「ヘクター’87」は私が関わった作品としては7作目くらいにあたります。いろんな意味でとても強烈に印象に残っている作品です。
1986年の「夏のゲームキャラバン」が1大ブームとなったハドソン。
ファミコン男子はこぞって連射の腕を競い合い「スターソルジャー」で高得点を出せる子はクラスのヒーローでした。みんな高橋名人の16連射に本気であこがれてた時代だったんでしょうね。全国各地のキャラバンはどこも大盛況だったとうかがっています。読者の皆さんからも当時のキャラバンでの好成績レポートがいくつか寄せられています。そんな思い出深い大ヒット作から1年が経った1987年。
前作と同様、あるいはそれ以上の盛り上がりを要求されたハドソンの開発スタッフは「スターソルジャー」を超えてやろう!という意気込みと「スターソルジャー」を果たして超えられるのか?というプレッシャーの狭間で揺れていたことと思います。作曲を依頼されたキノコさんにも夏のキャラバンの重大さはヒシヒシと伝わってきました。
いよいよ打ち合わせの日、キノコさんはメインプログラマーのKさんと初めて会いました。「はじめまして。プログラマーの『ヘクター』ことKです。今度のゲームのタイトル『ヘクター’87』実は私のニックネームからつけたんですよ…」「キノコです。はじめまして。(ええっ?全国規模の注目ゲームのタイトルに自分のニックネームつけていいの?)」
いきなりのサプライズから始まった「ヘクター’87」の打ち合わせ。まさかゲームタイトルがプログラマーのニックネームだったとは…。混乱するキノコさん。波乱の次号へ続く…