国産戦闘機F-3開発について、その必要性

2015-03-19 21:23:46 | 軍事ネタ

最近報道されているF-3戦闘機について。
Twitterでも回ってくることが多い話題なのでブログにも書いてみる。

防衛省が5年以内にF-3戦闘機の開発開始を表明したということで話題になってるけど、
これは心神からの継続的なプロジェクトであるので、新たに発覚した新計画というわけではない。
何年も前から心神をベースにした戦闘機を2025年辺りに初飛行させるというのは明らかにされてて、
つまりずっと進行していたものだ。




現在の航空自衛隊の戦闘機部隊にはF-4,F-15,F-2の3機種が配備されている。
このうちF-4とF-15はアメリカの戦闘機をライセンス生産したもので、
最新のF-2は日米共同開発機であるために、もし今回のF-3が完成すれば、
戦後日本の初めての純国産戦闘機となる。

第二次世界大戦時はゼロ戦など数々の有名機を生み出した日本が、
70年の時を経てようやく純国産機を作るというのは非常に熱い話である。
現代版風立ちぬ。


戦闘機開発というのは超巨大プロジェクトであり、できる国は世界でもごく少数に限られている。
今までアメリカ製を買ってた日本がこの金のかかる計画に手を出すことに対して世間からは懐疑的な意見も見えたが、
戦闘機を自国で開発・生産することには安全保障上のメリットがある。


まず生産基盤
というのも近年の航空自衛隊はF-2戦闘機を増産したい機会が何度かあったが、
アメリカとの共同開発機ゆえにアメリカの都合で増産が難しいということがあった。

まず3.11の津波でF-2戦闘機がいくらかおじゃんになったとき、増産で対応する案があった。
次に、現在航空自衛隊は老朽化したF-4戦闘機の後継機を急ぎで策定しているが、
諸般の事情でなかなか適した条件の機体がない為にF-4に無理をさせている。
これも戦力に穴を開けない為にF-2戦闘機の増産で間に合わせる案があったのだ。

しかし既にアメリカ側のF-2生産ラインが操業停止していたので、
これを再稼働させるのにも交渉とすごくお金がかかる。
もし純国産機であれば自国の都合のみで生産ラインを止めないようにするか、
増産するかも調整できたと思われるので、純国産機というのは当然生産面で融通を利かせやすいのだ。


次に国情に合わせた性能
日本の要求する性能はやや特殊な為にこれも大きな理由となる。
まず大まかなところで航空自衛隊が要求する性能というのは、
ステルス性・航続距離・巡航速度・加速力
主にスクランブル用途であるし、領空も広いので、これら機動性は欠かせない。
そして使い道によっては兵器搭載量も大きいと思われる。

ではそれらを兼ね備えた機体は?
現在世界にはアメリカのF-22戦闘機しかない。
だからこそ日本はF-22を買おうとしてたわけだけど・・・アメリカ議会から輸出禁止されてしまっている。
そして航空自衛隊はF-4の後継機としてF-35というF-22の兄弟のような戦闘機を調達予定だけど、
これは正直開発が難航してデスマーチってるし、機動性(巡航速度・加速力)についてはあまり高水準な機体でない為、
予定通りの支援戦闘機としてならともかく、将来的な主力戦闘機として空戦の主役を担わせるというのは航空自衛隊の意に反するものだ。

つまり最適な高性能ステルス戦闘機が世界中にない。
買えないなら自分たちで作るしかない
という状況なわけだ。


また安全保障の世界においては、もちろんコストパフォーマンスも重要だが、こと兵器の話となれば、
それしかないならば金をいくら出してでも手に入れるというのは珍しくない、というか常識である。
費用がーとかコスパ云々は国が平和なときでこそ、国が存在しててこそ言ってられるもので、
だから防衛力に穴を開けて安全が脅かされるよりは、いくら金をかけてもコスト的に見合っているという見方もできる。

日本の戦闘機事情はそんなに逼迫しているのか?と言われると、逼迫しているといえる。
日本は少数精鋭の質で量に優るというドクトリンなのに、
特に空軍力においては肝心の質ですらも中国やロシアに抜かれつつあるのが現状なのだ。
量も加味して言えばむしろ抜かれているし、両国ともにステルス機の開発を発表しているので、
将来的にはなおさら差が開くだろう。
既に防衛の前提が崩壊している。

航空自衛隊の戦闘機は、ベトナム戦争時代のF-4を60機と、30年前のF-15を200機と、
最新ではあるが主任務は対艦攻撃機であるF-2を90機。
さらにその半数が最新式の空対空ミサイルを運用できない。

日本は中国とロシアと国境を接する世界で一番のホットスポットというのに、
そして国の規模に反して、純粋な戦闘機戦力に関しては老朽化著しいといえる。
つまり日本はいくら金を出してでも最新の高性能機を欲しがる状況で、
今回の自国開発は妥当というところだろう。


まあその前にF-4の後継機のF-35の調達を急ぐことだが、(予定では2017年以降)
その後にF-15かF-2の後継機として今回のF-3が配備されることになるだろう。
現代版ゼロ戦の誕生が楽しみである。

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17 コメント

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Unknown (Unknown)
2015-03-19 23:16:37
10年前に日本の軍事力は中国相手なら10年は大丈夫だろうけどその後は分からんみたいなこと読んだけど、ついに抜かれるときが来たのか、、まあ海軍はまだ優位があると信じたい 向こうは腐敗も酷いらしいけどそれも含めて量だからなあ
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Unknown (Unknown)
2015-03-20 06:57:42
実際、中国が本気で攻めたら日本の主要都市は長距離ミサイルや空爆で数日持たずに全て機能停止すると思う

そして諜報ガバガバな日本がいかなる新鋭機を開発してもすぐにコピられるか、アクタン・ゼロのように対策を取られる気がしてならない(・へ・)
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Unknown (Unknown)
2015-03-20 14:28:49
核戦争にでもならんと都市機能停止はしないだろ
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Unknown (もじゃ)
2015-03-20 23:34:31
ネタ振りしてから、この記事書いたの?

そうならば、スゲー

書き溜めしてたのなら、スケベー
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Unknown (Unknown)
2015-03-21 07:11:06
純国産機かー
この日本で兵器開発なんて話になると左巻きの人達が
ぎゃーぎゃー喚いて戦争反対だの抜かして妨害してくるけど
そんな中でも頑張ってもらいたいもんだわ
今年辺りから世界中がいろいろと動き出しそうなのにね
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Unknown (SleipniR)
2015-03-21 22:14:46
ステルスやエンジンのノウハウは次に活かされるだろうし
F-3以降の新機体開発も楽しみであるが、その事には爺さんになってそうな気がしないでもないわ

あとWoWsがなかなか楽しいです
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Unknown (ゆっきぃ)
2015-03-23 03:31:38
>>10年前に日本の軍事力は中国相手なら
まあ中国の軍事予算の増え方はすごいからね。
海軍は質的優位を保ってるけど
中国海軍に正規空母が増えてくればそれも怪しくなるかなー。

>>実際、中国が本気で攻めたら日本の主要都市は
ただおそらく日中戦争が起こるとすれば尖閣諸島周辺か台湾辺りの地域紛争になる可能性が高い。
その場合、都市攻撃に発展するまでいくかはわからないというところ。

>>もじゃ
そうっすよ。
得意分野や機分がのったときは早い。
俺はスケベだけど。

>>純国産機かー
まあ今の日本は凄く変化してるから
国産兵器に対する風当たりも昔ほどは強くないはず。

>>SleipniR
WoWsは海戦ゲームが少ないから興味あったんだけど
やっぱり国籍混同はやる気がおきないなー。
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Unknown (Unknown)
2015-03-24 10:47:19
日本は質で他の国の軍事力に対抗しなきゃならないのに質でも負けてしまうのはまずいですよね。
ところでyukkyさんはwarthunder 最近やってますか?今年海軍実装予定らしいですよ。
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Unknown (Unknown)
2015-03-24 13:58:08
財務省が悪いのよ。。。
もっと自衛官と給料と開発費を増やさないとね。
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Unknown (ゆっきぃ)
2015-03-24 22:50:58
>>日本は質で他の国の軍事力に対抗しなきゃ
War thunderは最近やってませんが、
海軍実装なら触ってみると思う!
World of Warshipsより期待できそうだ。

>>財務省が悪いのよ
これからは変わっていくさ!!
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