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逆巻温泉 ( 苗場山 )

2007年06月10日 | 山歩 - 温泉
名前が似ている坂巻温泉と間違われやすいですが、逆巻(さかさまき)温泉です。

訪れたのはなんと30年前の1977年のことです。「川津屋」という旅館が一軒あるだけでしたが、それは今も変わらないようです。「川津屋」のHP(http://www.tsunan.com/kawatsuya/index.html)を見ると、リニューアルされたようですが、宿の雰囲気はあまり変わっていない印象を受けます。

この時は、祓川から苗場山に登り、山頂で一泊しました。次の日素晴らしい日の出を見た後、小松原湿原を通って清水川原に下りましたが、途中全く人に会いませんでした。また、自分でも残念に思うのですが、実はこの時の写真は一枚もありません。理由はわかりませんが、カメラを持っていかなかったようです。

当時は下り立った清水川原までバスが来ていませんでしたし、道路も未舗装の状態でした。バスに乗るには3km先の見玉まで歩かねばならず、それにバスの時刻もわかりませんでした。時刻は午後の1時近くだったにもかかわらず、その日の内に帰宅できるかは不明でした。翌日まで仕事は休みでしたから、対岸の逆巻に泊まることにしたのです。そして、もう一つ泊まっていこうと決心させたものがあります。それはそこが秋山郷という地であったからです。鈴木牧之の「北越雪譜」を知っていましたので、秋山郷は私にとって一度訪れてみたい場所だったのです。(季節は夏でしたが・・・)

もちろん、宿は予約などしていませんでした。しかし、当時のご主人に暖かく歓迎され、問題なく泊まることができました。その日の宿泊客は結局私一人だけだったのです。

二階の奥のおそらく一番いい部屋だったと思いますが、そこがあてがわれました。さっそく温泉ですが、小さな洞窟風呂があるだけでした。先のHPでは「めいそうの湯」となっていますが、当時そんな名前があったかどうか記憶にありません。ここも改装されたということですが、HPの写真で見る限り全体の雰囲気は当時とあまり変わっていないような気がします。また、最初の御主人のあたたかい歓迎が示すように、当時の「川津屋」のもてなしはたいへん好ましいものでした。家族で経営しているという感じでしたので、そのもてなしは今も引き継がれているのではないかと思います。

次の日、見玉まで歩いてバスを待ちました。やってきたバスに乗り込んだのは私一人だけでした。しかも、バスは津南駅ではなく手前の大割野まででしたので、駅までは再び歩かざるをえませんでした。

結局3日かけて歩いたことになります。この3日間の山旅全体が思い出として残っているわけで、逆巻温泉の思い出は苗場山・小松原湿原の思い出とは切り離せません。苗場山・小松原湿原を思い通りに歩いた後、この気持ちのいい宿で旅を締めくくれたのは今考えても本当によかったと思います。

苗場山も小松原湿原も、今は麓まで林道が入り込み、逆巻温泉の入浴を含めても、日帰りで行ってこれるようになったようです。これだけ便利になってしまうと当時私が感じた思いを逆巻温泉に抱くということはおそらくないだろうと思います。
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