何気ない風景とひとり言

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旧横溝屋敷-(1) (横浜)

2023年10月01日 | 史跡探訪-日本編

【横浜・鶴見区】旧横溝屋敷(旧横溝家住宅)は、横浜市東北部の鶴見区獅子ヶ谷町にある「みその公園『横溝屋敷』」と称する豪農屋敷。  獅子ヶ谷は鶴見川南岸に拡がる沖積地の台地に位置する。 旧横溝屋敷は、江戸時代後期に建てられた表門(長屋門)、穀蔵、文庫蔵、及び明治二十九年(1896)建築の主屋、蚕小屋の五棟からなる豪農屋敷。 五棟の他に下小屋(肥料小屋)、木小屋(蒔部屋)、風呂場などの建物があった。
横溝家は、桃山時代の慶長年間(1596~1603頃)から江戸時代を通じて、獅子ヶ谷村の名主を代々つとめてきた家柄。 江戸時代の慶長年間(1603頃~1615)、獅子ケ谷を領していた旗本の小田切家が江戸に移住するにあたって住んでいた屋敷を横溝氏に譲ったと伝わる。 江戸時代、横溝家は鶴見川の沖積地を開墾して水田を拓き、稲作に必要な溜池を造営し、村内に本覚寺を建立するなど獅子ケ谷村に多大な貢献をした。

■旧横溝屋敷前に着くと、木立に隠れるように茅葺の長屋門と穀蔵とが建ち並んでいる。 門前の参道の左手には一般道に沿って「教育水田」が広がる。
白壁と下見板張り腰壁のどっしりとした造りの長屋門をくぐると広場になっていて、正面にいずれも茅葺で大棟に瓦葺櫓を乗せた主屋と蚕小屋が樹林を背にして並んでいる。 広場を少し進んで振り返ると、端正な姿の長屋門と置屋根両妻かぶと造りの穀蔵には豪農らしい格式を感じさせる。
長屋門の左右に板床の上長屋と土間の下長屋があり、上長屋には農機具が展示されていて生活感が漂う。 長屋門でひとつ気になったのが軒下の軒(丸)桁を支える垂木で、表側は斜めに突き出ているのに対し裏側は水平に突き出ていることだ....こちらに出ているのは梁だろう。

△道路から眺めた長屋門(表門)と穀蔵(長屋門の左隣)

△長屋門前の参道の左側に広がる教育水田

△小高い山の樹林を背にして建つ長屋門....門を通して主屋の玄関が見える

△下見板張りの腰壁と白土壁の長屋門はどっしりした造りで、格式が高い

△長屋門の壁は下見板張りの腰壁と白土壁....南面の軒下に突き出た垂木は五角形で、木口は胡粉塗り/長屋門の板扉に八双金具と乳唄(唄金具)がある

△長屋門から眺めた前庭奥の主屋(左)と蚕小屋

△主屋傍から眺めた寄棟造茅葺の長屋門....江戸後期弘化四年(1847)の建築

△敷地の南側に建ち並ぶ長屋門と右手に珍しい形の屋根の穀蔵

△長屋門の左右に板床の上長屋(手前)と土間の下長屋(奥)が連なり、さらに上長屋の隣に土間の薪置場がある

△板床の上長屋に展示されている農機具や養蚕に関する道具

△展示されている農機具や養蚕に関する道具

△展示されている農機具や養蚕に関する道具

△軒下に水平に突き出た梁....五角形で胡粉塗り木口は同じだが、南面の斜めに突き出た垂木とは異なり「せがい造り」と思う

■長屋門の隣の穀蔵は、置屋根両妻かぶと造りという珍しい建物。 寄棟造茅葺屋根の妻側を半分切りとって白壁の土蔵にを乗せ、側面に下見板張りの少し高い腰壁を設けた珍しい造りで、初めて見る。 穀蔵内部は2つに区切られ、片方は養蚕に関する道具類を展示、もう一方は穀類の貯蔵庫で、脱穀機具などが展示されている。
正面に構えた主屋は、桁行九間、梁間五間の総二階建てで、どっしりとした重量感を漂わせている。 二階は養蚕を行う蚕室だったため、二階南面は全て採光のため腰高明障子を配した窓、さらに大棟に換気のための瓦葺櫓を乗せている。 主屋の周囲に桟瓦葺の裳腰を設け、一階は住居用で6室ある。 主屋に向かって左側(西側)の奥座敷が客間で、その前に植栽と板塀で囲まれた池泉鑑賞式庭園がある。 庭園には袖塀付きの簡素な瓦葺の小さな門があり、身分の高い客が庭園から直接奥座敷に上がれるようになっていて、流石は豪農屋敷だと実感させられる。

△長屋門の隣に建つ置屋根両妻かぶと造り茅葺二階建の穀蔵....江戸後期天保十二年(1841)の建築....両側面は下見板張りの腰壁と白土壁、庇を設けた白土壁の正面に2つの入口(2室に区切られている)

△置屋根両妻かぶと造りという珍しい構造の穀蔵の屋根....通風と採光のため屋根の妻部分を切り上げて開口部を設けている

△穀蔵の左室の内部....主に養蚕に関する道具が展示されている

△養蚕に関する道具

△穀藏の右室の内部....穀藏は主に米や麦などの穀類を貯蔵する建物....脱穀機具などが展示されている

△貴重な農機具類の展示

△寄棟造茅葺二階建で正面に裳腰を設けた主屋....明治二十九年(1896)頃の建築....大棟に乗せている瓦葺櫓は、養蚕の温度管理のための換気口と明り取り(と思う)

△主屋は桁行九間、梁間五間....一階が居住用で6室形式、二階は養蚕を行う蚕室

△主屋の正面には桟瓦葺の裳腰を設け、二階正面は全て腰高明障子

△主屋一階は6室形式で、ヒロマ(広間)、ブツマ(仏間)、オクザシキ(奥座敷)、チャノマ(茶の間)、ナンド(納戸)そして土間のダイドコロ(台所)

△主屋南側にある池泉鑑賞式庭園への切妻造桟瓦葺の中門....庭園には池泉、石燈篭、飛び石の園路など風情ある日本庭園が広がる

△池泉鑑賞式庭園と庭を仕切る中門....中門は身分の高い訪問者が使うもので、庭園から直接奥座敷に入ることができる



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