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森の中の一本の木

想いを過去に飛ばしながら、今を見つめて明日を探しています。とりあえず今日はスマイル
  

彼女は強いが、私はヨロヨロ その2

2020-12-26 01:25:14 | 梢は歌う(日記)

・「彼女は強いが、私はヨロヨロ」の続きです。

今時の医学は凄いなと、日ごろから常々思っています。スノウさんの脳の手術は、前頭葉に触れなかったからだと、彼女は言いましたが、手術の翌日、病室から(個室)電話がかかってきました。そんな大きな手術をしたと言うのに、もう翌日にハキハキと電話がかけられることに私は驚きました。

だけどその内容は、かなり厳しいものでした。

取り残してしまった腫瘍は放射線をかけて対処するというものでした。ただ放射線治療は補助的治療であると覚悟してくださいと、医師に言われたらしいのです。

「もうそんなには長くは生きられないのだと思う。」と、電話の向こうでスノウさんは泣きました。私も電話のこちらで泣きました。

なんでこんな時に、傍にいてあげる事が出来ないんだろうと私は悲しく思い、更に涙が零れました。

「あのさ、この時間に私しか電話に出られなかったのは、はっきり言ってまずかったと思うわ。だって、姉妹の中で私が一番泣き虫なのよ。」

「うん、知ってる。」とスノウさん。

二人で、うううと泣きあった後、そのまま「じゃあね。」と電話を切るわけにはいきません。

あれやこれやと、役にも立ちそうもない戯言を言ったように思います。

もうこれからは泣きたい時には泣いて、弱音を吐きたい時には我慢せずにはこう。受け止めるからなんてことも言ったかな。

または人の命の長さなんか分からない事で、案外シブトク生きるかもしれないじゃないとかも言ったかな・・・・・。

もうコロナなんか関係ないから。行きたい所があったら、迎えに行ってあげるからどこにでも連れて行くからとかも言ったかな。

「あっ、それはコロナがもうちょっと終息してからで良いです。うっかりかかったら、助からないですから私。」とスノウさん。

なんだ、冷静じゃん。

 

だけど最後はいつも、私の妄想トークです。

「昨日ね、(スノウさんの)娘ちゃんからメールが入っていて、かなり奥まで行けたんだけれど、心臓が止まりそうになったので、そこまでになったみたいな事が書いてあったのだけれどね、その時私、エイヤ―って奥までやっちゃって、その時あれがさツーーーとかなっちゃうんだけど、『××さーん、戻ってこーい!!』と、心臓マッサージとかガンガンして、・・・」

「ヤーね、戻って来なかったらどうするのよ。」

「ううん、その時また再びピっピっって動き出すのよ。そうしたらすべてokだったのに。」

「ちょっと、お姉ちゃん、医療ドラマの見過ぎじゃん。」

「えっ、やっぱ ?」

 

そんな話をして、電話を切りました。

止まってしまった心臓は、そうは簡単には動き出さないー。

あともう少しと分かっていても、そこには手が届かなかった・・・・・

そんな現実・・・。

 

その翌日、私は友人とランチ。

なんだか今の心境を聞いて貰ったりして、やれたらやろうと言っていた姉妹ライン集会の時間を忘れてしまいました。

電話に出られなくても、いつもなら即既読になるのに、ならなかったので、逆に姉妹たちに心配されてしまいました。

その時、スノウさんは姉の蝶子さんや名都さんに明るい声で言ったそうです。

「一晩泣いたら、吹っ切れた。まだほかの検査もあるし、分からない事もあるから、まだあきらめる事もないかも知れないじゃない。放射線も抗がん剤もどれだけのものか、まだ分からないわけだし。」

そして

「昨日は花ちゃんに心配かけて悪い事をしたわ。謝っといてね。」とも。

 

なんて強い妹なのでしょう。

いいえ、強がってるだけかもしれません。

だけど星子さんも言いました。

「そうやって、自分を鼓舞して励ましていかないとやっていけないよね。」と。

私もそう思いました。

それでもそんなくじけずに踏ん張っている妹を、偉いなと私は思いました。

 

だけど私はヨロヨロです、心が。

 

 

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