to Heart

~その時がくるまでのひとりごと

死ぬまでにしたい10のこと

2007-04-30 23:32:20 | the cinema (サ行)
人生の終わりがわかったら、人はそれまで何をする?

23歳のアン(サラ・ポーリー)は、失業中の夫、ドン(スコット・スピードマン)と、2人の娘とトレーラー暮らし。
彼女の毎日は、清掃の仕事と娘たちの世話で過ぎていく。ある日、突然の腹痛で病院に運ばれたアンは、ガンを宣告され余命2、3ヶ月だと告げられた。頭が真っ白になった後、ぼんやりしたアンの頬に涙がつたう。
トレーラーに戻ると、1年がかりの工事の仕事が決まったドンが喜んでいる。
アンは、病気のことを内緒にしたまま、夜更けのカフェで「10の死ぬまでにしたいこと」をノートに書き始めた…。

深夜のコーヒーショップで、自分の23年を振り返るアン。
17歳で、ファースト・キスの相手(ドン)と出来ちゃった結婚。
19歳で2人の母親になり実家の裏庭でトレーラー暮らし。
父親はもう10年も刑務所にいる。
・・あっという間の回顧。
そして次に、死ぬまでにしたいリストを書き始める。
―娘たちに毎日愛してると言う
―爪とヘアスタイルを変える
―好きなだけお酒とタバコを楽しむ
―夫以外の男とつきあってみる
―誰かが私と恋に落ちるよう誘惑する
―家族でビーチに行く
―娘たちの気に入る新しいママをみつける
―刑務所にいるパパに会いに行く

とにかく彼女には時間が無かった。そして貧しかった。なにより、まだ23だった!
女が一番恐れる事、それは自分の死よりも、幼い子供を残して逝くことではないだろうか?
そして愛する人にその重さを背負わせる事ではないか。

でも、彼女は若かった。自分の人生を振り返って、幸せだとも思った。
―だけど、、その日が来るまでに、まだしてないこと―夫以外の男と付き合ってみる。
これは解からなくもない。いや、
相手がコインランドリーで声をかけてきた男、リー(マーク・ラファロ)というのが解からないが・・。

彼女にはゆっくり選んでいる時間などなかったのだから、簡単にやれることから直ぐに取り掛かっていく。
爪・髪・酒・タバコ・男・・・
そして―娘たちが18歳になるまで毎年贈る誕生日のメッセージ―止めた車の中で、ただひたすら録音する姿には胸が痛くなる

そんな中でもやはり、必死なアンの前に現れる、隣に越して来たアン(レオノール・ワトリング)の存在に救われる
アンは最後に唯一つできなかった、「家族でビーチに行く」ことを託せる相手を得た・

誰にも真実を明かさず逝くしかなかったアンを思うと可哀想でならない。
その2ヶ月余りを普通の人の何倍も充実させるため、立ち止まらず、悟られず・・

あまりに淡々と進んでいくので、時間の経過とか、病気の進行具合とかがわかりにくかったけど
残酷な運命にもめげず、愛する人を護りぬく女性の姿に、いろいろと考えさせられた作品でした。
女ってスゴイ母親ってすごい