先日から、我が家の庭にツツジの花が咲いている。毎年のことなので、今年も咲いたなあ、もうそういう時期かあ、と特段気にもせずにいたのだが、昨日夕方ふと眺めていると、不思議なことに気がついた。
花びらのうち、上の花びらだけに、濃い紅色の斑点がある。これまでは何気なく見ていたので、花びらの内側中心あたり全体が色濃くなっているのだろうと思っていた。ところがそうではなかった。観察不足です。
見てみると、5弁ある花びらのうち、上の花びらだけに斑点があるのですねえ。しかも、一番上の花びら1片だけに斑点があるのではなくて、その両隣の2枚の一部にも斑点があり、違う花びらどうしでスムーズに連続した輪郭を持っている。「変なやっちゃなあー」と思いました。
さらに、1本の長いめしべと9本の短いおしべが、みんなつけまつげのように上にカールしています。これはきっと何か訳があるのだろうと、特に斑点のつき方が気になったので、少し調べてみました。すると、いろいろすごい仕掛けがありそうだということがわかり感動しました。
まず、この斑点は、一般に「蜜標」あるいは「ガイドマーク」と呼ばれ、昆虫に蜜の在り処を知らせ、花の思惑通りに花粉を運んでもらうためのもののようです。だから、蜜は花の中心にあるのではなく、この「蜜標」のある花びらに潜んでいるようです。
私も子供の頃、この花をちぎって根元の蜜を吸ったこともあったのですが、こんな手の込んだ仕掛けがあろうとは、想像だにしませんでした。恐れ入りました!
さらに、斑点のある一番上の花びらをよく観てみると、そこは縦に管状(筋状?)にくびれて、1本のおしべの根元を包みこむように抱き込んでいます。ですから、どうもおしべは計10本のようです。そして、このおしべは、なぜだか他の9本のおしべよりも小さいのです。花の裏側(外側)から見てみると、この部分が明らかに他の花びらよりも管状に膨らんでいるのが分かりました(写真矢印部)。きっと、ここに蜜が溜まっているのでしょう。
さらにしばらく観察していると、やはり蜂は花の中心ではなく、この上方の管状部分に吸いついているようです。やはりここに蜜の生産・貯蔵所があるようです。
そして、ここに1本最も小さいおしべがあるということは、蜜を吸いにきた蜂に花粉がつきやすくするための仕掛け(絶妙の位置取り)のようです。しかも、その外側にはひときわ大きなめしべが上にカールして待ち構えております。でも、他の9本のおしべの立場はどうなのだろう?
それにしても、受粉の結果ツツジはどのような果実ができるのだろう? 私は見た記憶がないのだが。うまく受粉できているのだろうか?
とはいえ、生物って みんなそれぞれに工夫がなされているのですね。すごいです! 感動しました。