カイロじじいのまゃみゅむゅめも

カイロプラクティック施療で出くわす患者さんとのやり取りのあれこれ。

一回限りの絶品

2016-03-30 19:02:29 | 本日の酒の肴
汁物に汁物。
ようは酒の肴に汁物なんて!?話である。

徳さんは鯖の水煮の缶詰が大好物である。
なのに、鯖本体を食べた後、残された液体部分は捨てていた。

まだ、細かく砕けた鯖の身が混じっている。
もったいない話だ、と家で話した記憶がある。
(余りに勿体ないので、残りの汁を茶こしで濾してわずかに残された身を食べた記憶もある)

そんな会話を受けて、家人が鯖缶の残り汁を使っておすまし様の物を創ってくれた。
これが、いまだかつて知らない味ですこぶる美味しい。
具材はすこぶるシンプルで、玉ねぎのスライスと、ハムの切り身少々、薬味にパセリを刻んだ物を乗せてある。

鯖缶のスープの部分が、ごく控え気味のナンプラー(魚醤)の役目を果たしているのだ。

徳さん、このえもいわれぬおすましを肴にお酒を飲んだのでござる。
今回の一回限りの味であることが残念である、、、。
徳さん、液体を肴に液体を飲んだのは初体験であった。

鯖水煮缶の神髄は、そのスープにあった事を改めて思い知らされた。



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石牟礼道子 『天湖』 毎日新聞社

2016-03-29 18:04:59 | 本日の抜粋
この本を読了後、すぐさま最初のページに戻ってまた読み返してしまった。
こんな経験は過去に一二度あるだけだ。
その理由が自分でもよく判らない、、、。

街に住むことしかなかった徳さんが、自分でも知らないはずの意識の古層を揺さぶられた気持ちになったのだろうか、、、。

ダム建設によって山奥の古い村が水没させられる。
村人は各々夢の中で失ったかつての共同体、自然と対話する。
小さな花しかつけない雑草を語り、村の守護神のような古木を語り、小さな虫たちを語り、共存してた小動物を語り、そして往時の村の人々の信仰や生活を語る。

表現は、実に微細で、共生感に裏打ちされた愛というか慈しみに満ちている。
救われるというか断罪されるというか、、、。



  *****
 圧倒的な過去ではないか、その無名性において。僕はそのことについてまるで無知だ。祖父がいなければ、九州の南寄りの山々に閉ざされた小さな村のことなど、これっぽっちも知らなかったのだ。ダムに沈んだ村のことなど気にもかけなかった。おひなとお桃に逢わなかったならば、水に閉ざされた天底という村に物語があったなんて、考えもつかなかった。みんな小さな物語だ。しかし、と柾彦はおもう。なんとそれは、まだ発見されない古典の原型ではないか。
  *****

衝撃的な一行は何度でも現れる。
  
★ ぶっこわれながらどんどん膨張してゆくあの東京が癌細胞に思えてくる。
  
★ 地の中の岩石の匂いが鼻につんとくる。

★ 「昔の者たちゃあ、弾き手も、聴き手も水準高かったぞ。学校ゆかんでも、平家を覚えて語るんじゃから」




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『図解生き物が見ている世界』 ココリコ・田中直樹*長沼毅 学研

2016-03-28 20:26:17 | 本日のしりきれとんぼ
時々は心を休めてあげなければいけない。
そんな時、生き物の生態を思いがけない視点で紹介されると心は溜飲を下げる。

この本はそんな本だ。
図解というのがいい。
一体全体、地上に生きる人間以外の生き物は、この世界をどのように見ているのだろうか?

まず、目の仕組みの説明がある。
それを様々な生き物に適用するのだ。
ただ、この本が完成されるまでには多くの生き物に対する残酷な研究が背景にあるだろうことだけは心に留めなければならない。

いちばん驚かされたのは、ジャクソンカメレオンの視界。

左右の目が独立して外界を見ているのだ。
人間なら気の狂う所だ。
この世界は人間には次のように見える。

でも、こう見えることによってカメレオンはカメレオン足り得る。

次に驚かされたのはキクガシラコウモリの視界だ。

これで充分人間以上の状況把握が出来る。
人間にはこう見える。


人間たちだけの世界認識によって、今、世界はこんな状態にまで追い込まれている事を噛みしめねば、、、。




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久々のタっくん、仙骨部痛を訴える

2016-03-26 20:41:34 | 本日の患者さん
一年振りにタっくんがやって来た。
久々のご登場には訳がある。
元気だった母上の肺癌が判明し、その闘病に付き添っていたのだ。

その献身ぶりは傍の者を驚かせた。
なにしろタっくんは自称、他称、公認のわがまま娘だったのだ。
自分のやりたい事はどんなお説教をも受け付けず貫徹する。
いやな事には手を出さない。
それで通してきた。
その上で周りから愛されて来た。

それが一変したのだ。

母上も、他の周りの者も驚くほどの変身ぶり。
母上は、ナンマンダムと拝んだ、はずだ。

今、その献身が徐々に解除され、徐々に元の我がまま娘に戻りつつあるようだ。
それはその分、母上の回復の証明でもある。

母上はうれしいため息をついておられる、、、。


そのタっくんが仙骨部の痛みを訴えていらした。
仙腸関節の歪みが原因のようである。
梨状筋という筋肉の起始と停止部をシコシコやって一件落着。

でも、カイロプラクティックでは元のわがまま娘に戻って行くタっくんを引き止める手立ては持ち合わせておりませぬ、、、。




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吉本隆明 『ならずもの国家』異論

2016-03-25 17:41:32 | 本日の抜粋
晩年の著書であるから、多分口述筆記だ。
その分、読みやすい。

そしてその内容は予想してたものだ。

でも、そこにはやっぱり吉本節が炸裂していた。

  *****
政治家たちは、万が一戦争になって日本列島が戦場になった場合、じぶんたちの指導の下で国民を動かすつもりでいるようですが、そんなのは冗談じゃない、一般民衆はそんなものにはしたがいません。憲法にしたがわなければいけないのは政府と自衛隊と官僚たちであって、国民一般は要するに個人でもあるわけですから、したがうまいとおもったらしたがわなくてもかまわないわけです。(中略)
戦中から戦後にかけてぼくが学んだことは、戦争になった場合、逃げようが戦おうが、その判断をするのは個人あるいはその家族だということです。個人およびその家族がいちばんいいとおもったことをすればいいのです。
  *****

彼の希求する、成熟した社会の成員の在り様だ。

現実は違う。
我々はその場の空気を読み、その場の雰囲気から外れないように振る舞おうとする。
外れ者になる事を恐れ、自我を押し隠すことを美徳とする。
個が確立していないのだ、、、。


憲法九条に対する彼の見解も繰り返し反芻したい。

  *****
あの非戦の条項は敗戦間もないころの国民大衆の実感に適っていたし、しかも百数十万人の国民大衆の戦争死によってあながわれた唯一の戦利品だということです。敗戦直後の焼け野原、食べ物その他の生活仏需品の欠乏、あるいは職もなく家もないという情況のなかで、戦争はもうたくさんだという国民大衆が心底から同感した条項、それが第九条でした。思想的にも世界に先駆けた優れた条項で、どの資本主義国にもどんな社会主義国にもない「超」先進的な世界認識だといえます。だからぼくは、日本はこれを外に対しても具体的に主張したり宣明できるようになるべきだとおもっています。いいかえれば、この非戦条項を外に対しても打ち出すことによって、アメリカやロシアといった軍事大国だけでなく、世界中の国家意思を変更させること、それを日本の外交活動の目標にすべきだとかんがえているのです。
  *****


それか空論であろうと、理想主義だとあざけられようと、声に出すことが、まず重要だと、、、。




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今年のシャクナゲ

2016-03-23 19:40:09 | 本日のこういうのが好きだ
たぶん、去年の同じ時期に似たような画像を使って、シャクヤクについて書いた覚えがある。
今日は同じような繰り返しである。

プロの物書きにはこんな事は許されないんだろうけど、生活者にとっては大事な毎年の繰り返しである。
同じようなことが過去と同様に推移する。
その事をもって平安を確認する。
そんな繰り返しが、大事だと感じるのは、徳さんが歳取ったという事なのだろうが、、、、。

昨年と違った事が一つだけある。
昨年は株を分けて貰った直後だったので、必要以上に神経を使った。
株の周りをミズゴケで覆ったりして、冬の保温に配慮した。
過保護の極みだ。

で、今年はほったらかし。

でも、シャクヤク君は力強く、この春、赤紫の若茎が徳さんちの庭の荒地と言っていいほどの固い土を突き抜けてご登場いたしました、とさ、、、。




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68にて小学校理科を知る

2016-03-22 18:27:35 | 本日のこういうのが好きだ
食い意地というものはなかなか御しにくい。

よく噛んで食べろと患者さんには言うものの、徳さんがそれに気付くのはあらかた食事が終わった頃が常である。
お腹が落ち着くまでは、ひたすら無言でムシャムシャゴックンを続けてる。
気付いた後、突然のように噛む回数を増やしたところで、それがどれだけ役に立つのか疑問である。

昼、持参する弁当にイチゴが入っていた。
つぶれないように半分に切ってあり、イチゴの曲面が弁当箱に触れないように切断面を表にして置いてある。
そこで今まで気にも留めなかったイチゴの切断面を見ることになる。

で、驚愕の新発見!
!なんて驚くのは徳さんだけかも知れないが、、、、。
そしてそれが68のジジイである事はかなり悲しい事実だが、、、、。

この放射線状に散らばる白い線は何だ?
どう考えても一粒一粒のイチゴの表面に無数にある種への栄養補給路である。
血管である。

イチゴの表面に無数に並んでいる種一粒一粒には、当然のように栄養補給路が確保されていた。
冷静に考えれば当たり前の事だが、今までの無意識を反省させられた。

我々自称上位の捕食者は、食べられる者の命の必死さをもっともっと自覚するべきである。




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今日の天気は曇りだけど、コークワッドゥっちの背骨は晴れ

2016-03-20 17:54:11 | 本日の患者さん
「あれ!今日はきれいな背骨だよ。この6年間で一番じゃないかな」

徳さんの仕事は、ひと様の背骨の並びの欠点を見つけ出すことだ。
プロとしてかなり陰険に小さな歪みも逃さぬよう努力している。
そのせいか、徳さんの性格はどんどん悪くなる一方だ、、、。

だから、今日のように、素直にコークワッドゥっちの背骨を誉めるというような事は、35年のカイロ人生でも数度あるのみ、といった出来事なのだ。

「ホントですか?
そういえば、今日は体に気にかかることはありませんね」

コークワッドゥっち、徳さんが感動するほどには感動してくれず、淡々とした物言いだ。
このところまずまずの体調を維持している自信から来てるのか。

6年前の初診時、その訴えの多さでカルテが真っ黒になっていた事を思えば夢のようである。

もうそろそろ四十路を迎えるコークワッドゥっち。
こんな調子で過ごして欲しいもんだ。




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武田泰淳 「審判」 『武田泰淳全集第二巻』所収 筑摩書房

2016-03-19 18:58:31 | 本日の抜粋
戦争を知らない世代は、戦争を勉強しなければならない。

人類史が始まって以来、戦争が絶えた事はほとんどない。
しかし、歴史のエアーポケットのように戦争の無い空間が世界には散在する。
世界は、そのエアーポケットから学ぶしかない!

そのはずなのに、そのはずなのに。
何故か、戦争に憧れる人がいる。

日本の場合、今はおまま事だが、過去が過去だけに世界にとってはおまま事では済まされない。
それが、世界が日本を見る目だ。


戦争を知らない世代は、戦争を勉強しなければならない。
武田泰淳の戦中の殺人を読む。

  *****
「殺そうか」
フト何かが私にささやきました。
「殺してごらん。
ただ銃を取り上げて射てばいいのだ。
殺すということがどんなことかお前はまだ知らないだろう。
やってごらん。
何でもないことなんだ。
ことにこんな場合、実さい感情をおさえることすらいらないんだ。
自分の手で人が殺せないことはなかろう。ただやりさえすればいいんだからな。
自分の意志一つできまるんだ。
そのほかに何の苦労もいらんのだ。」
伍長が立ち去ったあと、この地球上には私と老夫婦の三人だけが取り残されたようなしずけさでした。
五月二十日の午後です。
かすかに靴の下の土が沈み、風がゲートルをまいた足のあたりを吹き抜けたらしい。
私は立ち射ちの姿勢をとりました。
老夫の方の頭をねらいました。
二人は声一つたてません。
身動きもしません。
ひきがねの冷たさが指にふれました。
私はこれを引きしぼるかどうかが、私の心のはずみ一つにかかっていることを知りました。
止めてしまえば何事も起こらないのです。
ひきがねを引けば私はもとの私でなくなるのです。
その間に、無理をするという決意が働くだけ、それできまるのです。
もとの私でなくなってみること、それが私を誘いました。
  *****

人は、戦争というスイッチが押されることで、いとも簡単にその人間性を変質させうるものなのだ。
そんな、情けない自分たちを変えてくれるものは無いのか?

答えは用意されている。
『愛』だ。
気恥ずかしいけど、それしか無いのだ。

君はISISの人を愛せるか?
君は安倍坊を愛せるか?

否!だと言ったら、君はどこかで間違っている。
間違ってる本人が言うのだから本当だ。



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チョーチャンっちにした徳さんの意地悪

2016-03-18 19:42:59 | 本日の患者さん
自分では決してそんなはずはないと思っているのだが、
「徳さんは性格が悪い!」
ということになっているんだそうだ。
一部の患者さんの間では、、、。

複数で施療に見える場合、公開カイロのようになる。
そして、徳さんの施療をところどころ観察している。

ある患者さんがある訴えをした時のことだ。
「あ!今ニヤリとしたでしょ!」
「徳さん、性格悪いんだから!痛めつける餌食と思っているでしょ!」

その患者さんに対する同情というより、次に受ける自分に施される施療への牽制のようだ。
徳さん、意に介さないようにしている。

徳さんは患者さんの苦痛を材料に快感を求めるようなことはない。


でも、密かに徳さんは己で性格が悪いと自覚している別の場面はある。

「ええ、調子はまずまずですよ」

とか言われると俄然闘志が湧いて来る。
そこで、初めて徳さんの心はニヤリとする訳だ。

今日のチョーチャンっち、割とルンルンでベッドに横たわった。
問題は何もないだろう?というふてぶてしい態度だ。

意地悪徳さん、チョーチャンっちの何番かの胸椎の脇を軽くクリクリ。
突然、チョーチャンっちの苦痛の雄たけびが聞こえる、、、。



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