
上野の西洋美術館で開催中の「松方コレクション展」は、今月の23日までです。
私は8月28日に行ってまいりました。
この企画展のドラマチックさは群を抜いていて、ひたひたと胸に迫るものを感じしみじみと感動します。
もちろん絵画の素晴しさにもですが、これらの作品を集めた松方氏、またそれに携わった人、そして彼らと接した方たちの熱い想いと、絵画そのものの運命に心が揺れるのです。
それなのに、私はこの企画展を見逃すところでした。一年の初めに、一応一年のやりたい事行きたいところなどの目安を、出来る範囲でですが決めるのですが、その時、西洋美術館のチラシやHPをチェックして、「今年、行くならこれだな。」と、確かに思ったのです。
しかし、よくチラシなどを読む事もなく、それをどこかの財閥のコレクション自慢かと思い込んでしまったのです。いや、そうは言っても個人のコレクションって意外と良い作品が揃っているのですよね。
それで「行くならこれかな。」と思ったのです。
ところがです。私、西洋美術館では以前からやりたい事があって、それは「常設展をしみじみと見る」と言う事だったのですよ。西洋美術館の常設展の展示絵画は、本当に素晴らしいのですよ。だからその企画展を候補から外したのです。
「えっー !?」ってな話でしょ。
「何言ってるのか、分からない。」ってな話でしょ。
つまり、私は本当に、松方氏を知らなかったし、西洋美術館がどのように誕生してきたのかもまったく知らなかったのです。
近頃ワタクシ「無知の知」を晒していますが、しかも堂々と、それはちょっと大事な事だと思っているのです。
知ったかぶりする大人になるよりは、「知らない」をはっきり言える大人になろうって、昔サム(北山修氏)が言ってませんでしたかしら。
知らない事ゆえに、知った時の感動も大きく、そしてこの企画展もその公式に当てはまるものでした。
ただ私、ちょっとだけ自分を褒めたいと思いました。常設展の展示会がは素晴らしく、それを今しみじみと見ようと思っていたなど、そよそよと吹く「今」と言う風を、ちゃんと感じていたのでしたね。
ところが私、後半の予定の軌道修正の時に、今年は忙しいから来年に回そうなどと想い始めていたのですよ!
私の中で稼働していた「今探知機」が止まってしまったと言うのでしょうか。
いいえ違いました。
その時、ブログで親しくさせていただいている方の記事を読んで、とんでもない間違いをしていることに気が付いたのでした。
そしてその方のブログ記事を読んだ直後に、eテレの「日曜美術館」で特集があることが分かって見逃がさずに見る事が出来ました。(『松方コレクション百年の旅路』)
それを見て本当に感動しました。その方が記事を書いてくださったから、私の「今探知機」が再び動き出したのですね。(本当にありがとうございます♪)
神戸の川崎造船所を率いた松方幸次郎氏の熱き想いを根底に集められたコレクションは、買い戻した浮世絵8000点も含めて約一万点にも及びました。彼の熱き想いとは、私たちに「最高の絵を見せてやりたい。」「西洋の文化に触れる機会を与えて西洋を知らせたい。」と言う想い。
その想いは、モネの心も動かします。
彼の夢見た「共楽美術館」は、1927年の昭和金融恐慌また第二次世界大戦などでコレクションの絵画たちは散逸し実現はしませんでしたが、その流転した絵画たちの運命は、戦後1959年に西洋美術館を誕生させ、ようやくその安住の地を得たのでした。
想い描いていた夢とは違っていても、人々は彼の想いを感謝と共に忘れないし、その波乱に満ちた絵画たちの歴史も含めて、この先もそれらの作品を愛し続けるのではないかと思います。
(ただ私、松方氏は1950年に亡くなっているので、なんだかちょっとだけ胸が痛く目頭が熱くなるのです。)
美術展の最初に映像コーナーがあるのですが、そこはお勧めします。絵画を見る目が、そこを知っているか否かで違うと思います。
この企画展の見どころは、HPでチェックされると良いかと思います。展覧会構成も要チェックです。
→ここです
トップ画像は、修復中のモネの睡蓮をデジタル修復して見せてくれたものです。これはラストに修復中の作品が展示されていますが、きっと皆さんの胸を貫く何かを感じるのではないかと思います。
(松方氏が買った作品でもあるにもかかわらず←これ、ちょっぴりの私の本音)、フランスの国内に留め置かれた作品が帰ってきています。
その中にゴッホの「アルルの寝室」があるのですが、ブルーの壁のグラデーションが美しく、また細部にわたって丁寧に書かれたその作品は見れば見るほど好きだなと感じる事が出来ました。
ちょっと精神に直撃してくるようなゴッホの作品は、私にとっては苦手な絵画のラスボスだと以前書いたことがあるのですが、この絵には寧ろ心を落ち着かせるような安らぎを感じたのでした。
それでも私は、この絵を松方氏に「ゴッホの最高傑作だから買って欲しい。」と勧めた画商の方の、絵画初級の者にも「なるほど」と分かるような、手に取るような解説を聞いてみたいような欲求に駆られました。
「ここがね」「あそこがね」と言うような解説。
野暮ですか? (^_^;)
どちらにしても、そのような解説は無いわけですが。
ブログのお友達のブログ記事は→こちらです
昔から大好き。ロダンの地獄門。
トップ画像の解説は
おまけです。
その後は、
蓮を見ながら、向こうに見える「東天紅」に移動してランチ。
その後は地元に戻って、ずっと気になっていたケーキ屋さんに行ってみました。
一駅歩いての移動だったので
16090歩、歩きました。
まっ、このぐらい良いよね(^_^;)
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