to Heart

~その時がくるまでのひとりごと

ネバーランド

2007-04-16 15:56:06 | the cinema (ナ行)
原題:Finding Neverland
2004年アメリカ・イギリス合作
監督:マーク・フォスター
脚本:デイビッド・マギー
出演:ジョニー・デップ/ケイト・ウィンスレット/フレディ・ハイモア/ジュリー・クリスティ/ダスティン・ホフマン

ピーター、そこは夢がかなう場所なんだ。信じれば、必ずいける。

1903年のロンドン。ジェームズ・バリ(ジョニー・デップ)は、散歩に向かった公園で若い未亡人のシルヴィア(ケイト・ウィンスレット)とその4人の幼い兄弟と出会う。
少年たちとすぐに打ち解けていくジェームズは、中でもどこか冷めた物言いで少年らしさの見られない三男のピーター(フレディ・ハイモア)を気に掛けるようになる。
ジェームズとシルヴィア親子との交友が深まっていく一方、ジェームズの妻メアリー(ラダ・ミッチェル)は疎外感を強め、夫婦の仲は悪化していく。そんな中、早く大人になろうと無理をしているピーターに、自分の少年時代を重ねて見るようになったジェームズは、その思いを新作劇に投影していく。

ジェームズ自身幼い時に兄を亡くし、悲しむ母親を慰めようと生前の兄のまねをしたり、兄の服を着たりしていた事から
夫を亡くした母親の為に、急いで大人になろうと心を痛めているピーターを理解できたのだ。

何気ない散歩中の出会いが運命を変えていく。

ジェームズは、子供たちとの遊びによって空想の世界が新作に投影され、やがて絶賛される初舞台の日を迎える。
愛情の冷めた家庭に取り残された妻は孤独から浮気をしてしまう。
彼女の「ネバーランドに連れて行ってくれると思ってた」の言葉が憐れだった
シルヴィアは母親の干渉にも屈せず、子供たちを自由に愛情を持って育て、ジェームズとの心の絆を深めていき、やがて訪れる悲しい事態にその出会いが大きな意味を持つ。。

モデルになったピーター少年は、実はピーター・パンとは正反対の性格だった、というお話。現実に傷つき、子供らしい想像力を捨てざるを得なかったピーターに、だからこそ、バリは彼にこのファンタジーを贈ったのだろう。

孤独で紳士的なジェームズが、子供相手だと真剣にフック船長にもなる―実際の彼は華奢で小柄な方だったと言うが、相変わらずジョニーははまっている。
もの静かで茶目っ気もある英国紳士を難なく好演。
「チャーリーとチョコレート工場」より先の撮影だったわけで、フレディ少年とはこれが初共演な訳だけど息もぴったり。優しい語りかけに深い愛情を感じ魅力的だった
ケイト・ウィンスレット演じるシルビアは、名家のとても美しい女性だったという。
まだ幼い自分の子供たちを、信頼できるとはいえ他の人に託さなければならない深い処の悲しみを思うと胸が潰れるようで、
ラストのベンチのシーンとあわせて「フォレスト・ガンプ」を思い出した。

イギリスの古きよき時代の田園風景も美しく、
孤独を抱えた大人たちのそれぞれの葛藤が淡々と綴られて、静かな感動に包まれる
コメント (8)
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