、車、などのリボ払いやローンを支払わないといけないのです。毎月二倍働き、ローンを払って行ったら、いつの間にか私のような老人になっているのです。私と同じく、幸福な人生が目の前を一瞬で過ぎてしまいます。
  2012年リオ会議での演説より
   ***

   ***
私たちは消費主義やうわべだけの人生との戦いに負けている。もし若い世代にどんな財産を残してやれるか選べるなら、彼らが本物の人生にもっと多くの時間を費やせるようにしてやりたいと思う。////
私は、獄中での孤立無援の状態を経験したからこそ、わずかなものしか持っていなくても幸福になれることを学んだ。その状態でなんとかやり遂げることができなければ、どんな状態でもやり遂げる事はできない。////
私は、たとえそれが私たちにひどい仕打ちを与えた人々に対するものであっても、憎しみという選択をする人に賛同できない。憎しみは建設的な感情じゃない。
   ***


そして、母ルーシー・コルダノの言葉  
「息子よ、社会主義の実現なんて無理よ。だってそもそも人間は悪なんだから。」
   
ムヒカは理想主義者であると同時に現実主義者だ。

   ***
 でも、私は人間がどんなものであるか知ってる。同じ石で20回も転ぶ唯一の動物だ。 
 ある世代はその世代が生きた実体験から学ぶんだ。その前の世代の体験からではない。
 私は人間を理想化しない。
 他の人の歴史から学ぶんじゃない。自分に起こった歴史から学ぶんだ。
 自分を通した経験からしか学ぶことはできない。
 とにかく、それが私の人生の理想像だ。
  ***

ウルグアイの前大統領ホセ・ムヒカを取り上げる日本のマスメディアは少ない。
他の国でも事情は似たようなものなのだろう。それが残念だ。
この本を小平市の図書館で借りる際も、市の図書館には無くリクエストした結果、なんと目黒図書館から借用したもののよう。


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『タヌキのてちょう』 東君平 サンリオ

2018-05-17 11:22:29 | 本日の抜粋
図書館のヤングアダルトコーナーにいささか嵌っているいる最近の徳さん。
今度は絵本である。
これがなかなか良いのである。
もちろん作家によるのだろうが、、、。
聞けば東君平さん、この世界では有名らしい。
45歳の若さで急逝された事は多くの児童を悲しませたに違いない。
抜粋はこの絵本で徳さんが特にお気に入りのお話。
知らない人には是非とも読んで欲しい。短いんだし。


  ***
 ふかしパン

ぶたのおばさんは、こどもたちのために、ふかしパンをつくることにしました。
しぼったばかりのおちちをもらってきて、粉をねりました。
「さて、どんなかたちにしようかしら」
ちょうどそこへ、いちばん上の子がもどりました。
「すきなかたちをいってごらん」
上の子はリンゴがすきと、こたえました。
上の子のパンはリンゴのかたちと、きまりました。
ニばんめの子もかえってきました。
二ばんめの子は、すきなかたちをきかれると、
「お星さま」
とこたえました。
二ばんめの子のパンは、星のかたちにきまりました。
三ばんめの子もあそびからかえりました。
[もみじのはっぱ]
すきなかたちをかわいくこたえました。
[きれいなかたちだね]
ぶたのおばさんはよろこんでもみじパンをつくりました。
おしまいに、いちばん下の子がもどりました。
この子はまだ幼いので、すきなかたちをきくよりも、すきそうなかたちのパンをつくってあげるほうが、よろこぶかもしれないて思いましたが、ねんのため、聞いてみることにしました。
[雪だるまのかたちがすき]
いちばん下の子は、うれしそうにこたえました。
きいてしまったおかげで、ふたつづきのパンをつくらなければならなくなりました。
これでは不公平になります。
しかたなく、ぶたのおばさんは、ふたつづきのリンゴ。
ふたつづきのお星さま。
そして、ふたつづきのもみじのはっぱと、ぜんぶふたつづきにしました。
いちばん下の子は、きょうだいから、ほめられました。
  ***

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『世界でいちばん貧しい大統領からきみへ』 くさばよしみ編 汐文社

2018-04-23 21:02:34 | 本日の抜粋
最近はまっていることがある。
図書館でヤングアダルトコーナーを漁るのだ。
掘り出し物があるのだよ。



看護師を読者対象にした医学書に優れものがある、という事と似たような事情だろうか。
どうしてもこれだけは伝えたいという著者の必死さがある。

本日は『世界でいちばん貧しい大統領からきみへ』
そう、あのウルグアイの大統領、ホセ・ムヒカ。
当時の独裁政権に反対して反政府活動を続け、何度も投獄された後ウルグアイ大統領となった。

  ***
解放されたあと、わたしはたくさんの人と話をした。

牢獄の孤独のなかでぼうだいな読書をし、
外に出た後はさまざまな人と関わって、
わたしはある結論にたどり着いたんだ。
人は孤独では生きられないってことに。

詩的な意味でいっているんじゃないんだ。
人間は本質的に、群をなす社会的な生きものなんだよ。
人類の歴史の9割は、集団のなかで起こっているんだ。

大統領になったとき、
この、人間が生まれながらに持っている特性を肝に銘じたんだ。
だからわたしはたくさん対話をして、
できるだけ多くの人に関わってもらおうと思った。
恨みつらみとか、報復とか、
政治的な思想つまりイデオロギーから、
完全に自由な政治にしたかったんだ。

憎しみは建設的ではないんだ。
報復が、正義という名のもとに行われることが、
世界にはいやというほどある。
そんな正義は、わたしはこれっぽちも信用していない。

許すこと、
過去を乗り越えること、
そして異なる意見にオープンであることがだいじなんだよ。
 
  ***

結論は単純。
人は人としてあれ!

人生を一巡しなければこの単純でしかも気高い思想に到達できぬものなのか、、、。


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『風の王国』 五木寛之 新潮文庫

2018-02-27 09:59:42 | 本日の抜粋
この本は山の民の末裔の現代の物語なんだが、歩く、ということが殊更取り上げられている。
この本を読んで以来、徳さんは自分が歩いている時にこの本の登場人物が歩いているさまを思い浮かべるようになってしまった。
人はかつていかにして歩いたか。
それを引き継ぐ現代の山の民の末裔はどんな風に歩くか。

もちろん実際の徳さんの歩くさまはてんでなってない。
ほとんどの人に追い越される。
体調を崩して長期入院をして、退院して娑婆に出てきた時はよろよろ歩き。
今までだってたいしたことはなかった筋肉はすっかりおちてしまっていた。
いつ意識を失うか判らないと言われ、自動車もバイクも自転車の運転も取り上げられた。
じゃあ、バスと電車と歩きしかない。
最近は以前のように歩くことが苦じゃなくなってきた。
方向だけを見定めて、適当に路地を選んで歩くようにもなった。
そんな時にこの本に出くわしたのだった。


***
「小学校から中学生にかけて、わたしは一日に五時間ちかく歩いたの。それもすごい山道でね。石ころだらけの崖ぷちの道よ。蛇が沢山かたまっていたり、雨が降ると沢蟹がぞろぞろでてきたわ」*

「そんな学校の行き帰りに、わたしはいつも本を手から離さなかったの。もちろん、漫画から、雑誌や、小説までひどい乱読だったけど」*

「家を出たらすぐに本を出して視線は本のページにくぎ付けでしょう?帰りも学校から家までそうなの。いま考えてみると、すごくふしぎなんだけど、あんな曲がりくねった険しい山の道を、わたしはぜんぜん足もとを見ないでどうして歩けたのかしら。頭の中は物語の先が知りたくて一杯だし、目は活字だけを追っているのよ、それでも崖からも落ちず、岩にもつまづかず、蛇もふまずにすごく早く歩けたわ。いま考えてみると、ふしぎでしかたがないんだけど、本当の話よ」*

「子供のとき前を見ないでもあんなに歩けたってことは、人間にはそういう能力があるってことでしょう?」*
「ぼくはそれを足のレーダーって呼んでるんですよ。ある状態――それはちょって説明できないんですが、そんな状態に達すると、足に目ができるんです」*
「足の目、つまりレーダーが働きだすと、足が勝手に地形を読み、障害物をさけ、目的地へ忠実にぼくらの体をはこんでゆく。足の裏は荷重をささえる用具であることをこえて、意志と感覚をもった友だちになるんです」
「でも、そしたら足は自分とは別なものになって、勝手な方向へ歩いていってしまわないかしら」
「だから友だち、と言ったでしょう。ぼくらは、ある状態で独りではなく二つの存在になる。肉体と心が分離するんです。そして、うまくいけば、それぞれが――つまり、心をもつ足、と、足をもった心、となり、その二つがお互いに助けあうことで、ぼくらは独りの人間の倍も三倍ものことができるはずだ。ぼくはその可能性を信じています。自分の体験から、理屈では納得できない不思議なことが、この人間には起こりうることを学んだんです。歩くということ一つでもそうです。むかしアイヌの狩人がまる一日のうちに二五〇キロを歩いた話を、北海道の老人から聞いたことがあるけど、ぼく以外のだれも信用してはいないようでしたからね」
「わたし、そのアイヌの狩人の話、しんじられるわ」
   ***

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