カイロじじいのまゃみゅむゅめも

カイロプラクティック施療で出くわす患者さんとのやり取りのあれこれ。

堀江邦夫*水木しげる 『福島原発の闇』 朝日新聞出版

2015-05-31 18:31:49 | 本日の抜粋
36年前の1979年3月、アメリカのスリーマイル島で原発事故が起きた。

その事故を受けて同じ年の11月、アサヒグラフが『パイプの森の放浪者』という題で原発労働者の実態を告発する特集を組んだ。
文は後に『原発ジプシー』の著者となる堀江邦夫。
絵はあの水木しげる。

この本は、福島原発事故後にそれを再構成したものだ。
少なくとも36年前には今回の原発事故が危惧されていたことが判る。

それにしても、水木しげるの想像力には恐れ入る。
彼の放射能汚染水のイメージはこうなる。



  *****
 この流出事故の際、逃げ遅れたため全身に水を浴びてしまった者が二、三人いた。彼らの話によると、下着までびっしょりだったという。「防護服」とはいうものの、実際には防水性さえ備えていない代物だったわけだ。
「でも、あの水があまり汚染されてなくて助かったよ。ここが汚染されたかと思ったときには本当にゾーっとしたぜ」 
 仲間に一人は、自分の下腹部を指さしながら小さく笑っていたが、その表情はかたかった。
  *****



  *****
 後日、原発の仕事を去ってしばらくたったある日、私は、福島原発を管轄する富岡労働基準監督署を訪れた。
 私が経験したような労災隠しが原発内ではほかにも行われているのではないか。その問にたいして署長はこう答えている。
「労災隠しは絶対に無いかって聞かれれば、そりゃあ絶対に無いとは言い切れないでしょうね。でも、東電の安全対策は、そりゃあ厳しいもんですよ。ですから、われわれとしても、東電や業者を信用しているってわけですわ」
(中略)「東電を信用している」という言葉を耳にしたとき、私はなかばあきれ、なかば悲しかった。
 労働者の健康・安全を守るためにきちんと監督する立場にあるはずの労基署が、電力会社や元請け会社だけを「信用」し、肝心の労働者のほうを少しも向いてないことを知ったからだった。
  *****



  *****
原発内作業に向かうバスのなかからいつも目にしてた一本の塔……そうだ、東電・福島第一原発の構内に誇らしげに建つ一本の記念の塔がそれだった。
 たしか、そこには、こんな文字が刻まれていたはずだ。
「無災害 一五〇万時間達成記念」

「エネルギー危機」の名のもと積極的に推進されている原発だが、定期点検のたびに原発内に入り、そこでさまざまな作業に従事している労働者がいることを知る人は、残念ながら、少ない。ましてや、原発のその奥深くの闇のなかで、その肉体を放射能にさらし、傷つき、苦闘する労働者たちがいることを知る人は、さらに少ない。(中略)
――人知れず闇から闇へと葬り去られてゆく原発下請け労働者たち、その彼らの姿を〝無災害〟の三文字の陰に見いだすとき、私にはこの一本の碑が、声を封じられ、肉体を傷つけられ、ときには生命さえ奪われていったであろう、彼ら労働者たちの、まさに〝墓標〟のように思えてならなかった。






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坂本徹也 『二歩先をゆく獣医さん』 光文社

2015-05-30 12:21:44 | 本日の抜粋
徳さんは常々、獣医さんは人間相手のお医者さんより凄いと思っていた。
人間相手のお医者さんは内科、外科などと分かれていて、最近はその中でも細分化して専門医と称している。
対しまして獣医さんは、この世の生き物すべてを相手とし、しかも全科を担当するのだから。

しかし、話はそんなに簡単ではなかった。
この本は、獣医さんの専門医の必要性と、二次的医療機関の必要性を訴えた本。

  *****
 日本の獣医療には専門医制度というものがない。 
 それは、日本の獣医業というものが牛や馬や豚を診るということを出発点として始まったことと大きく関係がある。いわゆる畜産をになう産業動物と呼ばれる動物たちは、人間の食料として供給されるために飼われてきた。食べられることが目的なのだから、決して長生きはしない。だから高齢化というものとも無縁だった。 
 しかし、ペットはそれとまったく違う。
  *****

  *****
「あまり公言できることではないけれど、整形外科は手術の失敗例がかなりあるとです。これがなかなか減らない。だって、いまは若手がどんどん開業していますからね。
 だけど骨折手術ひとつにしたって、そんなに簡単なもんじゃない。100や200やったからってできるもんじゃないです。同じものばかりが100くればいいけど、前足やったり後ろ足やったりするでしょう。じっさい、整形外科を完ぺきにこなせる獣医師が日本に何人おるかって、いいとこ10人だと思う」
  *****

  *****
 確定診断さえつけば、治療手順のマニュアルはあるという。
 教科書や専門書もあるし、治療方法など調べればいくらでもある。ようは診断なのだ。どのタイプのどれなのかを見定めるのが、動物の臨床の第一歩なのだ。だが、これまでこの臨床病理学というものはずっと置き去りにされてきた。
 大学にも講座すらないじょうたいだから、
  ***** 

獣医さんの現状が最先端の医療と重ねあわされて語られているこの本、人間の医療の欠陥を暗に指摘しているようにも読めた。



本日のおまけ

昨日読んだ『アワビがねじれてサザエになった』の中で気に入った個所があったので追記。

  *****
 塚をつくるシロアリは、このグループの中で最も 
社会組織化が進んだ昆虫である。
今、このシロアリの一匹が塚を離れたらまず生きていくことは 
不可能だろう。塚という限られた空間で、大量の個体が共存する。
そこには厳密な組織が必要だ。
ミツバチ以上に社会への依存度は高い。外に出ないから、
迷子もいなければ、もちろん離れシロアリもいない。そのかわり
もし、なんらかの事故で塚が崩壊すれば、おそらく全滅だろう。
どれだけの個体が生きのびて、新しい塚をつくれるか疑問である。
群れの組織度が完全に近いほど、全滅の危険性は高くなるのだ。
だいたい、全体が行きづまった時、これを打開するのは
個体である。とすると、あまりにきびしい掟で個をしばるのは、
発展の可能性を少なくすることにもつながるだろう。
  *****

刻苦勉励、ひたすら働き続ける働き蜂というのは間違った見解だそうで、結構奴らも怠けているみたい。
それを聞いて、徳さんも一服じゃ。



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奥井一満 『アワビがねじれてサザエになった』 光文社文庫

2015-05-29 17:50:42 | 本日の抜粋
心が疲れてしまった時などは、生物の生態を述べた本を読むようにしている。

どんな小ちゃな生き物でも、どんな単純な生き物でも、人間よりはるかに素直に生きているからだ。
ここから出直そうか、、、なんて呟いている。

でも、時に、妙な生き物に出会って目が点になるっことがある。
理由は分からぬが、苦手なのだ。
実物にお目にかかるわけではないので、想像力が勝手に虫酸を走らせる。

「グロウ・ワーム」
蛍の仲間の幼虫である。
それが、鍾乳洞などに生息するようになって、蛍光を発する糸を垂らし、獲物を捕捉する。






しかし、それが美しいとて、わざわざ洞窟に入って行く人もいるのだそうだ。

このお嬢さんの輝ける顔は理解できるが、徳さんはイラストの気味悪さに軍配を上げる。

いや、確かに、それはそれで美しいのだが、、、。





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山岸凉子 『パエトーン』 潮出版社

2015-05-27 19:11:19 | 本日の漫画
なんか流れでまたまた漫画である。

これが徳さんにとっては初体験の電子ブックである。
漫画が無料で見れるとは思わなかったので、徳さん、軽いカルチャーショック。
なるほどなるほど、ページがカーソルでめくれる、ある部分の拡大も可能。
(こんな事に感心している事だけで徳さんのじじい度が計れる)

27年前にチェルノブイリ原発事故を受けて書かれたこの漫画は、福島の原発事故をはっきりとと予見している。
という事は、あの事故は想定外の事故ではなかったという事だ。

漫画の意味は大きい。
読者層がやたらと広い。
腑抜けなマスメディアに愛想を尽かした若者たちも、漫画は手にする。
発する周波数が若者たちに近いのだ。

漫画の効力は独特だ。
政治的なアジテーションなしに、押し付けでない個人の感情を伝えようとする。
こわだかな演説はしないのだ。
だからこその説得力がそこにある。


徳さん同様、この時代の動きに乗りきれない輩にお伝えします。
ネットで「山岸涼子・パエトーン」と打ち込んで検索すれば、この漫画が無料で見れます。

え!
そんなことで騒いでいるのはお前だけだって、、、。




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萩尾望都 『イグアナの娘』 小学館

2015-05-26 17:54:12 | 本日の漫画
もう、徳さんは気が狂いそうだ。
自分の偏狭な価値観で、与えられるべき情報を勝手に封鎖していた。
少女漫画に対する偏見だ。

ジジイに属する徳さんたちが、幼少の頃目にした少女漫画は『りぼん』などに見られる、顔の面積に対して異常に目の大きさの強調される、奇妙な宝塚風のものだった。
そこで、少女漫画なるものを捨てた。

でも、少女漫画は成長を続けていた。
少女という形容詞を捨て、漫画一般に、そしてその漫画は人間考察、社会考察の一手段として表現されるようになっていた。

そして本日、突然のようにその完成品を見せつけられたわけだ。



母によって誕生直後からイグアナとして扱われる。
やがて自身でも自分の中にイグアナを発見する。
葛藤の後、イグアナとして生きていこうとする。
そんなイグアナとしての自意識を無頓着に包み込んでくれる人達にも出会う。
そこに突然の母の訃報。
死んだ母の顔はイグアナ同様、イグアナだった。
そこで初めて母の内面を知り、母を受け入れることになる、、、。




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沢木耕太郎 『象が空をⅠ 夕陽が眼にしみる』 文春文庫

2015-05-25 18:11:31 | 本日の抜粋
ほんとうに久し振りに沢木耕太郎の本を手にした。
全体的に少し気障ではあるが、旅に関するエッセイと人物評と書評が満載されている。

何人もの知らない人を教わる。

近藤紘一。
ヴェトナム戦争の最中、サイゴンに特派員として赴任し、やがてサイゴンに魅了され、記者としての枠組みを超えて行動した人。
以下は、彼の葛藤を描写した部分。

  *****
しかし、実際にサイゴンに来てみると、予想外の現実の前にその見方(この戦争は「正義対不正義」の戦い、民族解放の戦いという認識)が揺れる動きはじめる。戦乱のヴェトナムに、焼跡の日本のような貧しい土地を予想しているとメコン・デルタの恵みによる溢れるような食物を眼にすることになる。なんと豊かなんだろう、と驚かざるをえない。市場では、それらの品物を前に一時間でも二時間でも飽きずに値段の交渉をしている女たちがいる。その姿のなんと生き生きしていることか。しかも、彼らは、「南」の腐敗した政府を悪しざまに罵りながら、それ以上に激しい言葉で、「北」への恐怖を語るのだ。
 そのような現実の前で、彼は立ち止まり、考えざるをえなくなる。必然的に、特派員としての仕事は、かなりの悪戦をしいられることになった。自分の目で見て書くルポはどうにか書けるが、政局の分析や予測になるとことごとくはずれてしまう。彼らの思考の回路と自分のそれがどうしても一致しない。ある時、そのことに絶望して嘆くと、ヴェトナム人の議員が忠告してくれたという。あんたたちはすべてを民主主義的な発想で裁断してしまう。だが、いま、この国は「三国志」の時代なのだ、と。その時、彼はひとつの決心をする。この国の人々の価値観を実生活を通じて掴み取ってやろう、と。
 彼は下町の「幽霊長屋」に下宿する。
  *****

半世紀ほど前の話だ。

そして現在、人類に成長は無く、今もって世界の状況は混乱の度を増している。
先祖帰りしたかのように、人々の振る舞いは粗野で野蛮である。
民主主義者を装う新自由主義者も、それに反対する勢力も。

民主主義を唱えるなら、本物の民主主義者であることを世界に納得させてから物を言うように、、、。
異を唱えるなら、本物の人間主義を提示しながらやって、、、。

世迷言とは分かっていても、そんな世迷言の蓄積しかないなと感じさせる、悲しい現在だ、、。



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これが本当の?額あじさい

2015-05-24 19:42:44 | 本日のしりきれとんぼ
我がおふくろ殿が長期入院している病院は、昔のカトリック系の結核療養所を引き継いだものなので、近年建てられた病院施設とは一味違う。
一昔前の病院のイメージなのだ。

ともかく、やたらと敷地が広い。
病院だけでなく、老人ホーム、修道院、教会、高等学校がゆとりを持って建てられており、空いた空間には昔の武蔵野を感じさせる林がある。
多少、手の追いつかない花壇がある。

その贅沢でレトロな空間に天気の良い日はおふくろ殿を短時間ではあるが引っ張り出す。
日光を浴びた瞬間、「まあ!」なんて言ってもらえば、息子としては御の字。
食後などは、おふくろ殿の脳から血液が引き上げるのか、途中から半分眠っている。
まあ、それでも良し、、、。
最近は、時々、禁断の喫煙も可能になったし、、、。
(この母の喫煙がかわいい。本当に一吸いだけで、それも金魚でニンマリ笑い満足する)


徳さんの予測だが、徳さんがこの手のお世話になるだろう時は、こうは行かない。
ベルトコンベア式に処理される、一人の醜悪な、終末老人と名付けられた物体として処理される気がする。

え!
そんなの、今現在進行形だよ!って、、、、。



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玉村豊男 『農園からの手紙』 中公文庫

2015-05-23 18:47:57 | 本日の抜粋
歳を取って、ひと様の本を読んでると、その主義主張といったものよりも、その人の生きる姿勢に関心の多くが向いてしまう。
そして、うらやましい生き方をしている人の何と多いことか。

この玉村豊男さんもその一人。

まあ、フランス留学を経て、文筆業、画家などと経歴のご立派さはさておき、25年前に一念発起して長野の山奥で農園を始める。
荒れた桑畑を開墾することからの、まさにゼロからの出発である。
そこで、留学時の食体験を生かし、ハーブ、ブドウ、西洋野菜の栽培を始める。

土着の農民と独特の距離感に基づく信頼関係を作り上げている。

この本は、玉村さんの絵とエッセイ。



  *****
 よく、わざわざまっすぐのキュウリばかりつくる必要はないではないか、まがったキュウリでも味に変わりはないのだからそういうものも売ってほしい、と、都会の火とはいう。 
 たしかに、流通の便利のために品種を特定化したりサイズの規定を厳密にするなど、行き過ぎの面はさまざまにある。農家としてももっと自由に売れればありがたいのだが、まっすぐなのをつくれといわれて手をかけてまっすぐなのをつくったら、こんどは曲がったのがいいといわれるのでは立つ瀬がない。
 まがったキュウリにも二種類ある。
 ひとつは健康だけれども物理的に(ネットにかかる等して)曲がったもの。
 もうひとつは、病気や、水不足や、肥料不足などの原因でくびれて曲がったもの。
 後者は問題外だが、同じ健康果ならまがっているのよりまっすぐなものの方が料理もしやすいだろう。だいいち、曲がったキュウリを箱に詰めて出荷するのは難しい。箱にうまく入らないし、運ぶ途中で折れることも多いはずだ。曲がったほうが値段が二割くらい高く売れるなら話は別だが、まさかそうではないだろう。
 消費者が望むことと、農家の現実。その両者の間に横たわる、もろもろの今日的問題。〝曲がったキュウリ〟が孕む意味は実に大きいものだなと、毎朝キュウリ畑のそばを通るたびに私は考えている。
  *****

いや、お恥ずかし。
徳さんも、曲がったキュウリ派でした、、、。



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水木しげる 『娘に語るお父さんの戦記』 社会批評社

2015-05-22 18:58:50 | 本日の漫画
  *****
「ああう」、おとうちゃんは大きなあくびをして、不寝番を交代した。
  *****

これが、水木しげるの運命を左右した出来事の一つ。
第二次対戦末期、水木しげる達が乗った船が、南の島ニューブリテン島のラバウルに到着した最後の日本輸送船団だった。
もうこの時期、その島の大半はアメリカ軍によって支配され、死にに行くようなものだった。







分隊から離れて不寝番をしている時に、分隊は攻撃を受け全滅。
最後には発見され攻撃を受けるが、海中に飛び込み、その後ジャングルを彷徨し、九死に一生をえて部隊に戻る。
(その彼の不寝番は、海上の敵発見への努力なんてそっちのけで、ジャングルに舞う鳥たちを観察してたっていうから、やはり、水木しげるここに在りって感。
この一冊の中で、この逃避行はかなりの重量で描かれている)


  *****
 おかしな話だが、おとうちゃんは古兵になぐられやしないか、というのが最大関心事で、それが一番緊迫感があり、敵サンの方の心配は、そのつぎのことにぞくした。
  *****

部隊に帰ってからも、地獄のような日本軍隊生活をする中で、爆撃に会い片腕を失ったりするのだが、やがて土地の土人と親交を結ぶようになる。
軍律を無視し、軍務の隙を盗んでは部隊を抜け出す。
土人の生活に天国を感じたのだ。






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色川武大 『怪しい来客簿』 文春文庫

2015-05-20 19:02:39 | 本日の抜粋
徳さんは、日に日に人との付き合いが思わしくなくなってる実感をヒシヒシと感じている。

もちろん、こちら側の問題は当然ありだ。
徳さんは、かなりやな奴だろうし、たくさんの人を無意識に傷付けて来ただろうし、碌なもんじゃない。
でも、それは、かなり前からの事で、今さら云々するものではないはずだ。

なんか、この世の空気がな~、、、。
なんか濃密じゃないんだよな。

そんな事を淡く思っていた時に、この本を読んだ。

戦中、戦後を生きた人々を、色川流に描いたものだ。

色川流ってどういうこと?
徳さんが、説明できる訳はないけど、例えば富士山について彼はこんな事を言っている。

  *****
 富士山が怖い。このくらい異形なものは他にちょっと考えつかない。今でも新幹線で山裾近くをとおるたびに、どうしてこんな魔境のようなところに平気で人が住む気になるのだろうかと思う。あれはもうあの辺の才能を無駄に吸い取っているのであり、放置しておけば、界隈からすぐれたものが生まれる余地はない。即刻、切り崩しかき均してしまうがよろしい。
  *****

もう、これだけで色川さんの位置が設定される。
とんでもない、少数派だ。
それは数の事だけじゃなく、感じ方がこの世に同調しないのだ。

その彼が選び、描いた戦中戦後の、いわゆるまともでない人々の群像。

ハチャメチャだし、自己撞着の面々だし、他人に迷惑をかけることに無頓着だし、、、何しろ世間の目を気にしない面々だ。

そんな彼らを愛せなくなっているのなら、そろそろ日本人であることを払い下げようかな、、、。



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