カイロじじいのまゃみゅむゅめも

カイロプラクティック施療で出くわす患者さんとのやり取りのあれこれ。

極度の不眠症だった、マっくん

2009-08-31 18:16:00 | 本日の患者さん
一昨日、激しい頭痛で頭を抱えるようにして施療に見えたマっくん。

今日は一転してさわやかな表情でご登場。
当日は久しぶりに熟睡できたと喜んでおられた。

しかし、話はこれからである。
なにせ当日は徳さんの話も通じない状態だったのだ。

問題は、なぜマっくんがあんな辛い頭痛に見舞われたか?という事だ。

背骨には当然、問題がある。
腰椎が後湾しているので頭が前に突き出してしまい、肩口に強い猫背がある。
その影響で頭の上を覆っている帽状腱膜が血管を押し付けるようになってしまっている。
しかし、それだけではマっくんのあの頭痛は説明が付かない。

いろいろ話を聞いているうちに、マっくんが若い頃から極度の不眠症だったのが判った。
一晩中寝れなくて、そのまま職場に出勤するというのも当たり前のように思っていたそうだ。

不眠はいけない。
反生き物的行為だ。
睡眠は時間の無駄ではなく、明日への準備行動だ。

眠れないだけで、全身の筋肉が緊張する。
特に頚椎の1,2番は環軸関節といって、輪と軸の関係になっているので狂い易い。

マっくんの場合、環軸関節の狂いは常にあって、ある限度を超えたのが今回の事態だったと思える。
そんな時の引き金はほんの些細なことである事が多い。
ご本人がそれと理解しないような、、、。

徳さんの不眠対策は、酒を喰らって、本を読みながら床に就くというもの。
この場合、読む本は、好きな傾向の本ではあるが、徳さんの頭脳にはちと荷が重い物を選ぶようにしている。
数行も読めない日があったりしてお気楽なもんである。

マっくんにもお気楽な就眠法を見つけなければ、、、。


学校を救済せよ

2009-08-30 18:12:32 | 本日の抜粋
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 ところで、日本の教員養成を担当している大学の教師たちの多くは、大学院で教育学を専攻して、そのまま大学教師をやってるでしょ。小・中・高の現場をまったく経験していないわけです。これはかなり大きな問題だと思います。
 車の運転をできない人が、運転技術の理論だけを教えるのと同じようなことです。だから、現場教師たちの大学の教育研究者に対する信頼感は大変低い。というのも、大学の教職課程で教わったことが、教師になって現場ではほとんど役立たないことを、身をもって体験しているわけですから。
 僕は「教職科目の大学の教員も、小・中・高二年間ぐらい現場に入ってはどうか。それを研究実績の重要な一つの要素として評価する意義があるのではないか」と提言しているんです。
 しかも、教育学がどんどん専門化・細分化しており、大学院生が「私の専門はどこのこういう分野です」などと語り合っているのを耳にすると、電場教師の感覚では、それが一体何なの?とまどろっこしい気分になりますね。

尾木 直樹 ・ 宮台 真司 『学校を救済せよ』より 学陽書房

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今日は衆院選挙投票日。今日の深夜にその大半が判明する。

マスコミは例によって、大騒ぎ。
マニュアル選挙だといって、マニュアル添削作業におおわらわ。
似たり寄ったりの分析から抜け切らず、その報道に大義がない。



そういえば、どこの党からも教育改革の話は出てこなかったよなあ~。

例えば、尾木直樹の引用部分の主張を政策マニュアルに載せることは可能かどうか?
このように短期では実行できない、しかし根本的な改革についてのマニュアルは、大きな方針と、それへ向けての段階的指針が提示されなければならない。

そんな構造のマニュアルはどの部分からも示されていない。
まさに、トホホのマニュアルたちである。

頚椎2番の猛威、マっくん

2009-08-29 18:29:26 | 本日の患者さん
この10日間、マっくんは激しい頭痛に翻弄され続けて来た。

近くの病院で鎮痛剤を処方されたが改善がほとんどなく、大学病院を訪ね、CT、髄液検査を受けるが異常なし。MRI撮影だけを専門に行ってる機関を紹介されるがそれも異常なし。
薬を変えてみましょう、ということで三叉神経痛などにも効果があるという抗てんかん剤を処方される。
この薬は強い薬なので、安静な生活を心がけるように言われ、マっくんは職場を数日休む。
なのに症状に変化はない。
幾晩も痛みで眠れない状態が続く。
弱り目に祟り目のことわざよろしく、この間マっくんは足に大火傷ををしてしまった。
完全に注意力が無くなってる。

家でいつまでも悶々としているのは精神衛生上良くないとの自己判断で今日は職場に顔を出した。
この日は会議があって、会議の間中、マっくんはずっと頭に手をやって暗い表情だったそうだ。

職場に徳さんの施療院に通っている同僚がいて、自分の症状と似ていると言ってマっくんを連れてやって来た。(ご丁寧にその同僚さん、マっくんの頚を触診し、頚椎2番のズレと診断してしまった)

結果は、同僚さんの診断どおり。

頚椎2番が真横にズレている。
頚椎2番が回転するようにしてズレる事は多いのだが、真横へのズレは少数派。
それにしても、恐るべし、うちの患者さん!

頚椎2番を矯正すると、すぐさまマっくんの症状はなくなった。
ご本人は狐につまれた様に、嬌声を上げている。

徳さんの感想は、マっくんを襲った症状が単純な原因によるものでよかった。
多くの人の場合、いくつもの要素が絡み合って、複合的な対応をせざるを得ない。
なかなか、一発勝負とならない事が多いのだ。

もう一つ。
この間の医療機関への経費である。
適切な、初歩的な見立てなしに高額な検査を流れ作業的に行っている。
必要最低限な検査を的確な判断で行うという医師の眼力の低下があるのかもしれないが、検査は確実にレシピのポイントが稼げるという制度の問題もあるようだ。





 

頑固脊椎の腰痛、エッチやん

2009-08-26 20:56:45 | 本日の患者さん
泣かせてくれるぜ、エッチやん。

以前紹介した、脊椎不動尊明王と徳さんが崇め奉るエッチやんが、腰を痛めた、と久し振りの来院。

とにかく脊椎関節がとてつもなく固い。
徳さんと同年のエッチやん。少なくとも40年近く職人的な頑固な体の使い方の結果だ。
地雷は背骨周りに無数に埋め込まれている。
いつ何が起きても不思議ではない。
しかも悪いことに、エッチやんに取り組む意思は皆無。

ささやかだけど出来ることはある。

硬縮した靭帯や筋肉を出来る範囲でストレッチする。
エッチやんの得意の姿勢への反対運動を心静かに行う。

さて、どれだけ成果があるだろうか?

そのエッチやん。
明日は花市場の仲間とゴルフなんだと。

山岡鉄舟

2009-08-25 17:16:05 | 本日の抜粋

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円朝と鉄舟の出会いが、いつのことか不明だが、鉄舟は、こう言った。
「君は講釈がうまいそうだが、一つやってきかせないか」
「何をやりましょうか」
「そうだな。おれの家に子供らがいるから、みんなに桃太郎の話をきかせてくれ」
 さて、円朝は困った。ずいぶん噺もしたが、まだ桃太郎はやったことがないし、おとぎ噺である。
困ってしまったが、鉄舟の注文だから、得意の弁舌にものを言わせて、一席、話し終わった。
 ところが、鉄舟は「おまえの噺は、口で話すから肝心の桃太郎が生きてこない」と少しも面白がらない。
 円朝は、口で話さないで何で話すんだろう、と釈然としない。それからは、高座で話していても、このことが頭に浮いてきて、彼を苦しめるようになった。
 とうとう鉄舟のところに来て、日頃の苦しみを述べて、座禅をしたいと言い出した。
「そりゃ、いいところへ気がついた。早速、やった方がいい。」
「いずれ、家の方を都合しまして‥‥‥」
 円朝が言うと、
「そりゃだめだ。おまえの、いそがしい体で、いつ都合がつくものか。今日からすぐ、やったほうがいい」
 円朝は戸惑った。
「でも、先生」
「でもじゃねー。すぐ、やるとしよう。‥‥‥いいことをするのに、ぐずぐずするやつがあるか」
 叱りつけられて、無理矢理、二階の一間に入れられ、屏風で囲われてしまった。大小便の用のほかは、一歩も出てはならぬという。食事は女中が運んできた。
 円朝の家では、主人が出たきり帰ってこないので、心配して、弟子どもが鉄舟の家にやってきた。何か、不調法でもしたなら、お詫びするので、師匠を戻して欲しい、と嘆願する。寄席からも、頼みに来た。
 円朝も、これには閉口して泣きっ面だ。鉄舟は怖い顔でにらみつける。どうにもならずに、進退窮まって「ままよ、どうでもなれ」と捨て身で参じた。すると、わずか一週間ばかりで、豁然、大悟の域に達したのである。
 鉄舟が、また桃太郎の話をさせると、もはや前日の桃太郎ではなかった。元気溌剌たる桃太郎が、いきいきと鬼退治した。
 鉄舟は喜んで、
「今度の桃太郎は生きている。この気持ちでやり抜けば、きっと名人になれる。役者がその身を無くし、剣術使いが剣を無くし、講釈師が口を無くさなけりゃ、ほんとの名人にはなれぬものだ。おまえも今の気持ちを忘れないで、進むようにすれば大成すること請け合いである」
 と諭した。
 円朝は生まれ変わった。彼は鉄舟が適水和尚に相談して選んだ無舌居士を名乗り、その妙技は人々を魅了した。

小島 英熙 『山岡鉄舟』より 日本経済新聞社

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徳さんの弟子筋にあたる一人に、人は良いのだが、その発想が何となく右翼チックな男がいて、徳さんいつも冷やかしては遊んでいる。

その彼が、どうしてもこの本を読めと薦める。
自分の心情の根拠はこの本にあらわされてる、というところだろう。

彼の心積もりをかわした積もりで引用部分を選んでみたが、彼の術中に嵌ったのかも‥‥‥。




油断のツっくん

2009-08-24 19:05:51 | 本日の患者さん
徳さんのところのカイロ施療院は超零細企業である。

弟子が一人いる事はいるが、徳さんの甲斐性がないため、ほとんどの時間出稼ぎに行っている。

カイロ施療中に電話が鳴れば、患者さんには申し訳ないが(ちゃんと本気でそう思っておりまする)施療を中断して電話に出ることになる。

誰もが簡潔に要件を伝えてくれる訳ではない。

中には話の接ぎ穂を与えてくれない訴えもあったりして、徳さん、気が気じゃない時もある。

ツっくんの施療中にかかってきた電話がそうだった。
そんなに長い時間ではなかったが、電話のやり取りを聞いていたツっくん、これは長くなるだろうと踏んだんだろう、徳さんが電話を聞き終えて振り返った時には、油断してしまって背筋の緊張をすっかり緩めてしまい、お気楽な猫背姿勢で寛いでいた。

これが常日頃のツっくんの実態と、改めてのリセットを懇願したのでした。

悪い習慣を絶つ、というのは、ことほど左様に難しい。

博士の愛した数式

2009-08-23 17:39:21 | 本日の抜粋

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博士は安楽椅子の脇にアイロン台をしつらえ、早速仕事に取り掛かった。何と彼はコードの引き出し方から、スイッチの入れ方、温度調節の仕方までをも心得ていた。テーブルクロスを広げ、数学者にふさわしくそれを十六等分し、一つ一つのブロックを順々に片付けていった。
 まず霧吹きの水を二度噴射させ、熱すぎないか手をかざして確認し、一番目のブロックにアイロンを押し当てる。把手をぎゅっと握り、生地を傷めないように慎重に、しかしあるリズムを持ってアイロンを滑らせてゆく。眉間に力を込め、小鼻をふくらませ、自分の思い通りに皺がのびているかどうか、凝視している。そこには丁寧さがあり、確信があり、愛さえもがある。アイロンは理にかなった動きをする。最小の動きで最大の効果が得られる角度とスピードが保たれている。博士のテーマである優美な証明が、その古びたアイロン台の上に実現している。
 私もルートも、博士ほどこの仕事に相応しい人はいないと認めざるを得なかった。

小川 洋子 『博士の愛した数式』より 新潮社

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久し振りに、すがすがしい、さわやかな小説を読んだ気がする。

そんなものを求めて読み出したのでもなく、この奇妙な題に惹かれて、たぶん大分昔にベストセラーになった記憶も手伝って手にしてみたのだが、、、。

徳さんはこの小説の何にやられてしまったのだろう?

イノセント、無垢な心の表現テクニックに落ちたのだと思う。このアイロンかけのように。

博士の無垢な心に寄り添う、母子共闘振りもなかなか。

番外編11 かえる腹4

2009-08-22 20:32:53 | 本日の患者さん
このかえる腹シリーズも4で終わる事になった。

退院もそろそろかと周りが思っていた頃、急に様態が悪化、肝性昏睡で我がかえる腹さんは急逝された。

こんなに早く、まるで不意打ちを喰らわすようにこの日がやってくるのなら、もっときめ細かなかえる腹シリーズを作成するのだった、と悔やまれてならない。

喪主である未亡人になられた奥さんの弔辞に、治療室での患者さんとのやり取りに言及した発言があった。
世の誰にも発信しない、患者さん本人しか受信しない赤ひげ的行為がそこにはあった。

徳さん、この愛すべき、尊敬すべきかえる腹さんを目指して酒を飲むことをここに誓います。

何か変!

2009-08-21 18:13:23 | 本日のしりきれとんぼ
夏期休暇のある日の午後、N君を見舞った。
ベッドの上で、体をくの字に曲げ、顔を横に倒したままビクともしない。
鼻や頚や胸からチューブが伸びている。
いわゆるスパゲッティ状態だ。
話しかけると意識はしっかりしていて、目で肯定や否定の合図を送ってくる。

看護婦さんが世話をしにやって来た時に事情を聞くと、N君は誤嚥で肺炎を起こし意識不明状態で病院に運び込まれたそうだ。

N君は重度の身体障害者で、都内の療護施設にしていた。
最近は障害が進み、日常の生活上の動きのほとんどが出来なくなっていた。
言語障害も強く、施設の職員との意思疎通も最低限のものになっていた。

そのN君の誤嚥については考えさせられた。

というのは、以前N君を施設に訪ねた時の事だ。
食事時間を充分に外して訪ねたのだが、N君は一人残されて自力食事に悪戦苦闘してた。
口に手を持っていくことさえ容易ではないN君は、辺りに食事部品を散り落としながら、フォークで食事を刺し、手を緊張で震わせながら口元に運ぼうとしている。
何回かに一回はフォーク上の食品が口に落ちるようだ。
その間、N君の顎は上を向いたっきり。
ゴクリという嚥下もN君には大事業。
もちろん、最終的には施設の職員が介助に入るのだが‥‥‥。

自分で出来るかぎりの事はやりなさい。
その上での介助はします。
というのがその施設の方針なのだろうが、徳さんは呆れてしまった。
マニュアルの落とし穴がここにある。
臨機応変でその人にとって必要な介助をする、という当たり前のことが出来なくなっている。

これじゃあ、誤嚥は必然だよなあ~。

お星様見つけた

2009-08-19 20:38:34 | 本日の無惨
現在、徳さんのお腹には、北斗七星やうず状星雲や超新星爆発の残骸が散りばめられている。
ただでさえ醜い腹が、老化のたるみ皺と連動して醜さの極致を実現してくれている。

そう、ヘルペス、帯状疱疹がお腹からわき腹にかけて出現したのだ。

うわさには聞いていたが、なかなか手強い。
ずんと来る痛みは存在の不快感を認識させて余りある。

耐え切れなくなったのが、不幸なことにお盆休みの真っ只中の日曜日。
近くの休日担当の医院は小児科・内科クリニック。
そこを訪ねた。
「典型的な帯状疱疹ですね。院外処方になります」
といわれて、処方箋が出されるのを待つ。
意外に待たされる。
かなりの時間が経過して、再度、診療室に呼ばれる。
「薬局が休みなので、当院で処方します。抗ウィルスの軟膏とドライシロップです」と言われた。

ドライシロップって何だと思いつつ帰宅して飲んでみた。
何のことは無い、お子様向けの甘く味付けした抗ウィルス薬という訳。
何となく心細いが赤ん坊の気持ちになって飲むしかない。

60歳を過ぎて、お子様用のシロップ薬でヘルペスに立ち向かわされてる徳さんでした。

それにしても、休日診療の体制だけ整えて、薬局との連係プレイが出来ないなんて、トホホの医療体制で御座りまするな‥‥。