to Heart

~その時がくるまでのひとりごと

深紅

2007-04-05 01:35:56 | the cinema (サ行)
犯罪被害者の深き闇を描く衝撃のミステリー。野沢尚の吉川英治文学新人賞受賞作を映画化。

製作年度 2005年
監督 月野木隆
原作 野沢尚
脚本 野沢尚
音楽 沢田完
出演 内山理名/水川あさみ/掘北真希/内田朝陽/塚本高史/小日向文世/緒方直人

両親と幼い2人の弟が惨殺され、修学旅行中だった奏子(内山理名)は、たったひとり生き残る。奏子はその後、旅先から家族の遺体に面会するまでの4時間を、リアルに追体験する発作に襲われるようになる。8年後、大学生となった奏子に、家族を殺害した男、都築則夫(緒方直人)が死刑になる報告が届く。都築の娘、未歩(水川あさみ)に興味を抱いた奏子は、素性を隠し未歩と親しくなっていく。

家族を殺されて一人残された娘と、殺人者の娘の心理の描写が素晴しい。
しかも、殺された家族は「殺されても仕方ないほどの恨み」を買っていたので、殺人者となった都築則夫に同情の念を禁じえない。
殺された自分の父親(小日向文世)が都築則夫にしていた酷い仕打ちを知る奏子・・・
殺人者の父を許しながら、自分は「殺人者の娘」と公表し、その罪を引き継ごうとする未歩・・・

内山理名さんは今まで観たどの役より無理がなくよかったと思う。
水川あさみさんも、こういう投げやりで陰のある娘役は多いし、流石の存在感!

でも、なんといってもこれが初の犯人役のこの人
妻の保険金を詐欺にあい、善良で真面目な男が殺人者になるまでを、
そして、その日狂気に駆り立てられるまでを演じた緒形直人が素晴しい

小日向文世は、ここでも『僕と彼女と彼女の~』で見せた、感情の無い冷徹な男になりきっていて憎らしい。

1983年、実際にあった『練馬一家5人殺害事件』を題材に書かれた小説の映画化だと聞いていたので、私としては覚悟・緊張しての観賞だった・・・でも、凄く良かった。
「砦なき者」よりも良かった!これが遺作だなんて。。。

サスペンスとしての見ごたえもあるけど、その心理描写が素晴しい
そして主人公ふたりのラストがステキなのだ・・・やはり、ラストはこうでなくちゃ
コメント (7)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする