椿葉
- 破風山山頂直下から城峯山 -
秩父の皆野の街並みの西に位置する破風(はっぷ)山です。
山頂からは南側を中心に展望が開けます。
この展望の他にはこれといって魅力はありませんが、最近は結構な人出です。
秩父観音霊場の結願寺である札所三十四番水潜寺から歩き始めます。
北の斜面の寒々とした薄暗い杉林の中を沢に沿って登って行きます。
この道は札立峠から水潜寺に向う秩父観音霊場の巡礼道ですが、それを逆の方向に登って行くわけです。
登りで体が温まってきた頃、道は沢を離れて山腹を迂回するように札立峠に向かいます。
札立峠は四辻になっています。
峠には古い石の道標が残っています。
方向を示す二面には各々
左 = 「札所三十四番ニ至ル」 / 右 = 「頼母澤ヲヘテ久長ニ至ル」
左 = 「上日野澤方面行」 / 右 = 「櫻谷ヲヘテ國神村ニ至ル」
とあります。
表記されている地名は現在も残っていますので、地図で容易に確認することができます。
そして、残りの一面には「大正十年十一月 頼母沢青年団」とあります。
地名に山名はなく、基本的に集落の名前です。当時の道は登山道ではなく、生活のための道だったということでしょう。
また、近年祀られたと思われる観音さまがいました。
さて、「札所三十四番ニ至ル」道を上がってきましたが、ここから「櫻谷ヲヘテ國神村ニ至ル」道に入ります。
葉が落ちて明るくなった尾根道です。
さほど強くはありませんが陽射しを浴びるようになり、なんとなくほっとします。
枯れ木の先には奥秩父の山々の連なりが望めます。
両神山も ・・・。
山頂まで長くはありませんが、概ね同じような道が続きます。
「櫻谷」(桜ケ谷)への道が分かれると山頂は直ぐです。
以前は静かでのんびりできたのですが、最近は休む場所がない程の人です。
熟年の女性の団体が揃って足を投げ出した状態で休んでいますので、狭い山頂がさらに狭くなっています。
先日ラジオで「最近の年寄りはマナーが悪い」と若者から非難されているという話を聴きましたが、なるほどという思いです。
展望の写真だけを撮って移動です。
山頂からの眺め - 秩父盆地を囲むように東から南に連なる山々 (クリックで拡大)
山頂から奥秩父の山々
山頂から細い尾根を辿ると直ぐに大きな東屋のある分岐にでます。
誰もいませんでしたが、ここでは休まず先に進みます。
枯れ木越しに城峯山などを眺めながらのんびり行きます。
すると左手に「猿岩」が現れます。
何処が猿? と思う人が多いと思いますが、左を向いた猿の横顔に見えなくはないと思います。
「日溜り」とはよく言ったもので、そこだけ空気に温もりが感じられます。
そんな場所で独り静かに休息です。
さて、再びのんびりと下山です。
時折、木々の間から武甲山などが眺められます。
冬の空と枯れ木の組み合わせは、単に私の個人的な好みです。
今回は前原山へは向かわず、風戸(ふっと)に下りてしまいます。
明るい風戸地区と宝登山
風戸から近道で秩父温泉に下り立ちました。
いささか歩き足りない気分ですが ・・・ 。
破風山の人気の理由の一つがこの秩父温泉にあるのかもしれません。
でも、温泉には寄らずに、根古屋から国神(札立峠の道標にあった「國神」、但しルートは異なる)に向かいます。
途中にあった馬頭観音の碑 - 説明は コレ
国神の先、栗谷瀬橋で荒川を渡ります。
橋は、車道橋と歩道橋に分かれています。
近くに障害物のない橋の上からは眺めがいいです。
そして、歩道橋なので車に気を使うことも無く、安心して写真を撮ることができます。
蓑山 / 武甲山
荒川源流域の奥秩父の山々
破風山方面
最後は、秩父鉄道の親鼻駅で歩き終わりです。
この日はそのまま早目に帰宅しました。