何気ない風景とひとり言

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旧藤本家住宅-(1) (横浜)

2024年06月11日 | 史跡探訪-日本編

【横浜・鶴見区】旧藤本家住宅は鶴見区馬場にある「馬場花木園」内に建つ古民家。 江戸末期から明治初期にかけて港北区篠原に建てられた茅葺屋根の民家(農家)で、大正二年(1913)に旧馬場村の澤野家が購入してこの地に移築した。 その後、昭和十七年(1942)に藤本家が購入し、平成二十三年(2011)まで住み継がれた。 主屋と東屋で構成される旧藤本家住宅は、平成二十八年(2016)、景観条例に基づき「特定景観形成歴史的建造物」に指定された。

★バス停「東高校入口」で下車し、丘陵に向かって8分ほど進んで「馬場花木園」に着く。 園内に入ると直ぐの所に茅葺の古民家が現れるが、生活感が感じられる佇まいだ。 出入口がある右側三分の一が土間で、正面に大八車と肥桶、兜造り風の東側面に唐蓑・手動式送風機・万石通などの農機具が置かれている。 土間の左隣の部屋(ザシキ)の腰高格子戸が大きく開かれ、濡れ縁の前に、軒先までつるが伸びた朝顔のプランターが置かれていて、人が住んでいるような雰囲気だ。

△馬場花木園の入口....奥に見えるのが古民家の主屋

△木立の間から眺めた旧藤本家住宅....藤本家は昭和十七年(1842)に購入し、平成二十三年(2011)まで住んでいた

△寄棟造茅葺の主屋....江戸末期~明治初期にかけて建築された古民家で、大正二年(1913)この地に移築された

△寄棟造茅葺の主屋は木造平屋建てで、東側妻面の軒は片兜造り風の造り

△軒先に支え柱を立て、垂木を支える丸太の丸桁を乗せている....出入口があるダイドコロ(土間)部の正面の壁は上小壁で腰壁は下見板張り/東側壁面....上半分は白壁の小壁、腰壁は縦に桟を入れた下見板張り

△入口傍に置かれた大八車と肥桶/大八車は野菜や下肥の運搬に、肥桶は作物の肥料としての人糞尿(下肥)の運搬に使用された

△主屋の東側壁際に置かれた農機具/唐蓑....穀物選別道具で、風力で実とそれ以外を選り分ける

△穀物を選別するための道具

△唐蓑に風を送る(と思う)手動式のファン(送風機)/万石通し....穀物の粒の大きさをふるい分けする道具

★正面の左側三分の二は床上部で、畳敷きの二部屋が並んでいる。 右は濡れ縁があるザシキ(座敷)で、左はデイ(出居)と呼ばれる客間でガラス戸を配した鉤形の榑縁(内縁)があり、この部屋から広い庭が一望できる。 西側の北側に突き出た下屋があるが、軒先を切り落として桟瓦葺の庇を設けた厠だ。 樹林の丘陵からの湧水が、主屋前庭の隅を東西にせせらぎとなって流れ、菖蒲田に向かっている。

△主屋の正面(南側)....手前はザシキ(座敷)で濡れ縁があり、奥はデイ(出居・客間)でガラスの両引き違い戸の中に榑縁がある....両部屋の縁前に沓脱石が置かれている

△両部屋の雨戸の戸袋には照り反った本瓦葺風の造りの屋根を設けている

△ザシキ(座敷)の濡れ縁から覗いた内部....手前がザシキで奥が囲炉裏があるチャノマ(茶の間)

△主屋西側の榑縁で鉤形の内縁がある部屋はデイ(出居・客間)

△軒下に突き出た垂木を支える軒桁(丸桁)は正面が丸材で側面は角材

△柱と縁束は自然石を用いた台石(礎石)の上に立つ....デイの南側と西側に沓脱石を配している

△主屋の西側外観....左奥の突き出た下屋は、軒先を切り落とし、桟瓦葺の庇を乗せた厠

△厠の壁の上半分は小壁と面格子を設けた窓、下の腰壁は下見板張り

△前庭には丘陵からの湧水(ハケ水)が石組護岸のせせらぎとなって東から西に流れ、菖蒲田に注がれている/せせらぎに架かる自然石の石橋

△小川の中に置かれた丸い水穴が彫られた石造水鉢....石段が設けられているので理由があっての設置と思う/小川の脇にひっそりと佇む石燈籠




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