ドラマを見ながら、私は思わず考えてしまいました。
ドラマを見る前日の金曜日に私が子供たちと話した事は、さながらドラマの事を先取りしての会話のように感じたのでした。
たまたま偶然。でも彼らとの会話があったからこそ、このドラマの更なる奥に踏み込んで行けたようにも思いました。
その記事は→「軽いけれど重い」です。
HPの演出の石塚さんの言葉に
>精神科医の斎藤環さんから「人薬(ひとぐすり)」という言葉を教わった。心に負った傷は、人とのかかわりの中で、愛で癒すのだ、と。
ラブストーリイを作ろう、そのとき腹を決めた。
「心に負った傷は、人とのかかわりの中で、愛で癒す」
それこそが海底から浮かび上がることが出来ないでいる人たちへのメッセージなのかも知れません。
でも正直な心の想いを吐いてしまうと、その人薬が手に入らないからこそ、皆海の底でもがき苦しんでいるのではないでしょうか。
ただ海の底から普通に戻りたくて光に煌めく海面を眺めているあなたに、私は言いたいー。
必ずその人薬は手に入ります。必ず分かってくれる人がいます。
普通に戻りたいー。
戻れますよ。
本当です。
ドラマの中で医師が言っていた通り時間はかかるかもしれません。でも立ち直っていけますよ。
私は、そういう人を知っているのです。
ドラマの感想ー。
いじめ後遺症で苦しむ前原茂雄。藤原竜也の存在感がこのドラマを重厚なものに仕上げたと思いました。
今も海底で息が出来ぬまま苦しむ茂ちゃんに、テレビ前で皆応援してしまったのではないでしょうか。
いじめられた側は生活を崩壊させてしまっているのに、いじめた側はなんでか弁護士や医者になっている。なんだか嫌な感じです。
いじめのリーダー格だった立花がいじめを認めたシーンなどで、その後弁護士事務所から解雇されたり、同僚からいじめに合うと言うシーンがまったくなかったことが残念でした。
でもこれは復讐劇ではないのですよね。
茂ちゃんの再生の物語だったわけで、「私のために生きて」と言った真帆の為に生き抜いていこうと歩き出したところで終わったのは良かったです。
だけどまたここでもスっごく正直な事を言っちゃいますね。
今の世の中、過去のトラウマで苦しんでいない普通に暮らしている青年男女、何でかあぶれている人がいっぱいです(私の周りには。)あぶれているんだから、トランプのカードのように組み合わせてみたいけれど、そうはいかないのが男女の中だと思うんですよね。
そんな世の中で茂ちゃん、真帆ちゃんGETでラッキー・・・って・・・
世の中の人が、すこぶる真面目に見ていらしたと思うのに、私、本当にちょっと思っちゃった(^_^;)
それからもう一か所、くだらない感想が・
同窓会で茂雄が入って行った時、「誰?」みたいな空気が流れたけれど、こういってはまったくの失礼な発言に他ならないのだけれど、凡庸な容色のメンツの中に、彼のようなハンサムな人が登場したら、少なくても女子は「まあ、だあれ?」みたいな感覚になるんじゃないのかって。
まあ、そのような低レベル感想はさておいてですが、しかしこの物語、大人の気配のあまりないお話でした。
もちろん登場人物は真帆の弟以外は皆大人ですが、彼らが少年だった時に大人だった人が、父と通りすがったような立花の上司と、昔の雇い主ぐらい。
その頃の教師の姿もなければ、一番の防波堤になってくれるだろう母親は、真っ先に逃げ出していると言う設定です。
この保護者であるべき大人のいない世界は、まさに茂雄の世界観なのだと思い悲しくなりました。
いろいろな事を考えさせられる良いドラマだったと思います。
そのドラマの重さにちょっと疲れてしまい、夜の転寝タイムを持ってしまいました。
その時に一瞬だけ見た夢に、鶴瓶さんのような学校の先生が出てきました。
「先生な、アンパン買い過ぎてしまったんや。先生をデブゥにしたくなかったら、これ一緒に食うて。たのむわ~。」と、茂雄と一緒に笑い合っていました。
手を差し伸べていけるのは、家族と縁した大人たちだけ。
でもいじめは子供たちの専売と言うわけではなく、大人の世界にもあるのですよね。
ネットの世界にも。
自分がいじめる側になっていないか、心の内に聞いてみると言う時々のセルフチェックは必要な事かもしれませんね。