蒲田耕二の発言

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改元

2019-04-02 | 文化
昭和が平成に変わったのは30年前だが、トシを取るとまるで昨日のことのようだ。あのときも今度のように全国的なお祭り騒ぎだったかどうか、その辺の記憶は定かではないが。

しかし、名エッセイストだった丸谷才一が軽妙な一文を朝日に寄せていたのは覚えている。当時の日本社会には、まだ悪口を楽しむ余裕があったから、丸谷が書いていたのも「平成」なる元号の悪口である。

いわく、「エ」の発音は大体において品がない。「ハハハ」と笑えば明朗闊達な雰囲気だが、「ヘヘヘ」は卑屈な追従笑いだ。「ハイ」の返事はきりっと締まっているが、「へえ」は軽薄でダラシがない……て具合に例証をいろいろ挙げて、極めつきは「例の気体」。

その「エ」の音(おん)が「平成」には二つも入っている。しかも、その他の音は「イ」だから、日本語の発音習慣でいずれ「ヘイセイ」が「ヘーセー」になってしまうのは目に見えている、「エ」だけの下品で軽薄な名前、云々の小文だった(記憶で書いているから原文どおりの引用ではない)。実際には、「ヘーセー」と発音する人はあまりいないみたいだけどね。

ああいうオトナの洒落た戯文は同調圧力が強まった昨今、とんと読めなくなったよなあ。日本社会の幼児化?

さて、今度のキラキラネームみたいな元号には、どんな方がケチ、もとい、論評を加えてくださるんでしょうね。これまで目にした中では、朝日のデーブ・スペクターのが一番おもしろかったけど(「日本にこだわるのなら、ひらがなにしてもよかったのでは?」)、やっぱりちょっと腰が引けてる。

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