6.「民」の名で一党独裁ねらう
「我が国社会の停滞を打破し、『民』主体の社会を実現するために公務員制度改革を行うべく、この条例を制定する」(職員基本条例案前文)
「『民』のために貢献しない職員まで、公務員という理由だけで、特権的な身分階級のごとく扱ってきた人事運用からは、決別する。これにより、大阪府において、真に『民』のための行政機関を実現する」(同前文)
職員基本条例では、この条例を制定する理由について、「我が国社会の停滞を打破し、『民』主体の社会を実現するために公務員制度改革をおこなう」と述べられています。ここでいう「民」とはなんでしょう。
それは、おおよそこのようなものだと考えられます。
―知事は、府民の選挙によって知事になった。だから知事の考えは、府民の民意である。また、「大阪維新の会」は統一地方選挙の結果、府民の多くの支持を得た。だから「大阪維新の会」の考えとやることが府民の民意である。「民」とは民意であり、民意とは、多数を得た首長と政治勢力のことである。―
この考え方は、「民」という名でもって、政治的多数勢力は何をやってもかまわないというものです。民主主義では、少数意見の尊重というのは、いわば常識です。多数勢力は何をやってもかまわないというのは、政治の世界でも通用しません。
ましてや教育においてもっとも大事にされなければならない真理・真実は、多数決では決まらないものです。だから、教育は、そもそも政治の世界でおこなわれる多数決には、なじまないものなのです。
結局この考え方は、多数の名において独裁政治をすすめようとするものです。独裁は民主主義とまったく相容れません。ましてや教育の世界に独裁は絶対に持ち込んではならないものです。