季節の風香

季節の山歩・散歩・花・風景

スミレの識別に挑戦して

2007年05月23日 | 風香 - 山の花
スミレはいろいろ種類が多く、その識別は容易ではありません。若い頃山の花に興味をもって勉強もしましたが、スミレの識別はあきらめていました。そのような私ですが今年の春にスミレの識別に挑戦することにしました。

図鑑を持ち歩いて現場で識別するのはいろいろな意味でたいへんです。そこで、山道で出会うスミレを写真に撮って、家に帰ってからゆっくり調べるという方法にしました。最近のデジカメは性能がいいですから、写真の技術のない私でもそれなりに写ってくれます。もちろん、撮影に失敗しているのも結構ありました。帰ってきてガッカリということも珍しくありませんでした。

最初は本当に戸惑いましたが、しばらくすると目が慣れてきたせいでしょうか、スミレの姿の違いというものが見えてきました。こうなると楽しみは倍加します。スミレの識別に挑戦して2ケ月弱、この間の山歩きで実際に目にしたスミレはほぼ識別できるようになったといっていいと思います。でも、まだまだスミレの種類はあります。しかも、分布域の関係で簡単に見ることができないものもあります。


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スミレ(マンジュリカ) / ノジスミレ

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タチツボスミレ / ニオイタチツボスミレ

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ナガバノスミレサイシン / スミレサイシン

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フモトスミレ / ツボスミレ

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ケマルバスミレ / エイザンスミレ

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アケボノスミレ / コスミレ

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アカネスミレ / オカスミレ

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サクラスミレ / チシオスミレ


わからない花は詳しい人に教えてもらえば、手っ取り早く名前を知ることができます。しかし、単に名前を知ることより、識別のポイントを掴むことの方が重要だと思います。それは、やはり自分の目でスミレを見て、その上で自ら努力して初めて可能だと思います。

「人に教えてもらう」ということと、「自分で学ぶ」ということは全く別のことだと思います。


このように実際目にしたスミレはほとんど識別できたと思っているのですが、挑戦すると決めてから最初の山歩きで見たあるスミレだけが「?」の状態でした。



このスミレを最初はアケボノスミレとしたのですが、コスミレではないかという指摘を受けました。アケボノスミレというのは私の誤りだというのは直ぐわかりましたが、私としてはコスミレということにもなんとなく納得できませんでした。

そこで、現時点で再度このスミレを調べ直しました。写真に撮っておくメリットは、時間が経過した後でも、再度調べなおすことができることです。

私が出した結論はシハイスミレです。

(1)花の様子はシハイスミレとして問題なし。
(2)側弁に毛はない。(写真に撮っておくとこんなことも後で確認できます)
(3)生えていたのは写真でもわかるように、日向のやや乾燥した場所。撮影時期は3月下旬。
(4)葉は卵状披針形で、基部は心形。やや厚く、つやがあり、この時点ではまだ小さい。葉脈に沿って白斑も見られる。
(5)葉の裏面が紫。そもそもこれが名前の由来。シハイ=紫背。

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撮影した写真の中で、葉の裏がかろうじてわかるのがこの二つの部分です。撮影時点では葉の裏を確認するなどいうのは想像さえできません。

問題は分布域です。分布が西日本とされています。ところがそれは分布の中心という意味のようで、東日本でも見つかるということがある図鑑に載っていました。(図鑑も数冊用意して見比べる必要があると思っています。例えば、あるスミレの葉の様子の記述が、ある図鑑では「ほとんど光沢がない」となっているのに、別の図鑑では「つやがある」となっています。これは図鑑の誤りというより、スミレの変異の多彩さを現しているのではないかと思います。)

このような次第で、私にはシハイスミレというのが最も納得できる答えになりました。

重要なのは、これが本当にシハイスミレかどうかということではなく、次回シハイスミレを見た時に私はそれを識別できるようになっているはずだということです。