ユッコ姉の日記

日々思うことをタリラリラン♪っと・・・。

突然のお別れ・・・ (ノ_・。)

2012年04月09日 23時14分27秒 | お仕事・・・
先週、私の勤め先の入居者さんが、お一人お亡くなりになられました。
御年96歳。
でも、全然90代には見えない。見た目は70代でも十分いけるくらい若く見える方でした。

とってもお元気な方だったのに、ここ最近なんだか元気がない。
というか、やたらとおとなしい? どこか悪いのでは?
スタッフの間でそう言った意見が多数出てきました。
という事で、ご家族に頼んで医者に連れて行ってもらったのです。
すると、癌が発見されました。それも末期ー
お医者様とご家族が話し合った結果、年齢がいっているので体力的に手術に耐えられない。
このまま見守って行きましょうー とのこと。
ご家族の希望は、出来れば施設の方で最後まで看取って欲しいー

正直、私達スタッフは戸惑いました。
ウチの施設では今まで入居者さんを看取った事がありません。
今までの方は、皆さん体調を崩されると病院に入院され、
そのままウチの施設に戻って来られることはありませんでしたからー
それでも、みんなで考えました。
何をどうすれば良いのか? 
ご本人の気持ち、ご家族の気持ち、どうすれば快適に過ごしていただけるかー

病院での診断の後、
あれよあれよと言うまに、体が衰弱していきました。
ちゃんと自分で歩けてたのに、歩ける距離がどんどん減っていき、一人で立ち上がる事もむつかしくなり、車椅子になりました。
黄疸が出てきて、顔が黄色くなり、手足も黄色くなり、白目まで黄色くなりました。
一日の尿の回数も減り、異常に濃い黄土色のような排尿をされるようになりました。
食事も最初は全て食べられたのに、だんだん食欲が無くなって食べられなくなり、ついには一口二口食べると、「もういらない。」
ならば水分だけでもーと、勧めるのですが、それもなかなか受け付けてくれない。
お茶はモチロン、スポーツドリンクやジュース、フルーツにゼリーやヨーグルト。
とにかく、御本人が口にしてくれるなら、何でも試しました。
正直、一人で見守る夜勤の時は怖かったー
2時間おきの見回りも、この方だけは1時間おきに見にいきました。
突然、呼吸が止まっていたら大変ですから。
ご家族も毎日のように施設を訪れ、食事などのお世話を手伝ってくれました。
それでも衰弱はどんどん進んで、やがてベットから起きることも出来なくなり、
もーろーとした意識の中、殆ど一日中眠っているような状態にー

その日、私はお休みで家にいました。
台所で洗い物をしていると、携帯に施設からメールが届きました。
訃報でしたー
その日の早朝、この方がお亡くなりになったとー
眠ったまま、息をひきとられたそうです。

時間の問題だと分かってはいましたが、やっぱり・・・

私は、一年前の事を思い出していました。
初めて今の職場に来て、私にとって一番苦手な入居者さんでした。
元気は良いのですが、とにかく何ごとも自分の思うとおりにしたい。
トイレもお風呂も、自分が入りたくないと、絶対に入ってくれない。
特にお風呂に入っていただくのは一苦労でした。

まず浴室に行くまでがひと苦労。
「私は、今はまだ入りたくないの!」と言われるのですが、ここは施設。
好きな時に好きなだけ入浴出来るわけではありません。
だから、ナンダカンダとおだてて、なだめて、何とか椅子から立ち上がって歩いてもらうのに十数分。
手を引きながら、やっと浴室に近づくと、まだひとゴネします。
それでも何とか脱衣場まで連れて行くのですが、そこでまたひと騒動。
服をなかなか脱がせてくれない・・・ 
なんとかんとか洋服を脱いでいただくと、今度は体を洗うのに、またひと苦労です。
湯船に浸かるのは好きなんだけど、それ以外は全て嫌!と言う方でしたので、
放っておくと、洋服を着たまま浴槽に入ってしまったりされることも・・・
浴室の椅子に座らせても、直ぐに立ち上がって逃げ出そうとする。
特に頭を洗うのが大嫌いで、「絶対に頭は洗わんで!」と言われるのですが、
コチラも「はいそうですか。」と言うわけにも行きませんので、
隙をみてシャワーをかけて、御本人が「わあー!頭は嫌っていったがねー!」と怒って暴れている間に
「あ~、ゴメンねえ~。かかっちゃったあ~?」などと言いながら、素早くシャンプーを付けて洗い流す。
それからやっと湯船に浸かったら、ここからが、また大変で、
今度は、ちっとも湯船から出てくれないのです。
「こんなのぬるい!」だの「まだ!」だのナンダカンダ言っては、全然湯船から出ようとしない。
高齢なので、長時間湯船に浸かっているのは良くないのは当たり前。
本人がなかなか出てこなくて、やっと浴槽から立ち上がったら、フラ~っと倒れかかったことだってあるんです。
それでも、そんな事は直ぐにご本人の記憶から消えてしまうので、全然出てきてくれないんですよねえ~
仕方なしに、浴槽のお湯を抜いて浴槽から出す!なんて事もよくあったんです。
それでもこの方、認知症でも賢くて、自分の足のかかとで、排水溝の穴を塞いじゃうんですよねえ~
なんとか浴槽から引っ張りだしてからも大変。
肌着のまま出て行ってしまうし、ドライヤーをかけられるのも嫌いで、髪がビショビショのまま出て行ったり・・・

ホント~ニ、初めてこの方の入浴介助を担当した時は驚きました。
ギャ~、助けてえ~!
何言ってるんですか、お風呂に入るのに洋服を脱いでもらっているだけでしょ?
いやあ~、殺される~!
背中を洗ってるだけじゃないですか!
人さらい~!人殺しい~!
だからぁ~、もう湯船から上がらないと、のぼせて倒れちゃいますって!
大きな声で喚かれるので、ついつい私の声も大きくなり、もう大騒ぎの入浴でした。
あまりの騒ぎに、先輩スタッフが「大丈夫?」と覗きに来たほど。

もう ”新人泣かせ”の入居者さんだったんです。
初めてここに来るスタッフは、みんなこの方の洗礼を受ける。
まあ半年もすると、スタッフもだいたいの要領を得てきて、この方の入浴嫌いもうまく操れるようになり、
それなりに入浴介助が出来るようになってくるんですけどね。

あの時の騒動も、今となっては、可笑しくて懐かしい思い出です。

あんなに元気だったのに、あんなに暴れて歩き回って、わがまま言いたい放題で、スタッフ泣かせ一番だったのに、
こんなに呆気なく行ってしまわれるなんてー

96歳なら大往生です。 最後は、家族やスタッフみんなに大事にされて行かれました。
お葬式のあと、ご家族はウチの施設にとても感謝してみえたそうです。

悲しいー と言うより、寂しい?
今はまだ、この方が使っていたお部屋は空室になっています。
そっと部屋を覗くと、こちらを見て「ニマッ!」と笑う顔が思い出されますー

Tさんのご冥福をお祈りいたします。