英語と子育て

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バイオリンと英語

2010-11-26 | 言語獲得
長男は生後3ヶ月でアトピー性皮膚炎と診断されました。四六時中身体が痒いので、この子は集中力がつかないのではないかと、とても心配しました

 集中力をつけるのに何かいい方法はないかと考えていた時に友人から勧められたのが「スズキメソード」のバイオリンでした。
 
 「スズキメソード」というのはヴァイオリニスト鈴木鎮一氏が音楽を通して人間を育てることを目的とした教育法で、バイオリンをただ弾くことが目的ではありません。とにかく本物の音楽をたくさん聴いて身体で理解し心を育てていくというものです。ですから楽譜が読めない幼児でも始められるのです。これは文字が読めなくても母語をマスターしていく過程と同じです。アメリカにもたくさん教室があります。

 さて、4歳になった長男をレッスンに連れていくと、やってみたいといいました 最初は箱バイオリンといって、空箱と定規で作ったバイオリンをあごで挟んで持ってまっすぐ立ち、鉛筆を弓にみたてて手に持ち、構えるというところからレッスンが始まるのですが、それとは別に始めた頃からとにかくどこででもバイオリンの練習曲を聴きました。

 車に乗っている時はもちろん、リビングにいる時はいつもテープやMDがかかっていました。とにかく聴いて耳で覚えるのです。中学生になると通学中もウォークマンで聴いて曲を覚えていました。「好きな音楽は?」と聞かれると「ドボルザーク」と答えて、友達が引いたそうです

 バイオリンを持ったらその音がでるところに指を押さえるのですから(というか指が勝手にその音を探して動いているように見える)、ちょっとした狂いも自分でわかるようになります。おかげで一緒に聴いている私もバイオリン曲に詳しくなりました。

 この「耳で覚える」というのは言語獲得のプロセスと全く同じです。本物の音をたくさん聞いて、自分でその音を作り出していく―調音していくわけです。ですから幼児から本物の音に触れていると、その後口からでてくる音も本物なのです。

 この「スズキメソード」のもうひとつの特徴は親子で取り組むことです。レッスンにはもちろん同席しますし、家庭練習では母親は「お母さん先生」と呼ばれ、子どもと一緒に学んでいきます。これは相当きついことです。毎日コツコツ何かやるということは、大人でも大変なことですが、子どもならなおさら・・・おまけに親子で。息子の年齢が高くなってくると「音があってる、あってない」で喧嘩になることもありました。でも今思いますと、こうした時間が息子との一対一で向き合う凝縮した、そして充実した時間でした

 結局この長男は大学受験ギリギリまでバイオリンを弾いていました 学校の試験前でも試験中でもレッスンを休むことはありませんでした。試験は前もってスケジュールがわかっているのですから、それにあわせて準備すればいいと言い聞かせてありましたし、本人もだからといってレッスンを「休む」と言ったことはありませんでした。

 大学にはいってからは学生オケにも入り、友人関係を拡大していきました。楽譜はいつの間にか読めるようになっていました。今でも「あれ弾いて」と言うと、暗譜ですらすら弾いています。耳に残っているのでしょう、これには感心します。

 こうしてみると「スズkメソード」のバイオリンも英語学習もよく似ています。まずは小さい頃に本物の音をたくさん聴いて吸収すること。これがその後のアウトプットに繋がるのです。
 


 

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