Decca Decolaがお嫁入り

やっとこさ入手したDecca Decolaの整備記録

EMT928 について(2)

2019-10-06 23:09:37 | EMT

 不調のEMT928が来た。外観は良好だがいろいろと問題を抱えているらしい。ちょっと点検すると

・ストロボの鏡が脱落(幸いにも無傷)  ・ベルトは寿命  ・モーターの回転不安定  ・イコライザー不動  ・アームレスト破損  ・通電すると異臭がする

 欠品は無さそうなので全長520mmのベルトと海外オークションで出品されていたアームレストを注文した。ベルトは純正は入手できないので代替え品。鏡は再接着したが分解は結構手間がかかります。異臭の原因は抵抗器R107とR106が焼けている。

  

 R106とR107は金属ボックスに収まるイコライザーボードのマザーボードにある(写真)。電源基板から供給される電圧が低いことから抵抗器の導通は一応あるが平滑用電解コンデンサーの短絡が疑われた。過大電流で抵抗器が焼けている。コンデンサーを外して点検するとやはりショート状態。

 

 とりあえず電解コンデンサーだけ交換するとモーターの回転も安定した。このパターンは他の製品でも度々見られる。ヒューズが切れても良いと思うがなぜか煙が出ても切れてくれない。そのほかの電圧は一応正常だが電源基板の大きなコンデンサーなどもいずれ交換が必要になりそう。

 これでモーターの回転は安定し音が出るようになったがイコライザーアンプ出力の左右差が大きい。左右2枚のイコライザーボードはマザーボードにコネクターを介して立っているが左右同一なので入れ替えてみるとやはり同じchの異常が認められイコライザーボードには問題なさそうでこちらもマザーボードの不具合と思われた。立体的な配置だが点検しやすいように点検端子が数カ所設置されている。回路図と基板図と基板を照らし合わせることで信号の流れを追う事が出来るので原因の追究にはとても便利。早速調べるとフラットアンプの入力部分で信号が途切れている。前段のイコライザー出力から一旦外のゲインボリュームを経てボードに帰ってくるのだが途中にある抵抗器R105が断線しているようだ。なぜ?

 原因がわかったところで破損している部品は明日買い出しに行くことにして今日は寝ることにします。おやすみなさい。。

 

、、、ところが翌朝分解して確認したら抵抗器は問題なさそうでまた組み立てて確認する。その際一応ハンダ鏝を当ててみたりしたがやはり不具合は続く。なかなか原因がわからずにイラついてしまう。まったく信号が出力されないのではなくゲインが少ない。イコライザー基板はやはり問題ないのでマザーボードを含めた入出力かと思うが、、そのうち頭が混乱してしまった。問題解決されないのも自分の老化が原因なのは間違いないところ。視力の低下で異常が発見できにくくなっている。

 

  うまくいかない時はどうしたらいいのだろうか?(備忘録)

・まず周辺の片付けと掃除

・本体の清掃

・作業環境を整える。コード類の整理、測定器の配置、問題があればメンテナンス。

・webなどを活用して情報の収集

・欠品、破損があればそちらの対処を優先する。

・無益の分解や組立はやめて被害の拡大は極力避ける。触るほど傷みは進んでしまうため。工具の選択、扱いは慎重に行う。

・作業が原因で新たな困難を生じさせた場合はそちらの解決を優先させる。

・故障が解決しないうちに予防修理的な他の部位の部品交換はしない。

・一旦諦めて再度取り出した時のために丁寧に組み立てて綺麗にしまう。捲土重来。

・完全修理できない場合の次善の状態をイメージする。

・専門家への依頼を検討する。

 

 

    など。

 

 話がずいぶん逸れてしまった。通電して色々なポイントから信号を入れて様子を伺ってみる。そのうち出力端子にあるジャンパー線の有無で正常chはゲインが変化するが問題chは変化しない事に気づいた。期待で手が震えつつ(嘘です)再度分解してみるとマザーボードからの引き出し線が断線している事が判明してようやく修理完了となった。

   

 治ってよかったです。これでアームレストの到着を待つことにします。

 久々のEMT928はThorensとくらべても随分異なる。EQ,アーム、カートリッジが違うのだから出て来る音も当たり前に違う。しばらく何枚かLPを聴いてみたがやっぱりEMTは良いと思う。EMT927,EMT930とはもちろん異なるが共通点もある。内臓EQはS/Nも良好でこのプレーヤーに良く合っているような気がしてくる。クイックスタートも機能していて便利に使える。全体にコンパクトで(サスペンションも内蔵している)とても使い勝手が良い。

 EMT928はちょっと影の薄いEMTかと思っていたが当時の超高価格に見合った製品だったと思い知った次第。

 

 

 

 お読みいただきありがとうございました。

 

 後日談 1

  アームレストが届くまでの間にキャビネットを作りました。いつもの通りMDFと突板で。

 

 本体が裸の状態だったので既成のキャビネットを採寸して。ギリの大きさでこれ以上は小さくできない。

 

 既成品は裏面のゴム製インシュレーターがいい感じなのだが通常のゴム足にしています。その関係で本体との間に厚さ1cmのウレタンを入れたがあったほうが良いかは聴き比べて判断することにします。

 試聴の上外すことになりました。