医療裁判傍聴記

傍聴した観想など

児童ポルノ、7200人購入名簿…検事や警官ら 堅い職業ずらり、「るろうに剣心」の作者も

2018-01-04 19:08:02 | 法曹界
2017年5月に警視庁が摘発した児童ポルノ販売サイトの関係先から、約7200人分の購入者リストが押収されていたことが捜査関係者への取材でわかった。

検事や警察官、医師、地方議員、人気漫画家らの名前があり、同庁などは客のうち約200人を児童買春・児童ポルノ禁止法違反(単純所持)容疑で書類送検した。18年以降も容疑が固まった客を順次、書類送検する方針だ。

18歳未満の児童ポルノは所持・保管する「単純所持」も禁止され、1年以下の懲役または100万円以下の罰金。16年の1年間の摘発件数は56件で、今回の事件は単純所持が禁止された15年7月以降、最大規模となる。

捜査関係者によると、同庁少年育成課が5月1日、児童ポルノ販売サイト「厳選DVDショップありす」を摘発し、韓国籍の男(61)ら4人を同法違反(不特定多数への提供)などの容疑で逮捕した。サイトは会員制で、16年1月以降、約2億5000万円を売り上げていた。

同庁は4人の自宅などを捜索し、児童ポルノDVD約2万枚を押収。パソコンを解析したところ、約7200人の住所、氏名、購入したDVDのタイトルなどを記載した顧客リストが見つかった。

DVDに映っていた児童の年齢鑑定を医師に依頼した結果、少なくとも客のうち約3000人が購入したのは、児童ポルノと確認された。就学前とみられる幼児が映っていたDVDも複数あった。

同庁や、購入者の居住地の警察本部が自宅の捜索などを実施し、すでに客約200人を同法違反(単純所持)容疑で書類送検している。この中には、人気漫画「るろうに剣心」の作者(47)や40歳代の東京地検検事、30歳代の皇宮護衛官、30~40歳代の警視庁警察官や職員、東京都職員のほか、有名企業の社員も複数含まれている。

リストには医師や県議会議員、僧侶の名前もあった。同庁が現在、捜査を進めており、立件される客はさらに増える見通しという。

検事、警察官、県議会議員、医師、有名企業社員――。

警視庁が会員制の児童ポルノ販売サイトから押収した約7200人分の購入者リストには、高い倫理観が求められる「堅い職業」の人たちの名前も並んでいた。過去最大規模の児童ポルノ所持事件からは、児童ポルノが蔓延(まんえん)している実態が浮かびあがった。

捜査関係者によると、購入者の中には、偽名で児童ポルノDVDを買っていたケースもあったが、商品の発送先などから自宅が突き止められた。郵便局留めで受け取っていた購入者もいたという。

東京地検では公安部に所属していた40歳代の検事が、児童ポルノDVD約10枚を購入したことが判明した。検事は9月22日、児童買春・児童ポルノ禁止法違反(単純所持)で東京簡裁から罰金50万円の略式命令を受けた。東京地検は同日、検事を停職2か月の懲戒処分とし、検事は依願退職した。

警視庁でも30~40歳代の警部補や巡査、一般職員の3人が同法違反容疑で書類送検された。3人は全員、依願退職した。皇宮護衛官や高知県警の警察官も購入していたことが判明。本部長訓戒などの処分を受け、依願退職した。警察幹部は「捜査機関に児童ポルノの所持者がいたのは極めて遺憾。厳正に処分した」と話す。

11月には、人気漫画「るろうに剣心」作者の男(47)も書類送検され、9月から18年ぶりに始まった続編連載は休載になった。男は「小学校高学年から中学2年生くらいの女児が好きだった」と供述し、自宅からはわいせつDVD約100枚が押収されたという。

このほか有名企業社員や都職員、自衛官、僧侶なども書類送検された。捜査幹部は「児童ポルノの購入者には、普通の仕事をしている人も多い」と指摘する。

リストには医師、県議会議員も含まれていて、同庁が裏付けを進めている。サイトが摘発されたことを知り、「私も買いました」と自ら名乗り出た会社員もいたという。

警察幹部は「買う人がいるから、児童ポルノが製造される。購入者を摘発することで、悪循環を断ち切らなければならない」と指摘する。

全国の警察が2017年上半期(1~6月)に摘発した児童ポルノ事件は、製造や販売、輸入なども含めると過去最多の1142件。

裸などを撮影された被害者594人のうち122人は小学生以下で、約半数は強姦(ごうかん)(現・強制性交)や強制わいせつの被害を受け、撮影されていた。

日本は、先進7か国(G7)で最後まで児童ポルノの単純所持の規制がなく、「児童ポルノ大国」と批判されてきた。改正児童買春・児童ポルノ禁止法で単純所持が罰せられるようになったのは、15年7月。「自らの性的好奇心を満たす目的」が対象で、一方的にメールで送りつけられた場合などは罰せられない。

児童を性の対象にする行為への規制が整備されたことを受け、警察当局は取り締まりを強化している。捜査幹部は「新たな性犯罪を誘発する恐れもあり、防犯の面からも徹底した取り締まりが必要だ」と話す。

児童ポルノを巡っては、動画が何年にもわたって、インターネット上で拡散し続けるという深刻な被害も指摘される。いったんネットに掲示されると削除しても、ダウンロードした利用者が再び、別サイトや掲示板に公開するという悪循環が続く。児童ポルノサイトへの接続を遮断する「ブロッキング」も実施されているが対象数が多く、遮断し切れていないのが現状だ。

性的虐待の画像や動画が成人後もネット上から消えずに苦しんでいる被害者は多い。今回、摘発されたDVDの中にも、2003年頃からネット上に拡散し続けていた動画が含まれていたという。警察幹部は「児童ポルノは悪だということを社会全体で認識する必要がある」としている。

2018年01月01日 読売新聞




この記事についてブログを書く
« 電車で女子高生のスカート内... | トップ | <千葉地検支部>被告に被害... »

法曹界」カテゴリの最新記事