かえるネット木津川南

大阪市南西部で活動する日本共産党の青年後援会のブログです。

市長・府知事選挙→橋下「行革」の現場を行く9

2011-11-05 11:44:33 | 橋下&大阪維新の会
第9回 共産党府議団 住民目線ブレない

 小学5年の次男(10)が障害学級に通う佐藤幸さん(45)=大阪府高槻市=は今も憤りを隠せません。
 「同じ子育て中の親なのになぜ…」。橋下知事が就任後すぐ、小学1、2年生での35人学級の廃止を打ち出したからです。しかし、PTAなどの運動や日本共産党府議団(宮原たけし団長、10人)の論戦で廃止断念に追い込みました。佐藤さんは「いつも住民目線でぶれない党だ」と信頼を深めています。
 党府議団は、「財政再建」を口実に府民生活を犠牲にする橋下知事と対決してきました。暮らしの隅々にわたる住民の声や意見を議会でとりあげ、ひとり親や高齢者の福祉4医療費助成制度の維持、障害児が通う府立支援学校の新設を10年ぶりに決定させる(4校)など、府民の運動・世論と力を合わせ実現させてきました。府営水道料金の値下げ(昨年4月から)も長年の論戦の成果です。
 府内の完全失業率は全国最悪の7.7%(2010年7~9月)。続落する大阪経済の打開へ、党府議団は「府民の暮らしと地域経済の主役である中小企業を応接すべきだ」と追及し、昨年の2月議会では「中小企業振興基本条例」が全会一致で採択されました。なのに、知事は商工関連予算を削減し続けています。

ムダ切り込む

 府政に求める施策のベスト3は、「地域医療・救急医療の充実」、「高齢者・障害者・子育て支援の充実」、「雇用対策の拡充」-。大阪自治労連などが昨年4~8月に実施した住民アンケートの結果です。4172件もの回答を得ています。府民の切実な願いから、知事が大きく逆行しているのは明瞭です。
 共産党府議団は、府政のムダ遣いやゆがみを住民目線で厳しくチェックしてきました。需要が見込めない関西空港2期事業(府負担約1200億円)や、「りんくうタウン」事業(同約3000億円)など、不要不急の大型開発に反対してきたのは共産党だけです。
 議会が本来の役割を発揮し、府民に開かれた議会になるよう先頭に立ってきたのも共産党です。多額の税金を使うムダな海外視察には14年前から参加せずに中止させ、政務調査費の全面公開や議員報酬削減など、議会改革をリードしてきました。

ほとんど自民

 4月のいっせい地方選では、橋下知事が代表の「維新の会」が府議会、大阪市議会の過半数獲得を狙うため、メディアなどは「維新の会VS既成政党」と描こうとしています。しかし、維新の会の議員はほとんどが元自民党議員です。
 宮原府議団長は「府の解体路線を進める『維新の会』の中身は、開発優先で住民福祉を切り捨ててきた『オール与党』の自民、公明、民主各党と一緒。道州制というゴールも一致している」と指摘します。自公民は知事提案のほとんどに賛成しています。選挙戦の真の対決軸は、地方自治を破壊し、大企業利益第一の「古い政治」を推進する維新・自公民か、「住民が主人公」の「新しい政治」をめざす日本共産党かです。
 宮原団長は語ります。「府民要求を第1に橋下府政を押し返してきた共産党の姿と、知事や『オール与党』の危険な実態を府民に丹念に伝えたい」

市長・府知事選挙→橋下「行革」の現場を行く8

2011-11-05 11:39:09 | 橋下&大阪維新の会
第8回 トップダウン強化 やりがい失い職員退職

 橋下徹府知事を本部長としたわずか6人の「戦略本部会議」で府の基本方向が決定され、それをもとに15の部局ごとに年間の「部局長マニフェスト」を作成。マニフェストの達成状況は人事に反映されるため、部局長は課長に、課長はグループ長に、グループ長はグループ員に計画の進行管理を徹底する-。

府政を私物化

 橋下知事は、自らが代表を務める「大阪維新の会」による大阪府・市両議会の過半数議席獲得を狙うとともに、府庁でも強力なトップダウン体制を敷いています。大阪府職労の平井賢治委員長は、「職員は府民のためではなく知事が求める仕事をせざるを得ない。給与も大幅にカットされるなか、やりがいを失って中途退職する職員も多い」と語ります。
 平井委員長はさらに、自分の息のかかった人物で幹部を固める「府の橋下カンパニー化」を指摘します。副知事には元関西電力役員の木村慎作氏、特別顧問には外資系コンサルタント会社マッキンゼー出身の上山信一慶応大学教授を起用。商工労働部長など重要ポストにも次々と民間人を任用し、2010年度に任用された改革評価委員、特別参与も7人中4人がマッキンゼー出身でした(上山氏除く)。
 財政再建を理由に人件費を毎年500億円ずつカットしてきた影響も深刻です。国家公務員の給与を100とした場合の府の給与は92.7(全都道府県平均98.3)と全国2番目の低さです(10年4月1日現在)。役職に就かないと給与は35万円で頭打ちになるため、3人の子どもを持つ40代の男性職員は「妻は病気で働けない。生活に見合った給与を保障してほしい」と不安を口にします。
 大阪府の行政職員(大卒程度)の受験者数も、10年度は05年度の4分の1まで低下(倍率は29.2から19.5に低下)。担当職員は「知事の府廃止発言や給与引き下げの影響も否定できないのでは」といいます。

生理を病休に

 人件費の抑制とあわせて民間委託や施設の統廃合も進められています。保健所は7年前の29から14に半減。守口保健所に勤める府職労保健所支部の樋口和弘支部長は、「住民の使い勝手が悪くなり、大阪の公衆衛生を維持するという点でも問題が大きい」と懸念します。09年には、公衆衛生の医師45人のうち11人が橋下「行革」に対する不満などもあって退職しました。
 府は、同年12月には生理休暇や流産休暇を廃止し、病休扱いにする特別休暇の改悪を提案しました。
 府の職場を訪ねると職員からはせきを切ったように怒りの声があふれてきます。
 50代の女性職員は、知事を批判した職員を「気に入らないなら職をかえろ」「処分する」などと恫喝する橋下知事の姿に「独裁政治はこうしてつくられるのかと感じた。公務員は国民全体の奉仕者のはずだが、知事は職員の精神を縛って自らの意に従順な職員をつくろうとしている」と批判。30代前半の女性職員は「府民のために懸命に働いても、府のトップが府民に公務員バッシングをあおる。どう志を持てばいいのか。定年まで勤める自信がない」と語ります。

市長・府知事選挙→橋下「行革」の現場に行く

2011-11-05 11:37:12 | 橋下&大阪維新の会
第7回 大阪都構想(下) 市町村には負担のみ

 昨年暮れの府議会で日本共産党の宮原威府議団長は、「大阪都構想」の行く末を暗示する調査を示し、府政の転換を迫りました。
 一つは、大阪市が大阪湾岸開発の目玉として約1200億円かけて建設したワールドトレードセンター(WTC)の入居状況です。
 橋下徹府知事は昨年、府庁をWTCに移せば湾岸開発が進むと、赤字に苦しむWTCを117億円で購入しましたが、2009年12月に43軒あった入居テナントは、購入後の10年12月には32軒まで減少。府庁移転を歓迎していた関西経済3団体も、事務所をWTCに移転してほしいとの大阪市と府の要講を拒否する始末です。

失政は明らか
大阪経済の07年度と09年度の比較
完全失業率 大阪 6.6%(1.3ポイント増)
全国 5.1%(1.2ポイント増)
企業倒産 大阪 130件増(6.0%増)
全国 366件増(2.5%増)
雇用者報酬 大阪 1,040億円減(5.3%減)
全国 8,039億円減(0.3%減)
※雇用者報酬は07年度と08年度の比較。
日本共産党府議団調べ

 府庁移転と一体で進められている、現府庁跡地など大阪城周辺に企業を誘致する市街地の再開発計画も、昨年8~11月に実施した市場調査で「積極的に検討」と回答したのは94の大学・専門学校法人、医療関係企業のうち1社のみ。地価も下落し続けています。
 宮原団長は、橋下知事就任前の07年と就任2年目の09年を比較した経済指標が、いずれも全国平均を上回る規模で悪化していることを示し「開発行政という点でも、経済の活性化という点でも橋下知事の失政は明らかだ」と力説します。(表)
 橋下知事は、「大阪都構想」について、大阪市と周辺自治体を大阪都と特別区に再編するということ以外、詳しい内容はほとんど明らかにしていません。
 関西大学の鶴田廣巳教授(大阪自治体問題研究所理事長)は、「大阪都構想」の狙いは、大阪市が持っている開発の権限・財源を大阪都に吸い上げ、開発をより効率的に進めることにあると指摘。市町村は権限も財源も奪われ、負担だけ押し付けられると語ります。
 「大阪都」のモデルとされている東京23区は、本来市町村の税財源である固定資産税や市町村民税法人分の徴税権がなく、都がいったん集めた上で税収の55%を区に交付しています(都区財政調整)。大阪にあてはめると大阪市の税収の3割以上が「都」に吸い上げられる計算です。
 鶴田教授は「都区財政調整は豊かな財政力を持つ東京だからこそ成り立つ制度で、毎年3000億円近い地方交付税を受け取っている大阪に持ち込めば、特別区は財源を奪われ、住民施策に深刻な問題を引き起こす」と語ります。

狙いは関西州

 橋下知事はまた、市町村への大幅な権限移譲や、府内市町村すべてを人口30万人以上の中核市にすることを掲げています。
 鶴田教授は、財源が伴わない権限移譲は府民施策の縮小・廃止を招くだけで、市町村の中核市化も現在の41市町村(政令市除く)を3分の1に強制合併しないとできないため、住民生活の破壊は避けられないと指摘。「橋下知事は分権改革だというが、分権の名による集権だ。その先にあるのは関西州だ」と批判します。


市長・府知事選挙→橋下「行革」の現場を行く6

2011-11-05 11:34:48 | 橋下&大阪維新の会
第6回 大阪都構想(上)  破たん大型開発に執着

 関西国際空港の隣駅、りんくうタウンに降り立つと、そびえ立つ超高層ビルの向こうに一面のすすき野が広がっていました。
 総事業費は、府の事業として実施した公団道路用地の取得。整備などと合わせて約7000億円。「税金を使わず『現代の宝島』を造る」と宣伝された副都心事業ですが、この失敗による府民負担は2800億円を超えます。659億円かけたゲートタワービル(高さ256メートル)も完成から8年で破たんし45億円で売却。一方、起債を引き受けた銀行の利息収入は1700億円以上です。

借金は5.2兆円

 「府財政がこれほど悪化したのは、大阪経済の地盤沈下などによる税収減、国の『三位一体改革』による負担増とともに、1990年代の公共事業乱発と大型開発の連続失敗が大きい」。財政学が専門の大阪教育大学の高山新教授は、5.2兆円に上る府の借金の背景をこう指摘します。
 ところが、府が昨年発表した「大阪の成長戦略」は、規制緩和や法人税減税(最大「ゼロ」)など直接の大企業支援策とともに、関空と阪神港の国際拠点化や高速道路整備といった企業活動のための都市基盤整備を列挙。「成長戦略」は「大阪都構想」と一体のものです。
 障害者への補助金削減をはじめ、「財政再建」を口実に府民施策を次々と切り捨ててきた橋下府政。一方、財政悪化を招いた元凶である大型開発への執着は際立っています。
 高山教授は、「橋下知事の『行革』は財政再建の名を借りた大型開発の財源づくり。仮に景気がよくなっても一度切られた府民施策が復活することはない」と強調します。
 減税などを使った企業誘致についても、高山教授は、府が224億円かけて誘致したシャープ堺工場が、雇用の創出にも地域経済の活性化にもつながらなかったことをあげ、「府民にとってのメリットは恐らくないだろう」といいます。
 経済は成長するのか。橋下知事は昨年末の街頭演説で、「大阪都構想」が実現した暁にはリニア建設の前倒しや市街地再開発を実現し、「大阪を世界で5本の指に入る都市にする。企業にもうけてもらい、上がった税収でくらしをサポートする」と訴えました。

あり得ない話

 奈良女子大学の中山徹教授(都市計画)は、大阪の都市基盤整備はすでに過剰で、橋下知事のような「大都市主義」が通用する時代ではないと語ります。
 「大都市に集中的に資本を投下して大手企業を呼び込めば、周辺部にも恩恵が広がっていくというのは、日本で人口の減少が避けられないことを考えればあり得ない話だ」
 実際、滑走路1本で16万回の発着能力があるにもかかわらず2本目の滑走路を造った関空では、2本目の完成前年(06年度)に11万7000回だった発着回数が、完成から3年後の09年度には10万9000回に落ち込みました。2期工事の総工費は1.1兆円。府はそのうち約1200億円を負担しています。
 中山教授は、「高齢化や少子化を見据えれば、福祉、教育、医療の予算をしっかり確保し、その雇用を通じて個人消費を上げていくという戦略こそ必要だ。限られた財源を従来型の開発に投入し続ければ、最悪の結果をもたらしかねない」と憂慮します。


市長・府知事選挙→橋下「行革」の現場を行く5

2011-11-05 11:31:21 | 橋下&大阪維新の会
第5回 国保広域化 1円滞納で差し押さえ

 大阪市西区でねじ加工の鉄工所を営む吉田明美さん(44)=仮名=の家(港区)に、市から国民健康保険料滞納の「差押の予告」が届いたのは昨年12月7日のことでした。4年前にさかのぼった請求額は約48万円。書面には15日までに納付しなければ財産を差し押さえると書かれていました。
 吉田さんの国保料は年間約35万円。不況で売り上げが激減するなかでも、区役所に相談し毎月分納してきました。ところが、差し押さえの相談で吉田さんが区役所を訪ねると、担当職員は分納ではなく、期日までに全額払うよう要求。再度相談に訪れた際も答えは変わりませんでした。

金借りて払え

 「『死ねっていうことか』と聞くと、職員は『借りてきてでも払えということだ』と」。口座の差し押さえは信用に関わるため、吉田さんは親せきや友人から借金して納付せざるを得ませんでした。
 吉田さんは、市の信用保証協会を通じて運転資金100万円を借りたばかりでした。
 「同じように差し押さえの問題で区役所に来ていた人が『あなたも借りたの』って。通帳にはそのお金しか入ってなかったし、それ以外に財産は何もない。ここを狙ったとしか思えない」と憤ります。
 大阪市はいま、国保料の徴収強化を宣言し、滞納の差し押さえを大規模に展開。学資保険や自宅マンションまで差し押さえています。滞納が1円でもあれば国保証を取り上げて短期証を発行し、その短期証も自分から取りにくるまで窓口に留め置くため、大量の無保険者が発生。短期証を取りにきた人には、滞納の時効切れ(2年)を防ぐための「未納額承認書」に署名させる徹底ぶりです。
 民主党政権が、市町村国保の都道府県単位への広域化を打ち出すなか、橋下府政はそれを先取りしようとしています。大阪社会保障推進協議会の寺内順子事務局長は、大阪市の厳しい取り立ては、府の広域化政策と連動しているといいます。

自治体も脅す

 府が昨年作成した「国保広域化等支援方針」は、府下市町村に対し滞納者の速やかな財産調査と処分、時効切れ対策の実施を求めています。収納率の低い市町村には府の財政調整交付金を減額すると脅しています。
 保険料や減免制度の統一に向け、市町村の一般会計から国保への繰り入れをやめさせることも狙っています。昨年7月の市町村長との協議で橋下知事は「繰り入れをやめれば保険料が上がる。それで耐えられるか」と提起し、首長からは「値上げもやむを得ない」「減免制度も統一すべきだ」との発言が相次ぎました。仮に府全体で年間300億円の繰入金と800億円に上る累積赤字をすべて保険料に転嫁すれば、平均1世帯約7万円超の値上げになります。
 寺内さんは、大阪の国保財政が悪化した背景には、国保の負担割合を減らしてきた国の責任とともに、国保加入世帯の約8割が所得200万円以下という深刻な貧困の実態があると指摘。「広域化ではこうした問題は解決しない。収納率向上や財政安定化だけで広域化を進めれば、大阪市の強引な取り立てが府下全域に広がりかねない」と語ります。