何気ない風景とひとり言

寺社&石仏巡り、小さな旅、散策...ふと目に留まった何気ない風景...切り取って大切な想い出に!

紀三井寺-(1) (和歌山)

2019年05月09日 | 寺社巡り-和歌山

【和歌山・和歌山市】奈良時代の宝亀元年(770)、荒波の東シナ海を渡って中国から到来した唐僧・為光上人によって開基されたとされる霊刹。
寺伝では、諸国を巡って仏法を広めていた為光上人がこの名草山の麓に一宿した折、夜半に山頂が白く光っているのを不思議に思い、翌日山に登ると金色に輝く千手観音様と出会い、この地が観音慈悲の霊場だと感得した上人は、自ら一刀三礼のもとに十一面観世音菩薩像を彫り、一宇を建てて安置したのが紀三井寺の起こりとされる。
宗旨は救世観音宗(総本山)で、本尊は十一面観音像。 西国三十三所観音霊場第2番札所。

両側に土産店が軒を並べる切石敷の参道の奥に、鮮やかな朱塗りの楼門が見える。
石段下に立つ「紀三井山護国院」と刻まれた大きなな寺号標石の後方に、清浄水が注がれている手水鉢があり「ざんげと招福の水場」とある。 手水鉢の傍で錫杖を持って鎮座する白衣観音菩薩像の慈悲の視線を感じながら、霊水で罪障を洗い流してから楼門に....。
存在感のある鮮やかな朱塗りの楼門は、500年以上も前に創建された仁王門だ。 近づくと、まず、中央口の欄間に施された見事な牡丹と菊の彫刻に目を奪われる。 脇間の仁王像の体型は、筋骨隆々というよりも少し脂肪のついた筋肉といった感じだ。
楼門をくぐると、行く手を阻むように急峻な231段の石段が立ちはだかり、直ぐ左右の少し奥まった所に、寂れた感じの子院・普門院と穀屋寺がひっそりと建っている。 石段を上っていくと、途中にも子院や社があり、寺号の由来である「紀三井寺の三井水」のひとつの「清浄水」が湧き出ている。 最上の石段は「還暦厄坂」といわれる六十段の石段....還暦をとうに過ぎた身だが、少し息を切らして上り切る。
石段を上りつめると平地の境内が広がり、直ぐ右手に、日本最大の寄木造り千手観音菩薩立像を安置する新仏殿が聳える。 五輪塔に見立てて建てられたとされる新仏殿に入ると、大きな千手観音菩薩像が鎮座....金色に輝く巨大な像のあまりの迫力に咄嗟に手を合わせた。
手前に金色の五鈷杵が置かれ、観音像の合掌する手と五色紐で繋がっている....ご慈悲を頂こうと五鈷杵にそっと触れ、再度合掌してから本堂に向かった。

門前に立ち並ぶ土産店の奥の石段の上に建つ朱塗りの楼門....石段下に「紀三井山護国院」の寺号標石

入母屋造本瓦葺の楼門(重文)....室町時代永正六年(1506)の建立で、桃山時代の様式を残す
 
石段下の左手に立つ大正七年(1918)造立の輪廻車/石段下の右手に霊水・清浄水が流れる井戸は「ざんげと招福の水場」で観音菩薩像が鎮座....石燈籠は享保六年(1721)の造立

上層に組高欄を設けた朱塗りの楼門....三間一戸の脇間に金剛力士像を安置

軒周りは二軒繁垂木、組物は三手目が尾垂木の三手先、中備は蓑束、軒天井と蛇腹支輪がある....腰組は三手先、中央間の欄間に鮮やかな牡丹と蓮の彫刻
  
脇間に鎮座し、仏敵の侵入を防いでいる仁王像....筋骨隆々ではないが、眼を大きく見開いた憤怒の形相が印象的/門前に立つ「不許葷肉入山門」と刻まれた戒壇石
 
楼門をくぐって直ぐ左手に建つ十一面観自在観音を祀る宝形造本瓦葺の普門院/直ぐ右手の石垣の上に建つ地蔵菩薩と聖徳太子を祀る切妻造桟瓦葺の穀屋寺
 
楼門から続く急峻な231段の石段....かつてはここが坂で「結縁坂」といわれていたようだ....女厄坂33段,男厄坂42段、還暦厄坂60段等それぞれの石段に厄の名前が付いている/石段参道の途中には子院や紀三井寺の名前の由来となった三井水の湧き水がある
 
石段参道脇に建つ入母屋造本瓦葺で波切不動尊を祀る宝蔵院/石段を挟んだ宝蔵院の向かいに建つ入母屋造本瓦葺で妻入の松寿院....弘法大師霊場で「身代わり大師」とある
  
宝蔵院の右隣に鎮座する朱塗りの入り鳥居を構えた「白龍大明神」を祀る社と、開基以来の護国院にまつわる木の「王同樹」が聳える/覆屋に鎮座する「白龍大明神」を祀る社/三十三段の「女厄除坂」の脇に鎮座する地蔵尊坐像....女性の参詣者を見守っている

参道石段の途中右側にある「紀三井寺の三井水」(日本名水百選)のひとつの「清浄水」....他の2つは「楊柳水」と境外にある「吉祥水」で、3つの湧き水が寺号のもととなったとされる
  
積み石の間から流れ落ちる湧き水(小滝)の「清浄水」/「清浄水」を護る不動明王石仏/「清浄水」の傍に佇む芭蕉翁の句碑
  
最上の六十段の石段は「還暦厄坂」といわれる/「還暦厄坂」下の右手に地蔵尊立像と浮き彫りされた不動明王石仏が鎮座

露盤宝珠を乗せた宝形造本瓦葺の新仏殿....本堂と向かい合って建つ
 
新仏殿は鉄筋コンクリート造三階建で高さは25メートル....近代的な建物で、全体の形は五輪塔に擬しているとか

総漆金箔張寄木造の千手観音菩薩立像....平成二十年(2008)の落慶で、寄木造立像としては日本最大
 
高さ12m、重さ約30tの金色に輝く巨大な観音像千手観音菩薩....正しくは頂上に十一面を頂く千手千眼観自在菩薩(大慈観音ともいわれる)
 
手前に置かれた金剛杵(五鈷杵)が合掌する観音像の手と五色紐で繋がっている/紀三井寺がある名草山の麓から遠望した新仏殿
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