森の中の一本の木

想いを過去に飛ばしながら、今を見つめて明日を探しています。とりあえず今日はスマイル
  

岸辺の唄

2022-08-20 23:38:03 | 漫画・マンガ・まんが

だいたい今頃の季節になると、「今年の『百鬼夜行抄』はいつ頃でるのだろう。」などと思うのです。

調べてみたら、昨年とその前の年は10月に出ているので、ちょっと期待したいと思いますが、来年の3月以降ではないかと予想をしているサイトもあったので、分からない事です。

いつもはイイコにして待っているわけですが(笑)、ふとコミックも置いてある図書館に今市子さんの作品はあるのだろうかと思ったのです。なんと「百鬼夜行抄」は置いてなかったのです。

ちょっと驚き。

じゃあ、何があったのかと言うと、それがタイトルの「岸辺の唄」です。

 

 

何とはなしに期待せずに読んでみました。

ところがこの作品は、その「期待せず」の期待を裏切って、かなり面白かったです。

『「あとふた月もすれば、人は全て息絶えるでしょう」水のない町に下された哀しい予言。皆を救うには水乞いの儀式を行わなければならない…。こうしてエンとスリジャの旅がはじまった。今、はるかな翠湖を目指して――。』←アマゾンのサイトから

短編で綴られていますが、それぞれに繋がっていて、大きな叙事詩を紡いでいるのは「百鬼夜行抄」と一緒ですね。

人と鬼人が共存する世界で、人は時に鬼人に騙され襲われ喰われたりもします。

エンは鬼人の子。優しい人と触れ合って育ったエンは、強い力を持ったカッコいい男なのです。

オリエンタルファンタジー・・・・・。

ほらねっ。如何にも私好みって感じでしょう。

 

水乞いの儀式がどのように行われて、そしてどのように人々に水をもたらすのかと言うのも見ものかも知れません。

 

これは上にリンクした1冊のみを読んだのですが、それでもお話として完結していると感じました。

ところが後で調べてみたら、単行本だと6冊あるのですね。

面白かったので、今市子さんの「百鬼夜行抄」以外の作品を読んでみようかなと思っている所です。

 

 

文庫版だと4冊。こちらだと新品でも買えます。

 

 

・・・


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「平家物語 犬王の巻」

2022-08-20 13:39:29 | ユーモレスクを聴きながら(book)

8月10日読了。

アニメ映画「犬王」を見て、原作も読もうと思いました。

能楽師犬王と、盲目の琵琶法師友魚の物語を、作者が軽妙な語りで綴ります。

父の芸に対する野望より、魔物たちによって体がメチャクチャな配置で醜さの塊で生まれた犬王。舞う事で体にまとわりついた怨霊たちを鎮め、美しき肉体を取り戻していくのです。また三種の神器の剣を海底から引き揚げることによって、その呪いで失明してしまった琵琶法師の生き様と友情の物語。(このあらすじの部分、追記しました。)

原作も、思った通りの面白さでした。

 

ただこれを、私は映画を見る前に読んでみたかったなと、時は戻せるわけもないので意味のない事なのに思ってしまったのでした。

ただ文が綴る世界のみで一度は味わいたかったなと思ったからです。

私は私の世界でどんな「犬王」を作り上げたのでしょうか。

たぶんもっと地味。(笑)

ただラストの犬王の素顔だけは、少女漫画で培ってきた美しさだけで飯が食えると言うほどの「美」の顔を脳内に作り上げる事が出来たかもしれません。「醜」が取り去られると、そこには究極の「美」が残ると言うような。

だけどもしも文だけで、この世界を脳内に作り上げたとするとと思ってみると、更にアニメの「犬王」の世界が素晴らしい発想で出来上がっていたのかを再確認する事が出来たのです。やはりその世界を先に味わったので、読むスピードも速かったのだと思いました。

しかしあれは物語の更に上を行く物語。

ほんのちょっとだけアニメの「犬王」の感想の続きです。

もちろんこれはファンタジー。リアル世界の物語ではないのですが、リアルな部分の表現が、「まあ、これはアニメだから好きにやってもいいんじゃないの。」的な見方で観ていた部分はあったのです。犬王の能の舞台では、みんなに「歌え!」と誘ったりする斬新さなどは、素敵な演出だと思いました。とんでもない発想で舞台を作り上げていて、時代を超越していて、これを見ていたその時代の人々の度肝を抜いたのではないかと楽しく感じたのでした。原作の方でも、犬王の舞台の解説は丁寧に書かれていました。

「まあ、これは自由にやっていいのでは・・・」的に見ていたのは、その時代は「友一」だった琵琶法師の、ロック歌手的な演奏時の演出。

とっても素敵なんです。どなたかも言っていましたが、ふと、クィーンなんかを連想してしまったり・・・・・。

だけどよく

「彼が出てくるのは100年早かった。」のような言葉ってあるじゃないですか。

芸術の世界でも、人々がその「美」を認めていくのには、順番って言うものがあるような気がするんですね。

胸が肌蹴、太もも丸だし、欄干の上でそれをやっても、その時代の現実の世界では、女性たちは逃げてしまったと思います。

映画には見せる楽しさがありました。

ただ原作には、奇妙なダークファンタジーであっても、もう少し静かな世界が広がっていたような気もしたのです。

いずれも素敵です。

私はこういう世界観が好きなのです。

アニメの「平家物語」の原作も、この作者で、あの壇ノ浦で優勢だった平家の情勢を変えていってしまったのはイルカの群れで摩訶不思議な光景でした。そして、この「犬王」でも実はイルカを指す「鯨」と「腕塚」はとっても印象深かったです。

 

そしてまた、これは常々思っていたのですが、「平家物語」ってその冒頭自体が素晴らしすぎるくらい素晴らしいじゃないですか。これ、琵琶法師の伝承って、どうやって統一化してたのかって。その答えがこの物語にありましたね。

「ああ、そうか、こんな方法で」と思えただけでも、この本を読みアニメを見た意味が私にはありました。

でもいつの時代でも、権力の芸術干渉は悲劇を伴うものですね。

 

(下の二行はネタバレしています。)

 

犬王は、もう二度と自分の平家物語を演じず、取り戻した人生を手放しはしませんでした。

だけど(この時代は)友有は自分の芸を手放さず命を失いました。しかしその時、本当の自分の名前「友魚」を名乗り、人生を取り戻したのでした。

映画の感想は→「犬王」を観てきました。

アニメの「平家物語」の記事は→お勧め☆アニメ「平家物語」

 

 

オリジナルサントラを買う予定でしたが、吉田拓郎氏のCDやLPを買ったり、「日経エンタテイメント」を買ったり、ゲームの課金したり、鰻を食べに行ったりで、お仕事もしていないので、お小遣いがまずい状態に・・・・でもいつか欲しいサントラです。

 

 


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