最強の兵器とは?戦略原潜について

2012-11-05 18:48:09 | 軍事ネタ

有史以来、人類は戦争を繰り返す中で、様々な武器や兵器を発明してきた。
それは石器から始まって剣や弓となり、今では銃やミサイルとなっている。
それでは史上最強の兵器とはなんだろうか。

軍事では局面に於いて最善の兵器というのは違うので、
最強という陳腐な定義は厳禁であるが、それでもあえて脅威度で選ぶなら、
それは大口径機関砲でも戦車でも爆撃機でもイージス艦でもないだろう。

おそらく人類が発明してきた中で最強の兵器は、戦略型原子力潜水艦である。




潜水艦というのは、海中に潜む艦である。
姿を現したのは第一次世界大戦からで、登場当初より戦略的に運用された兵器である。
ドイツ海軍の潜水艦はイギリスの船団を待ち伏せ、海中からの魚雷攻撃により商船や軍艦を多数撃沈した。
これにより島国であるイギリスは物資不足となり、経済が瀕死状態にまで陥り屈服寸前にまで追い込まれた。

潜水艦にも弱点がある。
速力が遅く脆弱、故に駆逐艦などに発見されれば逃げ切ることはできず死が待っているのみ。
また潜水艦に抱くイメージとは裏腹に、潜水艦は長時間の潜行はできなかった。
浮上している際はディーゼルエンジンで航行できるが、潜行中はバッテリーで航行する為、バッテリーの持続時間が潜行可能時間であり、
また長時間潜行していると乗員の呼吸により艦内の酸素が尽き、二酸化炭素も充満し危険な状態ともなった。
つまり一度の潜行時間はせいぜい1日か2日程度が限界であり、浮上している間は最も無防備な時間で危険だった。


原子力潜水艦は上記の弱点を克服するものである。
原子力機関はバッテリーの持続時間を飛躍的に伸ばし、また豊富な電力で海水から酸素を作り出し、二酸化炭素の処理の問題も解決した。
また脆弱点であった速力も圧倒的に増し、原潜は水上艦と同等かそれ以上の速力を有する。
原子力機関で燃料の心配が必要なくなったことで航続距離も事実上の無制限となった。

以上のことから、原潜は数ヶ月以上の連続潜行を可能とし、本当の意味での"潜水艦"となった。
それでもたまに浮上したり寄港する必要性があるのは、乗員の精神的問題や食料・弾薬の補給の為だけである。
潜水艦の足が遅いこと、連続潜行できないことなどに因る弱点は完全に原潜で克服されたのだ。


原潜には任務と武装に応じて二種類のタイプがある。
攻撃型原子力潜水艦戦略型原子力潜水艦だ。
攻撃原潜は従来の潜水艦の順当強化版と言った感じであり、武装は今や魚雷だけではなく、
対艦ミサイルや対潜ミサイル、対地巡航ミサイルを搭載していることにより攻撃対象を選ばない。
軍艦として最高クラスの能力を有する戦闘艦となっている。

戦略原潜は通常の潜水艦とは性質が大きく異なる。
戦略原潜は通常の潜水艦とは違い、敵艦との戦闘を考慮しない潜水艦である。
主武装は潜水艦発射弾道弾(SLBM)であり、これを運搬しながら潜伏することに戦略原潜の意義がある。
通常、SLBMには核弾頭が搭載されており、戦略原潜は敵国家への核攻撃に用いられる。

陸上サイロからの大陸間弾道弾(ICBM)と違うのは、戦略原潜は常に機動でき、またその居場所を悟られないことである。
つまりいざ核戦争が勃発した時、陸上サイロのミサイル基地は敵国からの先制攻撃で壊滅する可能性がある。
その場合に於いての反撃手段として、戦略原潜は平時より長期間潜行して居場所を悟られず、大海を常に移動している。
故に戦略原潜を保有する国家にとって、戦略原潜というのは最終切り札である。


SLBMの発射降り注ぐMIRV

アメリカにはオハイオ級という戦略原潜がある。
これを例にとると、オハイオ級は170メートルもの全長を有し、最大の鯨であるマッコウクジラの10倍近くもの大きさがある。
それだけにオハイオ級には「トライデント」SLBMが24基も搭載でき、さらに最新型のトライデントは多弾頭型で14発の核弾頭を搭載できる。
こういった多弾頭型の核ミサイルをMIRVと言い、迎撃は困難を極め、さらに14発の弾頭は別々の目標をそれぞれ攻撃できる。
一発ごとの弾頭威力は475ktで、広島に投下された原爆リトルボーイの威力が15ktであるので、広島型原爆の30個分以上の威力である。

つまり1隻のオハイオ級には24基のSLBMが搭載でき、1基ごとに14発の弾頭を搭載でき、1発ごとの弾頭威力が広島型原爆の30倍以上。
336発もの核弾頭で攻撃できる上に1発ずつが一都市を壊滅させるに十分な威力を有するということだ。
ちなみに現在は核軍縮条約によりトライデント1基ごとの搭載弾頭数は抑えられているが、フル搭載時の破壊力は想像を絶する。

アメリカ海軍はこのオハイオ級を18隻配備しており、その内の4隻は改修により戦略核攻撃任務から外れてはいるものの、
残る14隻は戦略原潜としての任務に就いており、また外れた4隻も巡航ミサイル原潜として改修され154発ものトマホーク巡航ミサイルを搭載している。
154発のトマホークは通常弾頭であるので、戦争緒戦に於ける要所への対地攻撃任務に充てられ、その搭載量でまさにミサイルの雨を降らせることができる。


以上のことから、戦略原潜は人類史未曾有の破壊力を有するものであり、1隻がフル稼働するだけである国家を十分に滅亡させ得る。
しかもどこに潜伏しているかわからないことから、脅威度と破壊規模で史上最強の兵器といえるだろう。

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ガンダムオンライン、クローズドベータ終了

2012-11-02 16:32:00 | 機動戦士ガンダムOnline

ここ一週間のブログ更新は、ガンダムネタだけで埋め尽くした。
そのことについて様々なコメントを頂いたが、
まあ我がブログでガンダムネタをたくさん書いても不自然ではない。

何故ならメイン読者層の皆様はきっと第二次世界大戦ほどとは言わなくても、
ボーア戦争ぐらいよりは一年戦争の方が好きという人が多いはず。
ある統計によれば我がブログの読者層の大半は、と聞けばももクロレッドよりも先に赤い彗星を連想し、
ピンクと聞けばももクロピンクよりも先にピンクアッガイが思いつくようなガンダム玄人ばかりであるとのこと。

だから我がブログがたまにガンダムネタで埋まろうと何も不自然ではないのだ。


しかしそれも今日で終わる。
何故なら機動戦士ガンダムオンラインは10月いっぱいでクローズドベータを終えたので。
正式サービスがいつになるか楽しみである。

それまでは従来通り、女子力アップの秘訣についての更新に戻るとする。