蒲田耕二の発言

コメントは実名で願います。

父の日

2021-06-20 | 文化
今朝の天声人語が面白い。

なぜか知らないが、いつもの担当者に代わって女性記者が臨時に担当したらしい。今日が父の日だというんで、亡くなった親父さんの思い出を綴っている。記者は職業柄、各地へひっきりなしに転勤する。親父さんは娘の苦労を思い、「良き友を得よ良き上司得よ」と歌に詠んだ。

その親心に打たれた、と言うのとは違う。

記者は父親の歌を引きながら、10回の転勤で「上司はともかく友には恵まれた」と綴る。その言葉が楽しい。

彼女はおそらく、上司に怨みがあるのではない。しかし、「上司に恵まれた」とは書きづらい。「友に恵まれた」と書くには、なんの抵抗もないが。たとえ実際には良き上司に恵まれていても、そう書くとゴマをすっているようで気恥ずかしい。

こういう含羞、節度が人間の知性というものであろう。短いフレーズからちらっとこぼれた女性記者の知性に、オレは微笑した。
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