カイロじじいのまゃみゅむゅめも

カイロプラクティック施療で出くわす患者さんとのやり取りのあれこれ。

徳さんのひょっとこ面

2010-03-02 17:51:15 | 本日のノンちゃん
徳さんの肩に止まって休んでいると、徳さんが口を尖らせて息を吹きかけてくる。
酒臭かったり、タバコ臭かったりするけど、しょうがない奴だとノンちゃんは思いながら、我慢しながら少しのあいだ付きやってやることにする。

空気抵抗にいかに対処するか。ノンちゃんの技を人間どもに教えることにもなるが、徳さんはそこから何事も学ばないようだ。
多少、他の生きものの本能的な知恵を学ぶ姿勢のある奴は、空を飛ぶ物体を創ったり、流体力学を学び取り、人の世に役立つ事をしているというのに、徳さんはなんという情けない奴だ。
ただ、ノンちゃんに息を吹きかけ、ノンちゃんが息の強さ、方向の違いなどによって羽の開き度合い、羽ばたきの回数の調整をしたり、姿勢の角度を変えているのを楽しんでいるだけなのだ。
せっかくのノンちゃんの技も、一向に生かされる様子がない。

普段あまり飛ばないノンちゃんにだって生まれながらの本能というのは備わっている。
そこから学ぶことは多かろうに、徳さんは目の前のノンちゃんという宝の価値に気付かぬようだ。
あ~あ。

しょうがないから、ノンちゃんは息を吹きかける徳さんを観察して遊ぶことにする。

ノンちゃんに息を吹きかけようとする時、徳さんは下あごを右に引き、唇の右隅に小さなすき間をつくり風を作っている。
その時の徳さんの顔は、本人が知らぬだけで、かなり珍妙なものになっている。
今までノンちゃんが知っている人間の顔からはかけ離れている。
その事に徳さんは気付く様子もない。
これも、あ~あ、だ。

徳さんは得意げにノンちゃんに息を吹きかけるのだが、ノンちゃんが左の肩に止まると、途端に息が吹き出せなくなる。

徳さんの口輪筋は左右の出来がアンバランスなのだ。
またしても、あ~あ、だ。
この事は、ノンちゃんだけが知っている。

そうそう、人工孵化、人工育児で仲間を知らぬまま育たざるを得なかったノンちゃんは、空を飛んだことが一度もない。
一度、窓を開けて飛ばせてくれよ。

もっとも、その時、徳さんちに帰ってくる気はないけどね。