モノ・語り

現代のクラフトの作り手と作品を主役とするライフストーリーを綴ります。

森野清和さんの撥高台型ご飯茶碗

2010年12月11日 | 飯碗、湯呑み、木のクラフト

かたち21で提案している「わん一式」の軸となる撥高台型ご飯茶碗の制作を、
これはという陶芸家に依頼したりしてますが、陶芸家の方は自分の形へのこだわりがあって、
こちらが思っているようには作ってもらえないことの方が多いです。
高台を小さめにすると全体の形のバランスがとりにくいとか、あるそうです。
しかし私などは微妙にアンバランスで繊細な感じになるところも、結構気に入っています。





さて、快く承諾、というか「高台を小さく作ったことはないけど、やってみてもいいかな」
という感じで引き受けてくれた人に、山口県下関市の森野清和さんがいます。
森野さんはやきもの用の粘土に深い関心を持っている人で、
山口県下から九州北部一帯にかけて粘土のサンプルを集めています。
山口県下では萩焼が有名ですが、昔の萩焼の一番良質なランクの粘土も持っています。
以前、森野さんの工房を訪ねたときに、この粘土で焼いた茶器がありましたが、
とても素晴らしいものでした。
それから、古唐津の焼味を再現するような粘土もあって、これも素晴らしいものでした。





森野さんのやきものは基本的に自分で掘ってきた原土から作っているものなので、
現代の陶芸としてはオリジナル性の高いものであると言えます。
オリジナルであって、しかもいい焼味をしています。
成形は蹴ロクロといって、電気がなかった時代の人力で動かすロクロを使っています。
そのロクロ味というのも、なかなかいいものがあります。





撥高台型に作られた森野さんの茶碗でご飯をいただくと、
掌に収まる感覚といい、土のちょっとざらざらとした刺激といい、
まさに触覚でものを味わうという、そういう感じが体験されます。
やきものの器を使うことの醍醐味とはこれだ、と思わせるものがあります。
お薦めの逸品です。





森野清和さんのお茶碗は、「軸のススメ展」「自分へのおもてなし展」に出品されます。
かたち21のWEB SHOPでも取り扱っています。




コメント
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