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F-35Bがワスプへの初着艦に成功!

2011-10-04 21:21:25 | 軍事ネタ

F-35Bがワスプへの着艦に成功。

F 35B 1st Landing on USS WASP



F-35は2017年から初期作戦能力を獲得予定のアメリカの最新ステルス戦闘機。
現在運用されているF-16,F/A-18,A-10,AV-8Bなどの複数機種を一機種に統合する目的で国際共同開発されており、
その為にそれらの戦闘機を運用している複数国が導入予定で、世界中に配備されることになるであろう機体。

複数機種の役割を一機種に統合するという計画の性質上、F-35に要求される仕様は多岐に渡り、
その実現の為の開発には困難がつきまとい、初期計画よりも進捗が遅れていたが、
去年にはC型が初飛行し、ようやく本日はB型の着艦テスト成功が報道された。

F-35には空軍型のA型、海兵隊型のB型、海軍型のC型があり、
機銃を固定武装とするのはA型のみとか、
今回の動画のように垂直着陸能力があるのはB型のみなど、
それぞれ運用される部署に合った仕様が実装される。


ワスプ級強襲揚陸艦

F-35Bは現在のAV-8BハリアーIIを代替して強襲揚陸艦で運用されることになり、
ワスプ級強襲揚陸艦は飛行甲板を備えているが正規空母のそれよりも小型であり、
艦載機には長大な離着陸滑走距離を必要としない垂直着陸能力が重要である。
海兵隊が上陸戦を行うとき、この強襲揚陸艦から飛び立って航空支援をするのがF-35Bの任務だ。


日本の航空自衛隊でも新戦闘機を選定しており、
最新ステルス戦闘機であるF-35が有力とされているが、
兵器搭載量が少ないのと機動性が低い部分、開発が遅延している面で、
F-35が日本の国情に合っているか疑問視されている部分もある。
また導入されるとしても今回のF-35Bではなく、
空軍型のF-35Aとなるので、垂直着陸能力は無い。

その辺については以前にも詳しく書いた。
航空自衛隊F-X、さらっとまとめ(1)
航空自衛隊F-X、さらっとまとめ(2)


なんにせよ、開発遅延や調達費高騰、
そしてB型の開発中止の噂まで出ていてF-35関連は暗いニュースが多かったが、
今回の試験成功が動画として公開されたことにより一安心する軍関係者も多そう。

F-35はアメリカだけでなく、イギリス、イタリア、イスラエル、オーストラリア~など旧西側諸国を中心に10ヶ国、
確定じゃないのも合わせれば日本を含めもっと多数国の軍隊が導入を検討しているのであり、
まさにこのF-35が計画倒れにでもなれば世界中の軍事情と経済に影響を及ぼすものである。

アメリカの台湾へのF-16供与中止は敗北ではない。

2011-09-28 20:45:04 | 軍事ネタ

今月に入り、アメリカが台湾にF-16戦闘機のC/D型を売却するという兵器供与計画が、
中国の抗議により阻止されたというニュースが話題になっていた。

台湾を守るふりする米国―新型戦闘機は提供せず
http://jp.wsj.com/World/China/node_311612





F-16はアメリカで開発された軽量戦闘機で、全世界に販売されているベストセラー機。
開発当初はただの軽量戦闘機だったが、今や度重なる改修により、
空戦から爆撃まで多目的に任務をこなす使い勝手の良いマルチロール機だ。

台湾空軍は既にこのF-16のA/B型(Block20)を145機保有しており、
今回はより先進型であるC/D型を新たに66機購入するという計画だった。
しかしこの度の供与中止を受け、アメリカは中国の圧力に屈したのかと、
上記ニュース記事のように落胆を示した人も多い。


ところがこれはそう単純な話ではない。
確かにアメリカは対中関係の悪化を考慮して台湾へのF-16C/D型、66機の輸出を中止した。
しかしその代替にアメリカは既に台湾が保有しているF-16A/B型の145機のアップグレード案を提示したのだ。

そのアップグレード案の内容が、
・AESAレーダー、JHMCSを含む最新式電子機器の搭載。
・AIM-9X、AIM-120C7と最新式空対空ミサイルの搭載。
・その他各種対地誘導爆弾などの兵装アップグレード。
・エンジンをF-15Eに搭載されている先進的な物への換装も研究。


等々となっており。
これがどの程度の改修となるかといえば、

AESAレーダーの搭載により、レーダー性能では本来供与される予定であったF-16C/D型を凌ぐものとなるし、
AIM-9X、AIM-120C7と世界でも最新式の空対空ミサイルも搭載されるので空対空性能は大きく向上する。
さらに今回導入されるJHMCSというのは統合型ヘルメット式HUDであり、これとAIM-9Xを組み合わせれば、
自機の真横にいる敵機のほうをパイロットが向いてロックオンすれば、真横にもミサイルを発射できるという全方位型戦闘システムである。
さらに研究されているエンジンの換装も、導入予定であったF-16C/D型よりも先進的な物である。


これらの改修が上手くいけば、本来供与されるものであったF-16C/D型よりも作戦能力が強化されることになるだろう。
もちろん66機を新たに導入するという計画であったのが頓挫したので、その分の機数が増えないことになり、
これの埋め合わせとしての機体選定は今後も必要となるだろうが。
ただ今回の件に関しては単純なアメリカの圧力負けではないことは確かだ。

中国政府としては、アメリカによるF-16C/D型供与計画を中止させたことで一定の成果を挙げたことになるし、
アメリカや台湾としても、代替のアップグレード案で同等以上の作戦能力を得ることができる。
大人の世界のゲームが垣間見えるね。


今後もこの台湾空軍の機体導入計画と、台中情勢については見逃せない。

忘れてはならない日

2011-08-06 22:36:13 | 軍事ネタ

こんばんは、ゆっきぃです。
今日は8月6日、いわゆる原爆記念日。
日本人にとって、そして世界中の人にとっても、特別な意味を持つ日。

日本の夏が淋しく切ない雰囲気を帯びているのは、
原爆だの敗戦だののイメージもあるんだろうな。




第二次世界大戦末期、1945年8月6日。
広島市にアメリカ軍のB-29戦略爆撃機「エノラ・ゲイ」が飛来し、原爆を投下。
続く3日後の8月9日、長崎市にもB-29「ボックスカー」から原爆が投下された。
この投下された2つの原爆は、4年も続いた日米戦争の最期の象徴となり、
また日本の降伏は第二次世界大戦そのものの終結を意味した。
8月15日、日本はポツダム宣言を受諾し、無条件降伏による終戦を迎える。

広島・長崎のケースで示された原爆の威力は圧倒的で、
1個の爆弾で都市を壊滅させる核はまさに最終兵器であり、
これをきっかけに、米ソが核兵器を以て対峙する冷戦構造が誕生した。


既に敗色濃厚な日本への原爆投下に妥当性があったかは、立場によって意見が分かれる。
原爆投下が日本に降伏を促し、結果的に来たる本土決戦による犠牲者を抑制することができたという人もいるし、
原爆投下がなくても日本は近く降伏していたという人もいる。
また来たるソ連との対立に備えての実験使用、示威・牽制的使用という人もいる。

たった2個の爆弾で20万人以上もの命を一瞬で奪った原爆。
目標とされた広島や長崎は、軍需や軍事施設が多く残る軍都であったが、
結果を見れば言うまでもなく、民衆に対しての無差別虐殺行為である。
しかし当時は全面戦争であり、日本も作戦能力があればアメリカ本土都市を大規模に空襲しただろうし、
保有に成功していたなら、勝利する為に手段を選ばず原爆を使用していた可能性は高い。

原爆投下は確かな戦争犯罪であったが、誰が悪かったのかを論じるのは難しい。
敗色濃厚なままずるずる戦争を続けた日本首脳部か、
明らかなオーバーキル行為を命じたアメリカ大統領か、
そしてそれらは今となっては無意味だ。


歴史的事実だけをいえば、原爆投下から間もなく日本は降伏した。
そして広島・長崎で原爆の威力が実証され、その破壊力は最終兵器と認識された。
これはその後の、軍拡を以て対峙するも全面戦争には至らない、冷戦構造を生み出した。
全面核戦争が起これば地球規模で全てが破壊され、勝者は誰もいなくなることが認識されたことで、
大国間の全面戦争が発生し得なくなったのだ。

可能性だけで言えば、もしも第二次世界大戦で日本への原爆投下がされなかった場合、
世界の人々は核による痛みを知らず、もしかしたらどこかで核戦争が起こっていたかも知れない。


確実に言えるのは、この広島・長崎のケースが、世界史上で行われた唯一の核攻撃であり、
人類史上で核攻撃がなされたのはその2ケースのみとしなければいけないだろう。
その為に8月6日と8月9日は、人類にとって特別な日として、何百年も記憶に留める必要がある。

もしも日本が戦争に巻き込まれた場合、その影響について

2011-07-07 18:46:17 | 軍事ネタ

こんばんは、ゆっきぃです。
今日Twitterで、更新すべき軍事ネタが見つからない旨をつぶやくと、
フォロワーさんから興味深いテーマを頂いたので、それについて書いてみようと思います。




まず戦争という事象は非常に広範に渡り甚大な影響を及ぼすので、
一個人だけでは予測もつかない分野もあるでしょうが、
他国や戦史上の例として、そして一般論として、
表面的に予測できる範囲で考察してみようかと思います。


戦争が起こると市民生活はどうなるか。
これは戦争の場所・規模・形態に依る。
例えば一番実現しそうな線として、自衛隊の海外派遣の延長から、
国連軍のような、アメリカの一同盟国として遠いどこかの戦争に参加する場合。
これから有り得そうな、イラン制裁や空爆といった米軍の活動に自衛隊が積極参加した場合である。

これは遠い他国に武力行使をしているので、言うまでもなく立派に戦争行為である。
しかしこの先進国として最も有り触れたケースの場合、市民生活レベルでいうと、
日本人は戦争している実感を得ないだろう。
ニュースや新聞や街角で騒がれはするだろうが、イランやそれらの遠い国が日本に攻撃しようもないので、
疎開したり避難したり灯火管制したりといった、市民生活レベルで何かが変わるということはない。

せいぜい、戦争相手によっては多少の輸入不安が起こり、石油やその他原価が上がったりとか、
もしくは政府が財源確保で贅沢品やその他の税率を上げる可能性などはあるが、
その程度の影響にとどまるだろうと思う。
今年のリビア制裁に乗り出したアメリカやその他諸国の国民と同じである。
テレビを全く見なく他人と関わりも持たず都市部に行かない人などは、
戦争が起こっていることすら知らずに暮らすだろう。


次に第二次世界大戦のような、近隣の国家総力戦に日本が巻き込まれた場合。
例えば中国との戦争に突入したケース。
それも南方の島でやるような小競り合いなどではなく、文字通りの総力戦の場合である。

戦争の趨勢、そして核兵器の使用状況、米軍や他国軍の介入状況にも大きく依るが、
情勢如何に依らず、中国と日本の戦争なら、
現代戦として最大クラスの兵力規模・質のぶつかり合いとなる。

中国からは通常弾頭であったとしても巡航ミサイルが何百発と飛来するだろうし、
第二次世界大戦のような戦略爆撃的効果を狙って、そのミサイル攻撃は工場や軍事基地のみならず、
都市部やもしくは鉄道やダムなどインフラ設備に着弾する可能性がある。
また実際に航空優勢が掌握できるかに関わらず、
中国と日本なら爆撃機による大規模爆撃も十分に視野に入る距離となるし、
中国海軍空母の活動状況によっては実際に爆撃機が要衝やもしかしたら都市部に飛来する。

このような一般市民レベルで総力戦の戦火に巻き込まれる可能性がある場合。
島国の事例としては第二次世界大戦の日本とイギリス、
現代の国家総力戦の事例としては中東戦争のイスラエル、
イラン・イラク戦争でのイラン・イラク両国のケースが挙げられる。


そこから考えた場合、まずは都市部から地方へ集団疎開が実施される。
そして灯火管制が敷かれ、爆撃機の視標とならないように努力される。
学校の講堂や市民ホールなどが避難所として機能し、集団的な避難生活が始まる。
都市部にある地下鉄、特に東京・大阪・名古屋・福岡・札幌などに存在する巨大地下街などは、
対爆撃用・核戦争用のシェルター・防空壕として機能し、ここでも避難民の集団生活が営まれるだろう。

今回の震災でもあったように、水や食料、その他生活必需品の買い占めが起こり、これらの物価が急騰する。
また中国海軍による海上封鎖も実施され、趨勢によっては米海軍や海自の活動によって海上封鎖が絶対的な効果を挙げないとしても、
船舶が攻撃に晒される可能性が高い戦地なのは変りないので輸入不安は必ず生じる。
今回の震災が比較にならぬほどの未曽有の品不足が全国的に発生し、
ガソリンなどは軍用に徴用され、インフラの低下もしくは部分的な停止は避けられない。

発電所などは最優先攻撃目標となる。
実際にこれらへの攻撃が成功した場合、今回の震災以上の電力不足となる。
灯火管制も合わさり、1日を通して電力使用が制限される。
テロ懸念から、もしくは実際にミサイルなどでの攻撃を受け、新幹線や鉄道の主要路線なども停止する可能性がある。
幹線道路も攻撃を受けるか、もしくは避難民の大渋滞、またはそれを避ける為に主要道路は軍用として確保され、あらゆる道路が機能不全に陥る。
これらの影響を甚大に受け、通常業務を一切停止する企業なども多く出てきて、大勢が休職もしくは失業者となる。


第二次世界大戦時での赤紙のような、徴兵制は恐らく施行されない。
現代戦はハイテク戦争であり、素人を数だけ集めても無駄が多く、特に日本の場合は島国という地勢上、
陸戦よりは海上戦や空中戦が戦争の大部分を占めることから、その傾向がことさら顕著となる為である。
イスラエルやイラン、韓国などの陸戦が主体となる国は現代でも徴兵制がある程度有効と判断され施行されているが、
日本では当てはまらないのである。

しかし歩兵などの徴兵はないにしろ、一部企業は軍事活動への協力が求められる可能性が高い。
例えば海運を握っている重工企業は船での輸送を求められるし、航空会社も同様、
もっと身近な企業で言えばセブンイレブンや佐川急便など、
全国的に展開しているコンビニや配送業者のトラックは兵站業務に従事することを求められる。
また弾薬や兵器生産の関係から、工場などの求人が多くなる。

もちろんこれらの混乱に乗じ、強盗や略奪、殺人などが横行し、
闇市場なども形成され、治安が劇的に悪化することも無視できないし、
今回の震災でみられた以上の自殺増加率の急上昇も起こり得るだろうと考えられる。
暴動などもあるかもしれない。


といった感じかな。
日本が総力戦に巻き込まれた場合、大きくは
集団避難・物資不足・エネルギー不足・インフラ停止・失業・徴用・治安低下
などが一般市民レベルで深く関わってくるだろうとまとめることができる。
これらは戦争の趨勢によってその度合いは大きく変わってくるが、避けられないものである。

国土の一部が占領されたり、もしくは空爆により一部都市が焦土となった場合、
または核攻撃が行われた場合はもっと深刻なレベルでこれら全てが発生し、
戦後復興もそれだけ遅れることとなり、戦争に勝ったとしても負けるとしても大きな傷跡を残す。


と、ざっと大きく想定されるのはこんなところではないでしょうか。
もっといろいろな部分で作用し合い、また考えも得ない事態が発生することもあると思うけど。
まあ国家基盤そのものが破壊される、戦争は怖いってことです。

こういうブログテーマの提供は面白いし助かる。
他にも軍事ネタについて書いてみて欲しい質問者さんなどいたら、
どしどしネタ提供、お待ちしています。

航空自衛隊F-X、さらっとまとめ(2)

2011-06-08 19:01:48 | 軍事ネタ

前回分、航空自衛隊F-X、さらっとまとめ(1) からの続き。


引き続きF-Xに於いて求められる要求性能、長大な航続距離と機動性能について。
航空自衛隊の戦闘機の主要任務は、スクランブル・航空要撃・航空阻止などあるが、
一口に全てまとめたら迎撃だ。

スクランブル=平時において防空識別圏に侵入する他国籍機に接近・警告し領空外へ誘導する。
航空要撃=有事において、実際的に敵性航空勢力を空戦により排除し制空権を確保する、防空任務。
航空阻止=日本本土に接近・上陸する敵性艦艇や地上勢力の進出を爆撃により阻止する。


これらの迎撃任務をこなす上で、航続距離や機動性能が重視される。
航続距離はどれだけ長い距離を飛べるか、機動性能は加速力や最高速度などの性能。

日本の広い領空・領海を守ろうと思えばそれだけ長距離を飛行できることが求められ、
航続距離は空戦においての交戦可能時間とも直結する為に軽視できない。
また日本のように少ない機数で広範囲を守備するのにも航続距離は重要だ。

機動性能は、上記のような迎撃任務においては現場に到達するまでの時間が重要になる。
対象への接触が早ければ早いほど対応時間に余裕がとれ、
本土に極力接近させないよう、リスクを回避するのにも重要だ。
また実際的な空戦に於いて、機体の速度性能が重要なファクターなのも不変である。


対艦攻撃装備の空自F-2戦闘機。ASM-2(対艦ミサイル)を4発搭載している。

対地攻撃・対艦攻撃任務にも対応できるマルチロール性能については、
少数の機体を最大限活用する為に、ある種の万能性が求められる。
空戦だけではなく、前述したように航空阻止任務も空自の戦闘機隊には求められており、
この点で、空戦もできるけど爆撃もできる、といったマルチロール性能が重要になる。

幸い前回記事で書いた現在の候補機種は、全てがこのマルチロール性能が高い次元で備えられているとされるが、
以前の最優先機種であったF-22ラプターはほぼ空戦専門機であり、このマルチロール性能が高いとは言えない。
それでも空自がF-22を欲したのは、やはり他の追随を許さない圧倒的な空戦性能を買ってのことだろう。
(現在の候補機はF-35、F/A-18E、タイフーンの3機種で、いずれもマルチロール機である。)


輸入ではなく、自国でのライセンス生産が可能なことの点については、
単純に完成された機体を輸入するか、自国で部品から生産し組み立てるかの違いである。
また両者の中間的な、部品を輸入し自国で組み立てるノックダウン方式というのもある。

自国でのライセンス生産を行うメリットは、国内の生産基盤が活性・維持される点である。
委託企業の工場を稼働させ、雇用を促進し、また航空機生産の技術やノウハウも得られる。
特に航空機生産の職人を育成し、技術を絶えさせないことで、
将来的な国産戦闘機の開発・生産にも役立てることが期待できる。

また自国内でパーツを生産できるので、修理や整備が迅速で、
故障率を低く抑え稼働率の向上が期待できる点も大きなメリットだ。
他には国際関係など何らかの事情で機体を輸入できなくなった時も、
自国で生産できるので強みがある。

逆にライセンス料を支払うので輸入に比べてかなり高額になるケースもあるが、
日本の場合、上記のメリット全てを重視して、
基本的には戦闘機はライセンス生産を選択してきた経緯がある。


なので今回の選定でもライセンス生産が望ましいとされているが、
最新技術と機密の塊であるF-22はもちろんライセンス生産は不可能であった。
続く候補機のF-35も多国間共同開発機である為に、国際関係上、
共同開発に出資していない日本がライセンス生産することは難しいとされている。

(ただしF-35の開発費高騰は著しく、日本がF-35を購入することで出資各国の負担の軽減が期待されており、
その為に空自向けにF-35の売り込みは年々強まっている点から、取引カードとしてライセンス生産の可能性が取り沙汰される可能性はある。)


タイフーンも欧州の多国間共同開発機であるが、こちらもF-35と同様出資各国の負担軽減の面から日本へのセールスを行っており、
もしも空自がタイフーンを導入するならライセンス生産は可能という条件を提示されている。


F/A-18E/F スーパーホーネット

前回記事から続く以上の要素を候補3機種で比較すると、

空戦性能 ・・・ F-35かタイフーン。(ステルス性能の点でF-35優勢であるが、兵器搭載量や速度性能から言えばタイフーンも高性能機である。)
航続距離・機動性 ・・・ F/A-18Eかタイフーン。(航続距離ではF/A-18Eだが、F/A-18EもF-35も速度性能が悪い反面、タイフーンは速度性能が良好な機体である。)
マルチロール性 ・・・ 全ての機種が向いているが、兵装搭載量だけはF-35がやや不利。
ライセンス生産 ・・・ タイフーンとF/A-18Eならクリアだが、F-35にも部分的にまだ可能性が残されているかもしれない。

また他にも機体導入可能時期も空自は重視しているので、2016年に入手可能な点で言えばF/A-18Eかタイフーン。
しかし政治的にはアメリカ製を重視する風潮があるので、その点でいえばF-35かF/A-18Eだ。


このように各機種一長一短なところがあり、選定は難航している。
ちなみに価格面については、空自は今までのF-Xではその世代の最新・最高の機種を選定してきているので、
今回も元々はF-22が最優先候補にあった点から見ても、大きな争点ではないと思うので考慮しないこととした。


どの機体になるのか。
今年の11月までに確定されるとのことだけど、予想して楽しんでる人は多いだろう。
ちなみにyukky的には、個人的な感情で言えば日の丸タイフーンも見てみたいが、
導入開始時期が遅れようと、性能・政治的な面から無難にF-35に落ち着くだろうと予想している。
外れるかな。